「俳優としての基盤ができた」。アイドルグループ・Sexy Zoneの中島健人にとって、主演を務めたNetflix映画『桜のような僕の恋人』(2022年3月24日全世界独占配信)は、かけがえのない経験になった。全世界に配信されるということも、世界を目標にしている中島は大きな期待を寄せている。本作出演が自身にとってどんな経験になったのか、そして、俳優としての目標を聞いた。
宇山佳佑氏作の同名小説を映画化した本作は、美容師の有明美咲に恋をした朝倉晴人が、目標に向かって頑張る美咲にふさわしい人間になるべく、諦めかけていたカメラマンへの夢を再び追いかけるが、美咲が「人の何十倍も早く老いていく」という難病を発症するというストーリー。かねてより原作ファンを公言していた中島が主人公・晴人、松本穂香が美咲を演じた。
――制作発表時には「26年の人生の最高傑作にしたい」と熱いコメントをされていました。撮影を終えた今、どのように感じていますか?
この作品は僕の人生を変えるものになると思っています。配信日以降、きっと何かが変わるんじゃないかなと。何が変わるのか漠然としすぎていてわかりませんが、これまでの作品と違うのは、この映画が見られる場所が日本だけではないということ。僕たちの作品をたくさんの国の方に評価をしていただけたらすごくうれしいし、そういう未知なる可能性を秘めた、日本の桜を世界中にアピールできる大きな機会だと思っています。
――中島さんもグループも、かねてより世界を目指していますが、今回の作品で手応えを感じていますか?
作品を世界に発信していくという点ではスタッフさんとすごくいいチームが組めていますし、皆さんの感想や評価が最終的に自分のグループにもいい風に影響したらいいなと思っています。グループの考える世界と、僕が俳優として見ている世界は少し角度が違いますが、今回は日本のラブロマンスを世界中の方に楽しんでいただきたいです。
――ラブストーリーに対する思いも教えてください。
昔からラブストーリーとかラブロマンスを見て育ってきた人間なので、ラブシーンに対する理想もありますが、相手役とのやりとりになるので現場でしかわからないワクワク感があります。ラブストーリーに挑戦させていただける機会が増えたのは、『黒崎くんの言いなりになんてならない』が大きかったかもしれません。『黒崎くん』があったからこそ今つながっている。表現としてラブロマンスが合っているなと思うときはあります。
――晴人のキャラクターはどのように作っていきましたか?
(深川栄洋)監督が僕に提案してきた晴人像は、演じるのが難しかったです。監督と宇山先生、そして僕の考え方の唯一の相違点としては、僕は晴人に対して、あんなにもさくないイメージで、もう少し清廉さがあると思っていたんですけど、お二人は「晴人は最初からこうです」とおっしゃっていました。
――普段の中島さんのオーラが封印されていましたが、どのように役作りしたのか教えてください。
実生活から陰にしていきました。本番になった瞬間に切り替えられる役ではないと思ったので、現場でも晴人でいないといけないと。いつものテンションではなく何の飾り気もなくそのままいたという感じでした。アイドル活動をしている僕にとっては難しいこともありましたが、普段からそういう心構えで臨んでいたので、ファンの方には「ちょっと地味だったらごめん!」という感じでした(笑)。
――晴人に入り込んでいたとき、メンバーやスタッフの方から何か言われましたか?
(佐藤)勝利くんはずっと「世界配信の映画楽しみ」って言ってくれているので、その期待に応えないといけないなと思いました。
――中島さん自身は晴人とは遠いと感じていますか?
皆さんが自分に持つイメージが、どうやらすごくキラキラしているらしいので。自分では普通のどこにでもいる男だと思っていますが、「まだキラキラしている」と言われるのが嫌だったから、いつも以上に役に近づこうと、ひたすら役を思って3カ月過ごしました。
――もさくなるために、監督から髪型や洋服について提案は?
髪型をボサボサにすることや、歩き方、姿勢について言われました。走り方も意識したかな。渋谷を走るシーンは全然僕の走り方ではないので。「ドレミファソラシドのファの音からセリフを始めてください」といった演出もあり、難しかったです。でも途中から晴人を演じていて全然苦労しなかったんです。完全に入れたなって。別人になれるって楽しいですね。