ニコンは5月10日、Zマウント採用のフルサイズミラーレスカメラ「Z 8」を発表した。「Z 9のDNAを継承する」とうたう高性能モデル。Z 9の性能を評価しつつ大きさや重さに不満を持つ人が少なからずいたことから、Z 9の性能を落とさずに小型軽量化を図った。写真や動画をより機動的に撮影したいと考えるプロやハイアマチュアユーザーを狙う。価格はオープンで、予想実売価格は60万円前後。発売は5月26日。
Z 8は、Z 9の高速撮影性能やEVFなどの装備を継承しつつ、縦位置グリップを省いて小型軽量化を図ったのが最大の特徴。ボディはZ 9比で約30%小型化し、フルサイズ一眼レフ「D850」と比べても15%小さくなったという。メモリーカードとバッテリーを含む重さは約910gに抑え、1,340gのZ 9よりも400g以上軽量化した。
4571万画素の積層型CMOSセンサーやメカシャッターを省いた機構、EXPEED 7などのキーデバイスはZ 9と同じで、秒20コマの高速連写や120コマ/秒のハイスピードフレームキャプチャー+、プリキャプチャーなどの機能もZ 9と同等。EVFのパネルや光学設計も同じ。
Z 9にはない新機能もいくつか追加した。写真は10ビット記録のHEIF形式に対応し、センサーではとらえていたが残せなかったものを豊かな階調表現で記録できるようにした。写真と動画では、肌だけをなめらかに表現する美肌効果を追加した。ライブストリーミング時にも有効。メモリーカードスロットは、CFexpress Type BとSDメモリーカード(UHS-II対応)のデュアルスロットとし、利便性を高めた。
オートフォーカスでは、3D-トラッキングなどの機能はZ 9と同等ながら、新たに飛行機検出モードを独立して搭載した。夜間などの低輝度時や背景が煩雑な状況でも、迷わずピント合わせできるようになった。
バッテリーは、Z 6IIやZ 7IIなどと同じで、Z 9よりもひとまわり小さいタイプを採用する。
- 撮像素子:5237万画素フルサイズCMOSセンサー(有効4571万画素)
- ボディ内手ブレ補正:イメージセンサーシフト方式5軸補正
- ファインダー:0.5型 Quad-VGA OLED(約369万ドット)視野率100%、倍率0.8倍
- シャッター:電子シャッター(センサーシールド搭載)
- ISO感度(写真):ISO 64~25600(ISO 64に対し約0.3、0.7、1段(ISO 32相当)の減感、ISO 25600に対し約0.3、0.7、 1段、2段(ISO 102400相当)の増感に対応)
- フォーカスポイント:493点
- 背面液晶:3.2型TFT液晶モニター(タッチパネル)、約210万ドット
- バッテリー:EN-EL15c
- 本体サイズ、重さ:約144×118.5×83mm、約910g(バッテリーおよびメモリーカード含む)
Z 9のような強烈な品薄にはならない見込み
Z 9は、発売前に予約が殺到して納期が大幅に伸び、購入希望者がなかなか入手できない状況が長く続いた。その反省を受け、Z 8は販売開始時に多くの数量を用意し、容易には品薄にはならないようにしたという。
Z 8の実機をいち早く試せる先行体験会を東京・大阪で開催
Z 8の実機をいち早く試せる先行体験会を、ニコンプラザ東京とニコンプラザ大阪で開催する。さまざまなZマウントレンズを交換して写真や動画が撮影できる「通常セッティング」と、Z 8にジンバルを装着して機動性を活かした動画撮影ができる「動画専用セッティング」のいずれかが選べる。期間は5月11日(木)~5月25日(木)の11時~18時。Webサイトからの予約が必要な完全予約制で、1人あたり約15分試せる。