映画『この子は邪悪』 (9月1日公開)で、主演を務める女優・南沙良。同作は、オリジナル作品の企画コンテスト「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2017」で、準グランプリとなった企画の映画化だ。家族で交通事故に遭った少女・花は、事故で植物状態だったはずの母・繭子が5年ぶりに目を覚まし、父・司朗が連れて帰ってきたことをきっかけに、徐々に違和感を覚え始める。心に傷を負った花を演じた南を取材し、役作りや撮影エピソード、そして今年20歳を迎えての今後についても聞いた。
■一気に読み進めた台本「お芝居としてどう表現して、どんな映像になるのか」
――冒頭からラストまで、終始静かにストーリーが展開されつつも、まとわりつくような恐怖が常にあるような印象の作品でした。台本を読んだ印象はいかがでしたか?
最初に台本を読んだときは、これからどういう展開になるんだろうと、わくわくしながら一気に読み進めてしまいました。そして、読み終わった後には、この台本をお芝居としてどう表現して、どんな映像になるのか、とても楽しみになりました。
でも、やっぱり全編通して不穏なストーリーなので、実際に完成した作品を観て、展開がわかっていても驚いてしまうシーンや恐怖してしまうシーンはたくさんありましたね……。内容が現実離れしているとはいえ、妙にリアルな部分や描写がちりばめられていて、そういうところにドキドキしながらも、私は結構楽しんで観てしまいましたね(笑)。
――楽しんで観られたのは、普段からこういったサスペンス作品をよく観ているからですか?
いや、普段は自分からあまり観るタイプではないんですけど、台本を初めて読んだときに感じた先の読めない展開へのドキドキを、改めて完成した映像を観たときにも感じて、いち視聴者としてのめり込んでしまいました(笑)。
■傷を抱えた少女・花「自分の中の正解を探しながら…」
――なるほど。今作ではつらい過去の経験から心に傷を抱える少女・花を演じましたが、演じるうえで意識したことはありますか?
花は家族で交通事故に遭って、自分だけが無事で助かってしまったという経験から傷を抱えている女の子。なので、罪悪感というか事故のことを引きずってしまっている一面を上手く表現できたらいいねと片岡(翔)監督ともお話しさせていただいて、そこは常に頭に置きながら演じました。
――片岡監督は南さんを「僕の少ない言葉を理解して、一発で射貫いてくる天才性に驚いた」とコメントを寄せていましたが、撮影中もいろいろと話しながら役を作り上げていったんでしょうか?
そうですね。監督はシーンの撮影の前によくお話ししてくださって。「今の花はこういう心情だよね」とか「この発言にはこういう意図があるよね」とか説明してくださったのですが、それがすごくわかりやすくて、演じていてとてもやりやすかったです。
結構シーンごとにお話しさせていただいたんですが、監督は「こうやってほしい」とかではなくて、ニュアンスで伝えてくださることが多くて、演じ手に含みをもたせるといいますか、私も考えて自分の中の正解を探しながら、お芝居ができたという感覚も強いです。
■大西流星の印象は「真面目な方」
――あくまでも、南さんが演じる幅を持たせて、お話ししてくださったんですね。また、今作では、花の幼馴染・四井純役のなにわ男子・大西流星さんと初共演でしたが、南さんから見て大西さんの印象はいかがでしたか?
本読みのときに初めてお会いしたんですが、台本にすごく熱心に書き込みをされていた姿が印象的でした。真面目な方なんだなと。撮影のときはあまりお話しする時間がなかったんですが、常に純くんとして現場にいてくださったので、私はすごくやりやすかったです。また、夏の暑い中、撮影していたんですが、とても明るく現場を盛り上げてくださったのも、ありがたかったです。
――父・司朗役を演じた玉木宏さん、母・繭子役の桜井ユキさんの印象はいかがでしたか?
玉木さんはとても優しい方で、合間にお話ししているときと、演じている役柄の雰囲気のギャップがすごかったです(笑)。先ほども言ったんですが、撮影が夏ですっごく暑かったので、お会いするたびに「なんでこんなに暑いんだろうね……」とお話ししていました(笑)。
桜井さんは印象的なエピソードがあって。蚊がすごく多い現場だったんですが、普段そうでもないのに、なぜか私だけすごく蚊に刺されてしまったんです(笑)。その地域の蚊にとって私の血はごちそうだったんでしょうか(笑)。1回結構ひどく腫れてしまったことがあったときに、桜井さんが心配してわざわざ薬を買ってきてくださって! すごくありがたかったですし、本当に優しい方だなと感じましたね……。
――南さんが印象に残っているシーンはありますか?
純くんを家に呼んでパーティーをするシーンがあるんですが、そのシーンは皆さんと本当に談笑していたので、楽しかったです! 作中で唯一と言ってもいいくらいの明るい雰囲気のシーンですね(笑)。