ドイツ・ベルリンで開催されたIFA 2018の基調講演に、MicrosoftのNick Parker氏(Corporate Vice President, Consumer and Device Sales)らが登壇。Microsoftが現在注力している分野やサービスについての説明や、Windows 10の次期メジャーアップデートは「Windows 10 October 2018 Update」という名称になることなどが発表された。

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最初に登壇したParker氏は「The intelligent edge opportunity(インテリジェントエッジの機会)」をテーマにスピーチ。今年(2018年)のMicrosoftはWindows 10が引き続き好調で、現在で7億台のWindows 10デバイスが稼働しており、世界全体で新たに3億台のWindowsデバイスが販売されたという。2019年6月までの予測として、マーケット全体では、ハイパフォーマンスPCやゲーミングPCが15%、2in1 PCが17%成長するとしており、引き続きプレミアムモデルの市場が盛り上がりを見せている。

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    MicrosoftのNick Parker氏(Corporate Vice President, Consumer and Device Sales)

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    2018年に成長が顕著だった分野と、2019年6月までの成長予測

こういった市場予測を踏まえてParker氏は、2021年になると、大量のデバイスがインターネットやネットワークに接続され、多くのデータがやりとりされるとした。たとえば、ネットに接続されるデバイスは251億台にものぼり、そこから1日に送受信されるデータは一人ぶんでも1.5GB、スマートオフィスでは150GB、スマートシティーでは250PB(ペタバイト)にもなると解説。

Microsoftは自らのミッションとして「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」を掲げており、こうした膨大なデバイスが大量のデータを送受信するようになるような時代にも、プライバシーとサイバーセキュリティー、AIの倫理的運用の3つを守ってミッションに取り組んでいるとのこと。

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    3年後には莫大な数のデバイスが大量のデータを送受信するようになる

さらにParker氏は、Microsoftが注力している「人を中心とした体験」と「AI」、「ユビキタスコンピューティング」の3つの分野を提示。この3つの分野がインテリジェントクラウドとインテリジェントエッジを横断することで、ビジネスの新しい形を支えていくという。

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    マイクロソフトが注力している3つの分野

「人を中心とした体験」では、ゲーミング事業やMicrosoft 365といったサービスを始め、マルチセンス/マルチデバイス、「AI」ではプラットフォームやインテリジェントアプリケーション、AIソリューションなどを提供していく。

「ユビキタスコンピューティング」では、Microsoftのクラウドプラットフォーム「Windows Azure」を中心として展開。PCやスマートフォンだけでなくあらゆるデバイスがインターネットに接続され、インテリジェントな利用や運用ができるようになる。

その例として挙げたのが、チェーンソーブランドで世界No.1の「STHIL」から販売されている「Connected power tools」。チェーンソーや草刈り機などSTHIL製の工具を装着するデバイスで、Bluetoothによってスマートフォンと連携。工具の利用状況やメンテナンス状況などのデータを、クラウド上で管理できる。

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    指先のパーツがチェーンソーに装着されたコネクター

また、2018年6月に開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2018の基調講演でも紹介された、Cheetah Mobile製の翻訳機を再度紹介。Parker氏はこの翻訳機について「AI技術やAzureの機能が使われており、Microsoftが注力している分野の例としてわかりやすいデバイス」と説明した。

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    翻訳機はクラウドサービスやAIの技術を取り入れたデバイスの代表例