女優の長澤樹、俳優の窪塚愛流、宮嶋風花監督が16日、「島ぜんぶでおーきな祭 第14回沖縄国際映画祭」で行われた映画『愛のゆくえ』制作発表に登壇した。

  • 左から窪塚愛流、長澤樹、宮嶋風花監督

この日上映された宮嶋監督作『親知らず』の舞台挨拶とともに、宮嶋監督の最新作『愛のゆくえ』の制作発表が行われた。

宮嶋監督は、「第10回クリエイターズ・ファクトリー」において、『親知らず』でグランプリを受賞。社会的弱者・マイノリティに対する圧倒的な愛情が審査員や観客から高い評価を得た。そして、「クリエイターズ・ファクトリー」歴代受賞者による商業デビューをかけたワークショップを勝ち抜き、商業映画での監督デビューを果たす。

『愛のゆくえ』は、孤独な少年少女が愛を探し続ける物語で、主人公・須藤愛を長澤樹、愛の幼なじみ・伊藤宗介を窪塚愛流が演じる。撮影は今年1月に北海道で実施。この日の制作発表でフッテージ映像がお披露目された。

宮嶋監督は本作について「親を亡くした孤独な少年少女が、生きるために愛を探し続けるというストーリー。雪景色の真っ白な世界の中で、2人が過去も現在も時空もいろんな気持ちも超えて何を見つけていくのかというのが見どころです」と説明。

北海道で撮影した理由を「大学卒業までの22年間ずっと北海道で暮らしていました。脚本を3年ぐらい書いていて、最初は場所を明確には決めてなかったんですけど、今まで経験してきたことをパズルみたいに組み合わせて作っている作品でもあるので、地元・北海道で撮れたら本領が発揮できるのでは、そして、その気持ちを2人にも共有できると思い、北海道で撮りました」と明かした。

長澤と窪塚も、観客とともに初めてフッテージ映像を鑑賞。長澤は「美しい映画になるんだろうなと想像していたんですけど、予想を遥かに上回るものを見させていただいたなと思ってすごくドキドキしました」と感想を述べ、窪塚も「皆様方と大きいスクリーンで、監督と長澤さんと一緒に見られたことを心の底からうれしく思っています」と感激していた。

宮嶋監督は2人の起用理由も説明。長澤について「パッとお顔を見てすぐに『この子、愛ちゃんだな』と思ったんです。写真で見たときはオシャレな子だと思ったんですけど、いい意味で全然違って、いい意味で素朴で目力が強くて、まだ16歳なのに私よりも年上に思えるくらい。そういう芯のしっかりしている部分、目力の強い部分が愛に通ずるなと思って樹ちゃんにしました」と明かすと、長澤は「うれしいです」と喜んだ。

続いて、窪塚について宮嶋監督が「SNSをフォローしている」と明かすと、窪塚は「そうなんですか!? 初耳です」と驚いた様子。そして、監督が「写真で見て尖っている印象があった。宗介が尖っている役ではあるんですけど、実際に会ったら全然タイプが違って。でも2人とも目力がすごい。愛流くんは吸い込まれそうな目をしていて、印象は違いましたが、本当に愛流くんにしてよかったなとすごい思いました」と述べると、窪塚は「ありがとうございます」と感謝した。

宮嶋監督はまた、「愛と宗介以外にも、心の居場所をなくした人たちがいっぱい出てきます。徐々に生きづらい世の中になっている気がして、コロナが流行ったこともあると思いますが、なんでもかんでも合理化、効率化重視にして、無駄なものはどんどん省いていこうという世の中になっている気がする。その中で外されてしまう人は存在すると思っていて、普通じゃないって言われる人たちは増えている気がして、そういった人たちに見てもらって何かヒントを感じてもらえたらいいなと思っています」と本作に込めた思いを語った。

『愛のゆくえ』は、2023年公開予定。