LGエレクトロニクス・ジャパンは3月25日、猫が乗ると自動で体重を測れる家庭用の空気清浄機「LG PuriCare AeroCatTower」(以下、AeroCatTower)を発表した。クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」で3月26日から先行支援受付を開始する。GREEN FUNDING価格は一般販売価格から約39%オフとなる59,900円から。カラーはサンドベージュ。

  • LG PuriCare AeroCatTowerと、LGエレクトロニクス・ジャパンの孫 成周(ソン・ソンジュウ)代表取締役。GREEN FUNDING価格は59,900円から、一般販売は2025年5月中を予定し想定実売価格は98,000円前後を見込む

AeroCatTowerは2024年9月のIFAでプロトタイプが初披露された。LGエレクトロニクス・ジャパンの孫 成周(ソン・ソンジュウ)代表取締役は「IFAのLGブースではこの製品に一番人が集まっていた」と紹介。「今までにないユニークな製品だとの声があった」といい、他メーカーからの関心も高かったと明かす。

猫の健康管理とキャットタワーを兼ねた空気清浄機

AeroCatTowerは、猫の健康管理とキャットタワーを兼ねた空気清浄機。2024年9月のIFAで登場した製品で、その際は開発中のプロトタイプとして展示されていた。LGの空気清浄機シリーズ「LG PuriCare」に属する新製品となり、ペット由来のニオイやアレル物質などを99%以上除去する空気清浄性能を備える。

本体の上部には猫がくつろげるドームと2段階で温度設定できる温熱シートを備え、猫の体重を記録できる点が最大の特徴だ。

  • 猫が飛び乗って丸くなれるドームを搭載。ドームの床は温度設定できる温熱シートを内蔵する

  • AeroCatTowerの全体像

  • 猫がくつろげるドームは柔らかいクッション付き

  • クッションは取り外して洗濯できる。丸形の市販クッションも置けそうだ

LGは日本市場における空気清浄機発売(2019年)以降、ペット向けの空気清浄機もリリースしてきた。その中でユーザーから多く寄せられた声が「猫が部屋の空気清浄機に上ってボタンを押すので、誤作動してしまう」という声だという。

AeroCatTowerは本体上部に猫を包み込むようなドーム形状の温熱シートを配置し、“猫の居場所”であるキャットタワーとして活用できる。温熱シートは34度前後の低温モードと39度前後の高温モードの2段階が選べ、猫が乗っているときのみ動作する検知温熱モードと、常時シートを温める持続温熱モードの2つを設定できる。決められた時間でオフになるタイマー設定も行える。

シート部には体重計センサーを内蔵し、LG家電の管理アプリ「LG ThinQ」から、AeroCatTowerに乗った猫の体重を確認可能。猫の体重は週/月/年のグラフ表示に対応し、体重の推移を手軽にチェックできる(体重は100g単位で表示)。アプリには最大4匹の猫を写真付きで登録でき、登録時に入力した体重を基に個体識別(±250g)する。体重に急激な変化があった場合はアプリのプッシュ通知でオーナーに知らせる機能も備える。

  • 猫の体重をアプリから確認でき、週/月/年単位でのグラフ表示も可能。猫の体重の推移が手軽にわかるようになっている。なお、体重の数値から猫を個体識別するため、体重が近しい猫の識別はできない

  • 猫がAeroCatTower上でどのくらいくつろいだかも計測でき、オーナーに通知する設定も可能。猫が30分以上くつろいだ場合は「猫がゆっくり休んでいきました」、それ以下の場合は「猫がひと休みしていきました」と通知される

本体の操作ボタンは、猫が乗って押さないようドームの下側に配置。温熱シートの耐荷重は約15kg、本体の高さは800mmで、足が短い猫や老描でもドームへ上りやすいよう、本体より1段低いキャットステップもセットとなっている。空気清浄機の動作音を嫌がる猫も想定し、猫がドームに乗っているときは静かに動作するモードを搭載。ケーブルには噛みつき防止用のコーティング加工を施した。

空気清浄できる適用床面積は29.6平方メートル。プレフィルター/HEPAフィルター/光触媒(脱臭)フィルターからなる3層の円筒形空気清浄フィルターが360度から汚れた空気を吸引し、きれいな空気を上方へ吹き出す。

微細なほこりやペット由来のアレル物質などを99%以上除去し、通常運転のターボモードで動作した場合、周囲のペットの抜け毛を97%集塵(6立方メートル密閉空間での試験結果。床に落ちた被毛は集塵しない)。フィルター下部にはUV LEDを内蔵し、空気清浄機内のファンに付く細菌を99%除去するという。

  • 本体より1段低いキャットステップが用意され、幅広い種類・年齢の猫が上りやすい工夫がなされている。なお台座からAeroCatTowerを外して本体単体で設置することもできるが、台座がないと猫が飛び乗った際に倒れる恐れがあるという

  • 動作状況を示すランプはドーム下部の側面に搭載

  • 操作ボタンは猫が乗っても干渉しないドーム下部下側に搭載する(左から電源ボタン、動作モードボタン、温熱シートボタン)

  • 本体下部に360度の3層フィルターを内蔵する

「ペットのケアを空気清浄機で」日本でアイデアが生まれた製品

LGエレクトロニクス・ジャパンの孫 成周(ソン・ソンジュウ)代表取締役は、日本の家電市場は規模の大きさに加えて最新技術への要求レベルが高いと語る。このため「日本市場を意識した製品からグローバルへ広げられる製品もあると思う」とし、同社が従来展開してきたビジネス向け製品だけでなく、日本でも認知が広がってきた衣類ケア家電「LG Styler」や、今回発表したAeroCatTowerのような特徴的な家電を発表しながら「付加価値の高い、ユーザーが満足するよい家電を投入して、着々と総合家電メーカーとしての立場を築いていきたい」と展望を話した。

  • 猫飼いさんの意見を取り入れた機能を載せたAeroCatTowerの主な特徴

AeroCatTowerの商品化にあたっては、空気清浄機を多く展開するLGへ「ペットのケアがしたい」という声が寄せられたそう。“ペットのケア”にもいろいろあるが、「その中で何が重要かを考えた際、体重管理は必要だという声があった。そこから何ができるかを試行錯誤しながら開発を進めた」とする。

なお、日本は東アジア(日本・韓国・台湾・香港)の中でも猫の飼育率が高い地域だという。同社が示したペット市場に関する調査結果によると、2019年では市場規模が2,667億円だったところ、2024年では3,305億円へと成長。また韓国や台湾、香港では猫より犬を飼う人が多いのに対し、日本のみ猫を飼う人が突出して多い結果だった。

実はAeroCatTowerは日本でアイデアが生まれた製品だったという。このため、同製品はほぼ同じタイミング(2025年3月20日)でLG本社のある韓国でも発売しているが、韓国以外の販売国は日本が初。孫氏は「日本は猫好きの方が多く、とにかく日本を最優先で製品を販売しましょうと。今回の製品を使ってみて、またいろいろな声がユーザーから上がると思います。それを次のバージョンアップへどんどん活かしたい」と語った。