俳優の水谷豊、伊藤蘭、降旗康男監督が現地時間の26日、ロシアのモスクワで開催中の第35回モスクワ国際映画祭に出席し、GALA部門で上映された映画『少年H』(8月10日公開)の舞台あいさつを行った。
左から伊藤蘭、水谷豊、降旗康男監督 |
邦画の実写映画では史上初の上映作品に選出された同作は、「日本にとって悲劇的な時期に撮影の中で勇気と不屈の精神を実証した」として特別作品賞を受賞。主演を務めた水谷は、ロシア語で「会場の皆さま、心より感謝しています。モスクワ国際映画祭よ、永遠に。スパシーバ!」とあいさつし、「戦争を描いたこの日本映画が皆さまに理解されたことに感謝しております。今、静かに話しておりますが、飛び跳ねたい気分でいっぱいです」と喜びを伝えた。
上映中の会場からは、時折笑い声が聞こえたり、中には涙ぐんだりする観客の姿も。水谷は「笑ったり泣いたりと海外の方にも届いている感じがしました。思わぬところで笑いが起こっていてうれしかったです」、共演の伊藤も「予想以上に笑いが起こるところがあってうれしいなと思いました」と新鮮な思いを伝えていた。上映後、熱く感想を語っていた観客もいたことから、降旗監督は「熱心なお客さんからお褒めの言葉をいただいたりなどして、一安心しております」と喜びを伝えていた。
上映に先立って行われたレッドカーペットでは、映画祭のメイン会場であるMultiplex Cinema October前にタキシード姿の水谷と、白のあでやかな着物姿の伊藤が登場。詰めかけた大勢の観客からの声援にも笑顔で応えていた。
同作は、上下巻で340万部超のミリオンセラーを記録した同名小説を原作に、降旗康男監督がメガホンを取った。柔軟な考えを持ち、家族を温かく見守る父・盛夫(水谷豊)と大きな愛で家族を包む母・敏子(伊藤蘭)、そして2人のもとで好奇心旺盛に育つ”H”こと肇(吉岡竜輝)と妹の好子(花田優里音)。昭和初期の神戸を舞台に、戦争に翻弄されながらも勇気と信念と愛情をもって生き抜いた家族の姿を描いた。