世界に初めて原爆の真実を伝えたアメリカ人と日本人のヒューマンドラマを描く日米共同制作劇映画『WHAT DIVIDES US』(原題)が制作されることが1日、発表された。

  • 『WHAT DIVIDES US』(原題)

この作品は、国の壁を越えて深い友情を築いたアメリカ人ジャーナリストのジョン・ハーシーと広島の谷本清牧師が、原爆の真実を暴こうと決意する物語。アメリカ政府や軍が、広島・長崎の惨禍を秘匿する中、ハーシーは大きなリスクを冒して広島に取材に入り、被爆者の声を世界に伝えようとした。軍部からの圧力の中、ニューヨーカー誌はその存続をかけて1946年8月「Hiroshima」を掲載。原爆投下後の日本を詳細に描いたルポで広島の核兵器による惨禍を初めて知った世界は驚がくし、戦後の核兵器に対する人々の考え方に大きな影響を及ぼした。この「Hiroshima」の舞台裏にはひとりの日本人、谷本清牧師の知られざる協力があった――。

今作は、ジョン・ハーシーの「Hiroshima」を題材にした初の劇映画であると同時に、谷本清牧師の未発表の回想録にインスピレーションを受け、日本人の視点からも原爆の真実に迫る。アカデミー賞を総なめにし、核兵器に対する意識を高め、特に若い世代に核の時代への深い関心を呼び起こした『オッペンハイマー』に対する日本からの“アンサー”と位置づけている。

日米のトップクリエイターが集結し、2014年から構想10年、22年から脚本開発を進めてきた。

プロデューサー陣はアメリカから、ジョン・ハーシーの孫でアーティスト・映画プロデューサーのキャノン・ハーシーが参加。「Hiroshima」がテーマのドキュメンタリー『Hiroshima Revealed』で知られる。ドナルド・ローゼンフェルドは『ハワーズエンド』『日の名残り』『ツリー・オブ・ライフ』などでカンヌ映画祭やアカデミー賞受賞のNYを拠点とする著名な映画プロデューサー。ロビン・ローゼンフェルドはLAを拠点とする映画・テレビプロデューサー・セールスエグゼクティブで『エフィー・グレイ』『クリーチャー・フィーチャーズ』『インフォデミック』で知られる。

日本から参加する土屋勝裕氏は、元NHKで『龍馬伝』『エール』『37セカンズ』『太陽の子』で受賞歴多数のプロデューサー。西前拓氏は、ピーバディ賞受賞のNYのドキュメンタリー・映画プロデューサー。脚本は、テレンス・マリック監督『名もなき生涯』で知られるエリザベス・ベントリー。エグゼクティブプロデューサーに、谷本家の近藤紘子さん(8か月で被爆し「Hiroshima」にも登場)、谷本建さん、谷本純さん、谷本信さん、河本加奈枝さんが参画する。

撮影は、2025年にアメリカと日本で行い、その後世界公開予定。キャノン・ハーシーと近藤紘子さんは、きょう1日に広島市政記者クラブで制作発表記者会見を行い、2日午後には松井広島市長と懇談し、映画についての意見交換を行う予定だ。

制作を手がけるのは、UNITED PRODUCTIONSの出資で昨年4月に設立されたTOKYO ROCK STUDIO。今作が初の国際共同作品となる。

  • ジョン・ハーシー

  • 谷本清牧師

提供:WDULLC