映画『シャイロックの子供たち』(2月17日公開)の大ヒット御礼舞台挨拶が27日に都内で行われ、阿部サダヲ、本木克英監督が登場した。

  • 阿部サダヲ(写真右)

    阿部サダヲ(写真右)

同作は池井戸潤による同名小説の実写化作。東京第一銀行・長原支店で現金紛失事件が起き、お客様係の西木(阿部)は、同じ支店の愛理(上戸彩)と田端(玉森裕太)とともに、この事件の裏側を探っていく内に、ある事実にたどりつく。それはメガバンクを揺るがす、とてつもない不祥事の始まりにすぎなかった。

この日は主演の阿部の発案によって、スーツを着用して来場した観客に、100円をキャッシュバックするという“スーツ割”が実行された。さらに観客にはサプライズで、阿部が本作で演じた役柄同様の“お客様係”に扮し、劇場支配人とともに入口に立って来場した観客をお出迎え。“ベテランお客様係・西木雅博”と書かれた紅白のタスキを肩にかけた阿部の突然の登場に、何も知らずに来場した観客たちは驚きと感動の声を上げ大きな拍手が巻き起こった。

阿部は一人ひとりの入場に「いらっしゃいませ。ご来場ありがとうございます」と丁寧に頭を下げて感謝の気持ちを伝え、ジャケット姿の観客を見つけては「お仕事帰りですか?」「100円お返ししますね」と声を掛けるなど約30分間に渡り完璧な“お客様係”を務めあげ、観客たちは「こんなところで会えるなんて!」「本物ですか!?」と口々にこぼしながら手を振ったり会釈を返すなど、興奮気味に熱気が溢れていた。

全ての観客が場内に着席後、大ヒットスタートについてMCから触れられ、阿部は「池井戸先生もご機嫌らしいので良かったです」と原作者・池井戸潤のリアクションを代弁。本木監督は「僕の友達に結構エレファントカシマシのファンがいるんですが、主題歌の『yes. I. do』が現在リリースされているものと違うと。最後に“宮本さんのため息”がこの映画の締めとしてあるんですが、それを聞くためにまた映画館に行ったという声を貰って、それもすごく嬉しいことだなと思っています。宮本さんも2か月以上すごく考えて、たくさん出来た曲の中でこの『yes. I. do』 になったと聞いております」と主題歌にまつわる情報を明かした。

そしてこの日は阿部発案の“スーツ割”の呼びかけで、合計236名と観客の約半数以上がジャケット姿での来場となったが、場内を埋め尽くすスーツ姿の観客をみた阿部は「結構ジャケット来ている方が多くてびっくりしました、こういう景色が観たかったので、皆さん着て来てくださって嬉しかったです」と嬉しそうに場内を見渡す。“スーツ割”のアイディアについては「今回自分がずっとスーツを着ている役って珍しかったし、映画館がスーツで埋まったら面白いだろうなと思って。ちょこっと言ってしまったんです」と申し訳なさそうに切り出した阿部は「そうしたらこんなことになってしまって……! 皆さん大変でしたよね。なんかごめんなさいね」と観客を気遣う様子も見せた。

“お客様係”のお出迎えについて振られると、阿部は「今日銀行から来ましたって、一人銀行員の方がいました! こういう現金紛失事件とかはありますか? って聞いたら無いです! って言いながら入っていかれましたね」と入場口でのやりとりを話題に上げ、場内は笑いの渦。「あとは6回見たという方がいました」「男性がもっといらっしゃるかと思いましたけど、女性が多いですね」、「こうやって(上着の前を広げる動作)着てきたジャケットをみせてくれたり…」などと、映画を楽しみに来場したファンとの交流を振り返る。

また、実はそれぞれサラリーマン経験があるという阿部と本木監督。秋葉原の電気街でサラリーマンをしていたという阿部は「僕もサラリーマン経験があるので、いらっしゃいませというのは楽しいですね。久々な感じがしました。当時接客は苦手で。その感じを少し思い出しました 」と切り出しながら、職場の人から“辞表の書き方”が書かれた本を渡されたという衝撃のエピソードを告白。しかし「その人のおかげて僕はいまここに立っているので、感謝しないといけないですね。仕事には合う合わないってありますからね」とポジティブに語った。そんな阿部へ来場した観客へ“働き続けるためのアドバイス”を聞いてみると「僕はこの仕事を選んでよかったなと思っているので、楽しんで仕事が出来るのがいいんじゃないですかね」とコメントする。

一方、本木監督は「この作品を作っていて思ったのは、仕事に全身全霊をかけないで生きられるといいなと。そう言う風に思いますね。そんなに命懸けでやることではない、と言いますか、楽しむ余地を残しておけると。逃げ場を持つということを考えておくことも大事だと思います」と語ると、これには隣の阿部も大きく頷いて同意していた。

そんなすべての“働く人”向けのトークパートが落ち着くと、続いてプレゼントのパートが開催!今回の観客へのプレゼントは上述のキャッシュバックとお出迎えだけにとどまらず、“スーツ割”としてキャッシュバックした100円入りのポチ袋の中に、“当たり”が仕込まれていたことがここでMCから発表された。この“当たり”は原作者・池井戸のサインが入っているというもので、当選者は30名。スーツ姿でキャッシュバックを受けた観客たちは驚きの声をあげながら渡されたポチ袋を鞄から取り出して確認し、当選者は手を挙げるなど場内はざわつきの渦に。さらには池井戸のサイン入り原作本も5名の観客へ贈呈するということで、阿部と監督がBOXに入ったチケットの半券からそれぞれ当選者を決めていくと、当選者は嬉しそうに挙手をし、その度に場内に拍手が沸き起こる和気あいあいとしたプレゼントコーナーとなった。