あきんどスシローは4月12日より、シャリに赤酢を使用した”赤シャリ”で寿司を出す試みを開始した。4月22日までの期間限定となるが、赤シャリを使うことになった背景を知れば、単なるキャンペーンという見方はできなくなる。味にも意味にも深みがあることがわかる。
赤シャリとは
大手回転寿司では初になるというスシローの新たな試み。それはシャリに赤酢を使用したことだ。赤酢は酒粕を時間をかけて熟成させ、そこから醸造してできた酒粕酢に旨み、塩味、甘みを加えて調整したものとなる。
赤酢は熟成時間が長く、原料となる酒粕の入手も難しいとされ、米酢よりもコスト高となる。そのため一般的に高級寿司店で利用される傾向にあるという。
赤酢を使うことで、寿司の味も変わる。熟成した酒粕が原料になることで、酸味とコクが生まれ、寿司ネタの旨みが感じられるようになる。
実はここが一番大きなポイントだ。昨年11月、国産天然魚を全国のスシロー店舗で提供するプロジェクトがスタートした。これが今回の取り組みにつながる大きな要素になっているのだ。天然魚の旨みを感じてもらうには、米酢よりも赤酢を使った赤シャリのほうが、ネタの旨みが感じられるからだ。
堀江陽商品本部長は「天然魚は口の中でかみ締めなければ味わいが出てこない。そこをどう引き出そうかと考えた。その結果として赤酢にチャレンジすることになった」と話す。
今の米酢に大きな不満があるわけではない。創業以来シャリにこだわり続け、時代の変化とともに、微妙に変化させ、そのまま食べてもおいしい自信のあるシャリに仕上げた。
しかし、「うまい寿司はこのままでいいのか、と自問してきた」(堀江氏)とし、赤シャリを使うことになった。