東芝ライフスタイル(以下、東芝)の冷凍冷蔵庫「VEGETA(べジータ)」シリーズといえば野菜が美味しく保存できることで人気の製品。そんなベジータシリーズが今年10年ぶりにフルモデルチェンジした「Y-XFS」シリーズを発表しました。
ラインナップは定格内容積643Lの「GR-Y640XFS」、595Lの「GR-Y600XFS」、543Lの「GR-Y540XFS」の3モデル。
新モデル最大の特徴は、設置スペースは変わらず庫内容量が大幅にアップしたこと。もちろん、東芝ならではの野菜が長持ち機能などもそのまま継続しています。いずれも4月中旬発売予定で価格はオープン、市場想定価格はGR-Y640XFSが46万円前後、GR-Y600XFSが44万円前後、GR-Y540XFSが42万円前後です。
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定格内容積643Lの「GR-Y640XFS」
同じ大きさなら、たくさん保存できる冷蔵庫がいい
冷蔵庫「ベジータ」シリーズが野菜を美味しく保存できる一番の理由が「高湿度」。冷蔵庫が定期的に霜取りをすることは広く知られていますが、じつはこの「霜」こそが庫内の湿度のもと。このため冷蔵庫は霜取りをするたびに庫内がどんどん乾燥してしまいます。
そこで東芝は1998年より、冷蔵庫を冷やす冷却器を二つに増やした「W-ツイン冷却」を導入。冷蔵室と冷凍室をそれぞれ独立して冷すことで、霜付きを最小限に抑えて野菜庫を含む冷蔵室の乾燥を減らしているのです。
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新製品のカットモデル。上下にふたつある金属のスダレ状パーツが「冷却器」。キンキンに冷えた金属の隙間に風を通すことで冷風を作り出します。通常の冷蔵庫はこの冷却器がひとつしかありません
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ツイン冷却のおかげでベジータは野菜室だけではなく冷蔵室も乾燥しにくい仕様。刺身やサラダなどもラップなしで保鮮可能です
ただし、冷却器が複数あるということは、それだけ冷蔵庫内部のスペースを占有するということ。そこで、新モデルは冷却器や冷却用パーツをコンパクト化。そのほか、背面部分の断熱材を真空断熱材のみで構成するといった設計変更により「庫内容量だけ大型化」することに成功しました。
たとえば、新製品GR-Y640XFSは本体サイズ幅68×奥行745㎜×高さ1,855㎜ですが、外観だけならこれは2013年モデル「GR-F56FXV」とほぼ同サイズ(幅685×奥行745×高さ1821mm)。しかし、定格内容積は556Lから643Lと、新モデルは87Lも庫内容量が大きくなっているのです。
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左が新モデルの冷却器、右が旧モデルのもの。体積は3割以上もコンパクトになりました。また、冷却器に風を送り込むファンも、旧モデルが2個つかっていたところを新モデルは一つに最適化しています
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左は旧モデルのGR-F56FXVで右が新モデルGR-Y640XFS。設置スペースは両製品共通で、背の高さのみ新製品が3.4cm高いだけ。なのに87Lも容量がアップしています
ちなみに、日本の壁付けシステムキッチンは奥行きが60/65cmが一般的。新製品は大容量化しても奥行きは薄型のままなので、65cmキッチンならば並べたときに「冷蔵庫だけ飛び出る」ということがありません。
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たとえば、旧モデルの「GR-W510FZS」は、定格内容積が507Lですが奥行きが69.9cmあります。このため奥行65cmのキッチンと並べると冷蔵庫だけ数cm飛び出る形に
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新モデルGR-Y640XFSは定格内容積が643Lと大容量にもかかわらず、同じキッチンと並べても飛び出ません(左側白いのがGR-Y640XFS、右側ベージュがキッチン造作)
ちなみに、大容量化により冷凍室の容量がアップ。これに伴いメインの冷凍室は従来の2段式から3段式になりました。このため、細かな食材も収納しやすくなっています。
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GR-Y640XFSのメイン冷凍室に収納できる食材量のイメージ。買い物カゴ約3杯分の食材が入る計算です
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2段トレーになり、全3段で収納できるようになった冷凍室。浅い1段目は薄型の冷凍ストック、やや厚みがある2段目は使いかけ食材、深い3段目は冷凍食材などを立てて収納すると良いそう
