与えられた試練をクリアすると、どんな願いでも叶えてくれる「おばけずかん」を手に入れた子どもたちが、迷い込んだ異世界で試練に立ち向かうジュブナイル冒険映画『ゴーストブック おばけずかん』が公開中。主人公の一樹(いつき)を演じた城桧吏に話を聞いた。

監督・脚本は『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、『STAND BY ME ドラえもん』『DESTINY 鎌倉ものがたり』の山崎貴氏。子どもたちに大人気の童話シリーズ『おばけずかん』をもとに、オリジナルの物語が展開する。

山崎作品らしく、作品のウリのひとつは作り込まれた異世界の映像。城はCGのおばけたちとも自然に共演しているが、現場では、今回の取材でも一緒だったおばけ・図鑑坊の非常に精巧なフィギュアが役立っていたとか。撮影エピソードや、子どもたちと一緒に異世界に迷い込む瑤子先生を演じた新垣結衣、「おばけずかん」が置いてあった古書店のあやしい店主を演じた神木隆之介の印象を聞いたほか、「もし『おばけずかん』を手に入れたら?」の質問には、城から意外な答えが返ってきた。

  • 城桧吏 撮影:望月ふみ

    城桧吏 撮影:望月ふみ

■CGだけでなく、古書店や不思議な街は実際に作り込みも

――一樹のキャラクターは、どうやって掴んでいきましたか?

最初に、子どもたち4人で自分の演じるキャラクターのイメージや性格を、紙に書いて発表し合ったんです。そのあとに、今度は太一(柴崎楓雅)、サニー(サニーマックレンドン)、湊(吉村文香)それぞれから見た一樹の姿を言ってもらったりと、お互いにイメージを言い合って、それぞれの役柄を固めていきました。一樹の弱い部分や強み、ビビりで役立たずと言われてたりもするんだけど頑張って最後にはちゃんと向き合っていくキャラクターという、自分で脚本を読んだときに感じた性格を再確認していきました。

――VFXやCGの多い作品です。撮影は大変だったのでは?

古書店の造形も建ってましたし、文字がおかしくなっている異世界の看板なども、実際に作られてたんです。

――そうだったんですね!

すごかったです。最初、文字が変わっていることに気づかなくて。言われてから「あ、本当だ! 文字が違う」と、みんなで驚きました。大変だったのは、図鑑坊との掛け合いですね。すごくちっちゃいのに動き回る図鑑坊に目線を合わさなきゃいけなかったし。でも現場にも、このフィギュアがいたんです。

――このフィギュアがですか? とても精巧に作られていますね。

そうなんです。テストではこの図鑑坊を置いていました。本番にはもちろんいないんですけど、おばけ役の声優さん(図鑑坊・声:釘宮理恵)が先に声を録っていて、その声を聴きながらお芝居できたので、動きのタイミングとかも分かって、すごくやりやすかったです。

■もしもゴーストブックの異世界に入ってしまったら?

――映像処理が加わったことで、出来上がりを観て驚いたシーンは?

異世界に入った一樹が家に帰ったときに、天井を見て「なんだ…あれ!?」と言うシーンがあるんです。監督から「天井のあそことか、この辺が動くからね」と言われてお芝居してたんですけど、出来上がりを観たら、自分が想像していたよりも、すっごく天井が動いていたんです。さらに驚きました(笑)

――ちなみに城くんが、ゴーストブックの異世界に入ってしまったとして、仲間と一緒なら試練に立ち向かえますか?

……1日考えます(笑)

――ええ!? ゴーストブックの試練には時間制限がありますよ。1日考えてたら、その分、時間が。

そうなんですけど。でもこの挑戦って、やっぱり命がけじゃないですか。口ではいくらでも「やれる」と言えますけど、実際に自分がその立場になったら、「1日は考えさせて欲しい」と体がなると思います。だから悩んでいるうちに1日使っちゃってる気がします。

――正直ですね(笑)。実際に会ってみたいおばけを教えてください。

“山彦”(声:杉田智和)です。映画にも登場しますが、僕、山彦の能力がすごく好きなんです。ネタバレになるので本編での活躍は詳しく言えませんけど、あの能力は僕自身、すごく欲しいです。それに、山彦って、実際に暮らしていても聞こえるものですよね。だから本当にいそうな気がするし。

――実際に山彦を聞いたことはあります?

1回か2回やったことがあったと思います。ちゃんと返ってきました。あれもひょっとしたらおばけだったのかな(笑)

■先輩・新垣結衣と神木隆之介の印象は

――新垣さんと神木さんの印象もひと言ずつお願いします。

新垣さんは、テレビで見て思っていた「明るくて面白い方」というイメージそのままでした。それプラス、今回は役もあるのか、先生っぽさがあってすごく優しくてお話ししやすかったです。

――舞台挨拶で、新垣さんが城くんのギャグに笑ってくれたと話していましたが、城くんは普段、みんなの前でギャグを言うタイプなんですか?

ギャグというか、おやじギャグです。一発ギャグとかじゃなくて。みんなが話している途中で、ギャグが浮かんだらいきなり言っちゃいます。それに新垣さんが気づいて笑ってくれたんです。友達と一緒のときは、みんな白けながら笑ってます。

神木さんとは撮影が少ししかなかったんですけど、最初にご挨拶に行ったときに「敬語なんて使わなくていいよ」と言ってくださって、そのあとも「最近、何が流行っているの?」とか、積極的にコミュニケーションを取ってきてくださって、すごく素敵な方でした。

■「いろんな役に挑戦したい」学校で楽しいのは英語

――城くんは現在高校1年生です。これからどんな俳優さんになっていきたいですか?

いろんな役に挑戦したいです。アクションもやってみたいですし、犯人役とか、シリアスな役とか、怖い役とか。

――恋愛青春映画は?

あー、考えたことなかったです。でも機会があるなら、もちろん挑戦したいです。

――学校生活では今何が楽しいですか?

英語が楽しいです。もともと英語は好きだったんですけど、でも全然できなかったんです。本当に全く。でも高校生になって、周りに英語を話せる子が結構いて、みんなで教え合ったりしていたら勉強も楽しくなってきて。お芝居でも将来、使える機会があればいいなと思っています。

――最後に、本作でお気に入りのシーンと、見どころを教えてください。

お気に入りは2つあって、1つめはクライマックスで、“ある最強のおばけ”との戦いのシーンの一樹です。撮影しているとき、どうなってるんだろうと思っていたんですが、出来上がりを観たら、上から光のあたるかっこいいシーンになっていて、すごく好きです。もう1つは新垣さん演じる瑤子先生の、最初と最後に出てくる学校シーンです。詳しくは言えないんですけど、感動的で好きです。見どころは、個性豊かなかわいいおばけたちと、VFXを使った素晴らしい映像や景色です。ゴーストブックの世界観に圧倒されると思います。それから、成長していく5人の姿にもぜひ注目してもらいたいと思います!

■城桧吏
2006年9月6日生まれ、東京都出身。第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督作品『万引き家族』(18年)で一家の長男を演じ、世界中から注目を集める。その後も大河ドラマ『西郷どん』(18年)などのドラマ作品や、映画『約束のネバーランド』(20年)に出演し、『都会のトム&ソーヤ』(21年)では初主演を飾った。