2022年12月17日にesports銀座studioにて「eBASEBALLプロスピAリーグ」2022シーズンのe日本シリーズが行われました。
「eBASEBALLプロスピAリーグ」はスマートフォンアプリ『プロ野球スピリッツA』を使用したeスポーツリーグ。日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメントによる共催です。プロ野球の12球団が、それぞれ3名のプロeスポーツ選手と契約。セントラル・リーグとパシフィック・リーグで、「eペナントレース」を戦います。
対戦はゲームの「リアルタイム対戦」モードの「ルーム戦」を使用して行う3イニングマッチ。イニング終了時で5点差がつくとコールドゲームで、表裏のイニング関係なく7点差付いた時点で強制終了です。
eペナントレースの上位3チームが「eクライマックスシリーズ」に進出し、そこで勝利したセ・パそれぞれの優勝チームが、「e日本シリーズ」で日本一の座をかけて争います。
eペナントレースでは、1節に3試合対戦し、全5節の勝敗数で順位が決まります。2022シーズンは、セ・リーグ1位が広島東洋カープ、2位が読売ジャイアンツ、3位がヤクルトスワローズで、パ・リーグ1位が福岡ソフトバンクホークス、2位が東北楽天ゴールデンイーグルス、3位が北海道日本ハムファイターズでした。
eクライマックスシリーズでは、eペナントレースの結果そのままで、各リーグで1位だった広島東洋カープと福岡ソフトバンクホークスがe日本シリーズに進出しました。奇しくも前シーズンと同じ組み合わせとなり、広島東洋カープは連覇、福岡ソフトバンクホークスはリベンジを果たすべく試合に臨みます。
e日本シリーズは、これまでの試合と同様に3イニング制。BO5(3勝先取)での勝負です。最初の3試合は、あらかじめ提出しているロースターに従って対戦。4戦目以降はその都度、試合開始前までにロースターを決定します。
最初の3試合は、第1ゲームが岩本開波選手(広島)vs石井悠選手(福岡)、第2ゲームが渡邊太智選手(広島)vs前野拓光選手(福岡)、第3ゲームは岡本尚也選手(広島)vs藤木斗頼選手(福岡)の組み合わせに決まりました。
両チームとも、eペナントレースで好成績を残したエースを2番手で起用し、1勝4敗とどちらもeペナントレースでは成績が振るわなかった選手を1番手に起用しています。
第1ゲームは、岩本選手(広島)と石井選手(福岡)の対戦。eペナントレースでは実力を発揮しきれなかったようにも見えましたが、この大舞台でみごとなパフォーマンスを魅せてくれました。石井選手がなんと完全試合を達成したのです。福岡ソフトバンクホークスにとって、幸先が良すぎるスタートとなったでしょう。
第2ゲームでは、昨年eペナントレース、eクライマックスシリーズ、e日本シリーズとすべての試合を無敗で駆け抜けた渡邊選手(広島)が登場します。今季は第5節で敗北してしまいましたが、eクライマックスシリーズでも勝利し、堂々たる成績を残しています。一方、前野選手(福岡)は今シーズンの無敗男。まさにエース同士の対戦となりました。
試合は、前野選手が2回までに8点を取り、大きくリードします。渡邊選手は、なんとかくらいつくものの、5点のビハインドで最終回を迎えます。しかも下位打線からのスタート。ここからの逆転は厳しいかと思われましたが、ヒットを重ね、あと1点のところまで追い上げます。
しかも、同点、逆転のチャンスに打順は4番。渡邊選手に追い風が吹いている状況が続き、手に汗握る展開です。しかし、渾身の一球がミットに収まり、前野選手が勝利しました。これで福岡ソフトバンクホークスが2連勝です。
そして、迎えた3試合目。日本一にリーチをかけた福岡ソフトバンクホークスは、リーダーの藤木選手が登場します。広島東洋カープは岡本選手。2人ともeペナントレースでは1敗しかしておらず、こちらも実力伯仲の対戦となりそうです。
藤木選手は長打を絡めた連打で初回に4点を獲得し、大きくリードします。2回表で得点できなかった岡本選手は、2回裏で藤木選手に2点入れられてしまうとコールド負けになるピンチを迎えます。2アウトまでは順調に抑えましたが、ここから連打を浴びてしまい、コールドゲームに。そして、福岡ソフトバンクホークスがe日本シリーズを制覇し、日本一を手にしました。
優勝した福岡ソフトバンクホークスは、「球団ファン応援感謝企画」の支援金として、500万円を獲得。球団が掲げる「eスポーツ振興に活用し、活動を通じてホークスファンやeスポーツファンへの還元」に使われる予定です。
ちなみに、リーグ優勝した広島東洋カープには200万円が贈られました。こちらは、「マツダ スタジアムで開催されるカープ主催の公式戦の招待とカープキャラクターグッズのプレゼント」をファンに向けて行う予定です。
個人タイトルは以下の通り。
MVP:前野拓光選手(福岡ソフトバンクホークス)
スピリーグランキング1位:平岡大智選手(読売)
首位打者:永井大貴選手(DeNA)
首位打者:前野拓光選手(福岡)
最多本塁打:平岡大智選手(読売)
最多本塁打:鈴木啓太郎選手(西武)
最多打点:平岡大智選手(読売)
最多打点:前野拓光選手(福岡)
最優秀防御率:平岡大智選手(読売)
最優秀防御率:藤木斗頼選手(福岡)
スピリーグ スカパー!ドラマティック・サヨナラ賞:波多野蒼選手(西武)
ナイススピリッツ賞:岩淵大空選手(楽天)