冷凍室の大容量化など細かな進化点も
新製品の進化点はほかにもあります。たとえば、冷蔵室は食材を凍る寸前の低温状態に保つ「Deliチルドモード」を新搭載。作り置きのおかずや余ったごはんなら約7日間保存できるため、惣菜などをよく買う家庭には嬉しい機能になりそうです。
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GR-Y640XFSの2段になったチルド室。下段チルド室は設定を変更することで「Deliチルドモード」のほか、食材に氷の膜を張る「氷結晶チルド」などに切り替えることも可能です
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7日間保存した炊き込みごはんを比較。冷凍したごはん(写真左)はごはんがやや変色してコンニャクもスポンジ状に変性。Deliチルドモードで保存したごはん(写真右)は炊いた日の冷やご飯のような見た目。コンニャクもプリプリです
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チルド室下段は左右に独立。ドアを片側だけ開いて取り出すことも可能です。一般的な冷蔵庫にある「両扉開かないとチルドのモノがとれない」という問題を解決しています
野菜室の基本機能は従来の「もっと潤う摘みたて野菜室」と同じ。高湿度の冷気をで庫内の湿度を95%にキープしつつ、さらに野菜庫奥には乾燥の原因となる風を遮る「ミストチャージユニット」を搭載しています。このユニットには脱臭と野菜の原因となるエチレンガスを分解する機能もあり、野菜をより長く新鮮に保ちます。
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新製品GR-Y640XFSの野菜室。通常の「真ん中冷蔵庫」は製氷室の下に野菜室を配置しますが、ベジータシリーズはより高い位置である製氷室の上に配置。重い野菜が取り出しやすいのが特徴です
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野菜庫の送風位置に配置されている「ミストチャージユニット」。風は防ぎますが「冷たさ」と「水分」は庫内にしっかり届けます
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ミストチャージユニットの有無で7日間保存したチンゲンサイがどれくらい変化するかのデモンストレーション
野菜室の機能は変わっていませんが、野菜を約10日間新鮮に保存できる付属の「使い切り野菜BOX」は新形状に進化しました。新モデルでは片手でもフタが開けられるようになっています。使い切り野菜BOXとは、ミストチャージシートを内蔵した密閉ボックスで、使いかけのカットした野菜も長く新鮮に保てるというアイテムです。
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片手で開けるようになった新モデルの「使い切り野菜BOX」。フタ部分にミストチャージシート、ボックスの底には野菜の水腐りを防ぐ水切り用の内箱が内蔵されています
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カットした野菜を7週間保存したもの。写真ではややわかりにくいですが、使い切り野菜BOXの野菜はラップしたように新鮮に見えます。一方、通常保存ではニンジンの断面が黒ずんでいたり、野菜の皮に細かなシワが確認できました
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使い切り野菜BOXに保存したバナナは変色していません
食費高騰によりまとめ買いをする家庭が増加
東芝の大型冷蔵庫購入者対象アンケートによると、この8年で家庭の買い物回数は10~15%減り、反対に一度あたりの購入量は10~20%増えているといいます。食材高騰や共働きによる忙しさなど、理由はさまざま考えられますが「まとめ買い」をする家庭が増えているのです。
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東芝調査では「まとめ買い」需要が増えていることがわかります
まとめ買いをする家庭にとって冷蔵庫に求められるのが「たくさんの食材」が入れられること。そして「長く美味しく保存」できることの2つでしょう。
今回の新シリーズは「本体サイズ(ほぼ)そのままで庫内容積を大きく」さらに「Deliチルドモード搭載や使い切り野菜BOXの進化で、食材を長く美味しいまま保存」と、まさにまとめ買いユーザーをターゲットとした進化をしている印象でした。
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製氷機横の冷凍室では業務用レベルの急冷凍ができる「おいしさ密封急冷凍」機能など、今回書き切れなかった従来からの保鮮技術ももちろん継続しています

倉本春
くらもとはる
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