俳優の北村匠海が主演を務める映画『悪い夏』(3月20日公開)の場面写真が18日、公開された。

  • 映画『悪い夏』

今回公開されたのは、主人公・佐々木(北村)を陥れる裏社会の住人・金本(窪田正孝)の新場面写真。生活保護受給をたてに愛美(河合優実)に肉体関係を強要しているケースワーカーがいるという情報をつかんだ金本は「生活保護の不正受給ビジネス」でひと儲けしようと企てる。これが佐々木をはじめ周りの人間たちが飲み込まれていく地獄の始まりとなる。

ランボルギーニをとばし、夜の街を闊歩し、店を見回る金本の登場シーンは、馴染みも感じられるいわゆる地元の元締め風だが、ここから窪田の演技がうねりをあげていく。電話越しに何やら企てを話したり、薄暗い店内で仲間へ目線を送ったり、安っぽい照明を背景に上から見下すその表情が並ぶが、その目は笑っておらず、冷たい雰囲気を漂わせる。大声を出したり、分かりやすい脅しをするそぶりが無いことが逆に日常にいつのまにかスッと入り込んできた存在として、観る者の恐怖を増幅させている。

城定監督は、金本について、設定のまま演じてしまうと、ともすればステレオタイプの裏社会の人間になってしまい、本作におけるリアティが損なわれてしまう懸念があったそう。だが、現場で窪田の演技を見て、そんな懸念はすぐになくなり、窪田からも「どうすれば金本というキャラクターをおもしろくできるか」率先してアイデアが出てきたという。
共演した北村や河合は、窪田が演じる金本が「とにかく怖かった」そうで、窪田も「皆にごめんなさいと謝りながら、(演技で)殴っていた」と振り返っていた。

【編集部MEMO】
映画『悪い夏』は、第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し「クズとワルしか出てこない」と話題を呼んだ染井為人氏の傑作小説の映画化作。監督に鬼才・城定秀夫、脚本は『ある男』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した向井康介氏が手掛ける。主人公・佐々木守を演じる北村匠海のほか、河合優実をはじめ窪田正孝、伊藤万理華、毎熊克哉、箭内夢菜、竹原ピストル、木南晴夏など豪華俳優陣が顔を揃える。