なお、スピリーグランキングとは、各節の勝敗や試合内容を評価、ポイント化し、ランキングにしたもの。スピリーグ スカパー!ドラマティック・サヨナラ賞は、最も感動的で、印象深いサヨナラゲームを記録した選手に贈られます。ナイススピリッツ賞は、プロプレイヤーとして相応しい立ち振る舞いやSNSなどによる積極的な情報発信、社会貢献などを行ったプレイヤーに贈られる賞です。
最後に優勝した福岡ソフトバンクホークスの3選手とスピリーグ監督の吉村裕基監督に感想を聞いてきました。
――優勝した率直な気持ちをお聞かせください。
藤木斗頼選手(以下、藤木):今年の目標はe日本シリーズでの優勝、日本一だったので、それが達成できて本当にうれしいです。来年は連覇がかかるシーズンになりますので、代表になることができたら、がんばりたいと思います。
石井悠選手(以下、石井):この仲間と一緒にリーグ優勝、日本一を取れたことが一番うれしいです。来年も代表になれるかわかりませんが、自分が2連覇したい気持ちがあります。
前野拓光選手(以下、前野):優勝できたのはすごくうれしいんですけど、なによりこのチームメートと監督と一緒にできたのが本当に楽しくて、あっという間でした。来年も代表になって、2連覇という目標を掲げてがんばっていきたいと思います。
――e日本シリーズのロースターはどのように決めたのでしょうか。
藤木:e日本シリーズは3連勝で決めたいという思いがありました。なので、3連勝できる布陣を考え、今回のロースターにしました。相手のロースターはある程度予想が付いたので、それに合わせた感じでもあります。相手のエースである渡邊選手に前野選手を当てたいと思っていて、そこがうまく噛み合って勝ってくれたのが良かったですね。
吉村裕基監督(以下、吉村):私はほとんど何もしていないですね。ロースターに関してもすべて選手に任せていました。私がやったことは声かけくらい。みんな本当にすごいと思います。
――団体戦だと強い相手に弱い選手を当てて、残り2戦を取りにいく戦法も考えられますが、あえて真っ向勝負で行ったのは個々の選手の実力を信じていたからなのでしょうか
藤木:そこまで深いことは考えていなくて、きっと前の2人が勝ってくれて、2連勝で順番が回ってきて、自分で優勝が決めたいと思っていました。思惑通りになってよかったです。
――もし、第4ゲーム以降の試合があったら、誰が出場していましたか。
藤木:その日の調子の良さがあるので、とりあえず勝利した人が出ようと決めていました。4戦目までもつれ込んだら、多分、前野選手が行って、5戦目に入ったらその場で決めていたと思います。
――第2ゲームの最終回では、点を取られ、追い上げられるシーンがありました。焦りはありましたか。
前野:下位打線からのスタートだったので、そこで抑えて終わるつもりだったんですけど、相手が粘り強くて、だんだん乗せちゃった感じです。もう投げる球もなくなってきて、最後はチームメイト全員でこれしかないって決めた球を投げました。投げ切れて良かったです。
――今回の優勝で、球団ファン応援感謝企画、「eスポーツ振興に活用し、活動を通じてホークスファンやeスポーツファンへ還元」が行われるわけですが、具体的にやってほしいことはありますか。
吉村:今回の優勝で多くの人にホークスやホークスの選手を知ってもらえたと思います。今後はプロ野球とeBASEBALLの連携なんかも出てくると思いますし、いろいろやってほしいですよね。以前は藤木選手が始球式をやりましたが、今回ももしかするとあるんじゃないでしょうか。
『プロ野球スピリッツA』はプロ野球を題材にしていますが、実際のプロ野球とはファン層も違うと思います。どちらのファンも取り込んで、よりホークスを好きになってもらえるとうれしいです。
――今回の優勝で、監督からご褒美はあるのでしょうか。例えば食事に連れて行ってもらったりとか。
吉村:もちろんご馳走はしますよ。でも、これってちょっと難しいんですよね。誘って断られたら傷つくじゃないですか(笑)。あと、実は、サングラスをプレゼントすることになっています。ゲームをずっとやっていると目に影響がありますからね。ゲームを長くやってほしいと思うと同時に、目も守ってほしいので。
――最後にファンの皆様にひと言お願いします。
前野:福岡ソフトバンクホークスのファンの皆さん。日本一になることができました。皆さんの応援のおかげです。これからも応援よろしくお願いします。
石井:リーグ優勝、日本一という最高の形で、皆さんに良いところを見せられたことはとてもうれしいです。これからも福岡ソフトバンクホークスの応援をよろしくお願いします。
藤木:ファンの皆さま、応援ありがとうございました。応援は励みになりました。eスポーツの試合をみて、自分も選手になりたいと思う人もいると思うので、ぜひ挑戦してください。そのときはライバルです。自分もがんばりたいと思います。
吉村:全国のホークスファンの皆さん、ご声援ありがとうございました。3選手がしっかり活躍して、日本一、チャンピオンになることができました。プロ野球も来年はホークスが優勝して、そしてeBASEBALLプロスピAリーグでも優勝、日本一になれるようにがんばっていきます。
――ありがとうございました。
著者 : 岡安学
おかやすまなぶ
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