毎年夏に北海道・札幌で開催される北海道マラソンの季節がやってきました。2024年の北海道マラソンは8月25日に開催、約2万人のランナーが42.195km先のゴールを目指しスタート。今回、ファーウェイ・ジャパンの取材ツアーに参加し、フルマラソンを走る北海道マラソンで、借用したスマートウォッチ「HUAWEI WATCH GT 4」(以下、GT 4)を装着した“走り勝手”をランナーに聞きました。

  • 北海道マラソン2024は8月25日に開催。小学生を対象にした1kmのショートレース「ウイニングラン」も行われた

取材協力:ファーウェイ・ジャパン

最高気温29度、夏の札幌を2万人が走る! 北海道マラソン2024

北海道マラソンは日本で数少ない、真夏の日中に行われるフルマラソン大会です。第1回の開催は1987年(昭和62年)で、当時のエントリー数は439人(実際の走者はおよそ380人)でした。37年を経た「北海道マラソン2024」は定員20,000人、6時間以内にフルマラソンを完走できる満19歳以上が参加可能です。

コースは札幌市内を中心とし、大通西4丁目(駅前通)からスタート、すすきのなどを通った後石狩湾近くまで北上して折り返し、北海道大学の構内や北海道庁(赤れんが)を経由して、同じ大通西4丁目(駅前通)でゴールとなります。

2023年開催時のアンケート結果を踏まえ、この2024年は暑さ対策として給水所増設、ミストが噴き出すシャワーステーション、給水所の設計見直しや提供する氷の増量などが行われています。開催日となる8月25日、札幌の最高気温は28.9度。東京都心 (約34度)と比べると低いものの、30度に迫る夏の暑さを感じる日でした。

朝8時30分のスタート地点には、軽装で記録を競う走者からコスプレでランを楽しむ走者まで、道内外や海外から幅広いランナーが集っていました。

会場で流れたアナウンスによると、2024年のエントリー数は19,450名。今回、GT 4を装着して走ってもらったランナーはフリーランスライターの三河賢文氏で、50kmや100kmといった長距離のウルトラマラソンを中心に走っているため、フルマラソンへの参加は久しぶりとのこと。「新宝島」(サカナクション)の曲に合わせて号砲が鳴り、参加者は定められた区分から順にスタートしました。

ここで三河氏が走りながら撮影した北海道マラソンの写真をいくつかご紹介しましょう。出走前にもバナナの配布がありましたが、北海道ならではなのか、コース上には給水所ならぬ「給野菜所」や、「給雪所」も用意されていたことが印象的でした(配布された「どら焼き」を持ってゴールした参加者もいたそう)。多くの参加者が楽しんで走っていた熱気あふれる北海道マラソン、来年の開催が今から楽しみです。

  • スタート前にGT 4の動作確認をする三河氏。今回は46mmモデル・1.43インチ画面のグリーンモデルを試用した

  • 公式では号砲を起点としてタイムが計測されるが(グロスタイム)、個人のゼッケン裏にチップが貼られており、ランナーがスタートラインを通った時間を起点としたタイム計測も可能(ネットタイム)

  • 出走前の補給として配布された、美味しそうなバナナの山。多くのランナーが手に取っていた

  • スタート直後はゆっくりとした走り。人数を区切ってAブロックから順にスタートする体制が組まれており、大人数の移動ながらスムーズにスタートしていく様子にびっくり

  • 暑さ対策として新設されたミストシャワーは10km地点に設置。多くのランナーが両手を広げミストを全身で浴びていた。このほか水をかけるポイントなども設置されていた

  • コースは基本的に札幌の街中となる。写真左は突発的な怪我や体調不良で走れなくなったランナーや、制限時間オーバーでリタイアするランナーたちを収容するバス。三河氏「これには乗りたくない! という気持ちで走ります(笑)」

  • 北海道大学を通過する箇所では緑の木々の間を走行でき、自然を感じられる場面も

  • 赤く実ったミニトマトと、出走前にも配布されていたバナナの補給所。補給として野菜が提供されることに驚く

  • こちらは飲み物の給水所。今大会では最初の給水所を2.0km付近に設置するなど、こまめに水分補給できる機会を提供していた

  • 補給に用意されたどら焼き。三河氏によると一般的などら焼きより大きく、食べ応えがあったそうだが、「水分が欲しくなる」という一面も。どら焼きを手にしてゴールするランナーも見られた

  • 補給に用意されたあんぱん。こちらはやや小ぶりで食べやすそうだ

  • これも北海道ならではだろうか、雪も用意されていたとのこと。日差しが強い日だったので体に当てると気持ちよかっただろう

  • 雪は「雪玉」状態でも配布されていた

  • ゴール直前、ラストスパートをかける三河氏

  • 三河氏は3時間50分強で無事ゴール! ゴールを前にして一歩一歩進む参加者の方々の笑顔が印象的でした。皆さま、完走おめでとうございました

三河氏は3時間50分強で北海道マラソンを完走。今回のフルマラソンは“ほぼ想定通りのペース”で走破できたそう。速さはおおむね1キロを5分半、途中汗が出なくなる脱水に近い状態となったため、給水を意識的に確保していったとのこと。心拍数は前半が160前後、後半が150台で、スマートウォッチの心拍数表示やケイデンス(1分あたりの足の回転数)などを見ながら速度を調整していったといいます。

  • 完走した証となる完走メダル。北海道の爽やかな夏を駆け抜けるランナーを表現したデザインという

フルマラソンで使ったWATCH GT 4、よかった点と気になった点

さて、ファーウェイが展開するスマートウォッチの中でもビジネス向けに分けられるGT 4(製品詳細はニュース記事やレビュー記事をご参照)は、デザインに注力しつつゴルフやランニング機能、睡眠計測など健康管理も充実させた製品。フルマラソンにおけるのGT 4の使用感は実際どうだったのでしょうか。

  • 北海道マラソン中の心拍数表示。三河氏によると心拍数はランニングで特に重要な指標の1つで、大画面に大きな数字で表示されるのが見やすかったとした

三河氏によると、まず良かったポイントは「画面の文字が見やすい」「心拍数状況の通知」「GPSの取得が早い」「価格が安い」といった点。

今回試したのは46mmモデル・1.43インチ(466×466ドット)画面を搭載したグリーンバンドで、ランニング中は特に心拍数が大きく表示されチラッと目を向けるだけでも見やすかったといいます。心拍数に関しては通知機能もあり、同社のランニングでは取得した心拍数に応じて「ウォームアップ」「脂肪燃焼」「有酸素」「無酸素」など、心拍数の高さで運動状態を区分しますが、自分では気づかなかった序盤のタイミングで無酸素となった通知が出たことがよかったとのこと。この状態が続くと疲労が高まるため、数字を基にややペースを落とせたといいます。

GPS信号の取得は、特に普段とは違う場所では相当時間がかかることもしばしばありますが、今回は屋外にて約4秒ほどで取得できました(GT 4の衛星測位はデュアルバンド5衛星測位システムに対応し、GPS、GLONASS、Galileo、BeiDou、QZSSをサポート)。また価格は直販36,080円で、ランニングに特化した他社製ウォッチと比べると割安感があります。

バッテリーの持ちも良好。残量91%からレースをスタートしたところ、レース後は75%残で余裕がある状態でした(約16%の消費)。このほかアプリの機能になりますが、走ったルートを後からアニメーションで振り返れる機能が楽しめました。

  • 運動記録は42.51km。普段インドアの筆者ではまずお目にかかれない驚異的な数字だ。後述するが実際に走った数字よりやや長く距離が出ている

  • ランニングの分析のうち、ルートを表示する画面。コースが綺麗に取得できている

HUAWEI Healthアプリにて、ランニングしたルートをアニメーションで振り返る「ダイナミック追跡」。フルマラソンで試すと見応えがある

一方で気になったポイントは「手首を上げた後に高輝度になるまで時間がかかる」「位置情報が若干ずれる」「やや大きい&重たい」といった点。ランニング中は通常、画面が暗めに点灯している状態から、“手首を上げると画面の輝度が上がる”状態になりますが、手首を上げてから画面が(日射しの下でも情報が見える)高輝度になるまで若干のタイムラグがあり、この時間差が1秒を争うフルマラソン中は気になったといいます。

また位置情報の精度はおおむね高かったものの、最終的な走行距離が約42.5kmと実際より200~300mほど長く取られていました。例えば50kmや100kmを走るウルトラマラソンなどでは(GT 4のみを指標にした場合)この距離差で時間内にゴールできるかの分かれ目になる可能性もあるとのこと。

大きさ・重さは画面の見やすさやバッテリー持ちなどとトレードオフになる難しいポイントですが、ランニング特化のウォッチと比べるとやや重く、ゴツゴツ感があったそう。また全スマートウォッチメーカーへの希望として、スマートウォッチを選びやすくするため各メーカーのアプリ間で取得データを共有できるといい、という話も出ました。

  • 1キロごとのペース分析画面。スタートから中盤まではだいたい5分台前半、中盤からゴールまでは5分台後半~6分台にペースを落とし、全体として5分台半ばのペースを維持

  • 1キロごとの時間やペース、平均心拍数、平均ケイデンスを一覧で見られる画面。平均ケイデンスがおおむね180になるよう調整して走ったという(ケイデンスが想定からずれると負担がかかる)

  • レース中の心拍数の変化。途中で大きく落ち込んでいる箇所は他ランナーの救護にあたっため

  • 北海道マラソンにおけるランニングデータまとめ。消費カロリーは2,719kcalと、これもインドアの筆者には衝撃的な数字だった

日本市場は伸びしろがある? スマートウォッチの普及を目指す

8月24日・25日は、北海道マラソンの拠点となる大通り公園で協賛各社によるさまざまなブースが出展。オフィシャルタイマーを務めるセイコータイムクリエーションやスイス発のスニーカーメーカー「On」、骨伝導イヤホンなどで知られる「Shokz」など、多くのブースがランナーや応援者でにぎわっていました。ファーウェイ・ジャパンもブースを展開し、GT 4の試用やオープン型の完全ワイヤレスイヤホン「HUAWEI FreeClip」が当たるイベントなどを実施していました。

同社ブースにはファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントを務めるハ・レイ(賀磊)氏の姿も。ハ氏は同社のスマートウォッチでは全方位の機能を搭載した上で、ゴルフやランニングなど多くの競技者がいるスポーツに関する機能に注力・改善していくと紹介しました。

なお、NTTドコモ モバイル研究所が2024年2月に実施したスマートウォッチ所有率調査(発表Webサイト)では、全国の15~79歳の人のうちスマートウォッチを所有している人は約17%と低い数字にとどまっています。ハ氏は、日本市場ではまだスマートウォッチが普及していないとし、多くの人がアナログの腕時計からスマートウォッチにシフトできるよう取り組んでいきたいと意気込みました。

  • ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントを務めるハ・レイ(賀磊)氏も同社ブースに参加していた