人気スパイ・アクション「キングスマン」シリーズの最新作『キングスマン:ファースト・エージェント』(12月24日公開)で、洋画吹替初挑戦を果たした俳優の小澤征悦。レイフ・ファインズ演じる主人公のオックスフォード公役をオーディションで手にし、「ものすごくうれしかったです」と喜びの一言。英国紳士が登場する内容にちなみ、憧れの紳士像を聞いてみると「“人に優しく”という、父からの教えを大切にしたい」と父で指揮者の小澤征爾氏が示してくれた“優しさ”を追求していきたいと話す。父から「女性を守らなければいけない」という教えももらったという小澤が、役者になったきっかけや人生のモットーまでを明かした。
礼儀正しい英国紳士が戦闘モードに入った瞬間に豹変するギャップや、キレキレのアクション、ギミック満載のスパイガジェットやユーモアを絶妙にきかせたセリフなど、唯一無二の世界観で観客を魅了している「キングスマン」シリーズ。最新作となる本作では、1914年を舞台に歴史の裏に隠された世界最強のスパイ組織“キングスマン”の誕生秘話が描かれる。
小澤が演じるのは、平和主義のイギリス名門貴族であるオックスフォード公役で「スタイリッシュでウィットに富んだ英国紳士の姿や、その裏の活躍を描くという内容もワクワクしますよね」とシリーズの大ファンだったという小澤。「オーディションを受けて、合格の知らせをもらったときはものすごくうれしかったと同時に、気持ちも引き締まりました」とプレッシャーも感じたと話す。
洋画吹き替え初挑戦にして、主人公を演じることになった小澤。「ラジオでの朗読やオーディオブックなど、これまでも声の仕事をやらせていただいているんですが、やっぱりとても難しいもので。大変なことも身に染みて知っていました」と口火を切り、「『キングスマン』を楽しみにしている方々にきちんとその世界観を伝えられるよう、僕にできる限りのことをしっかりとやらなければと気合を入れてアフレコに臨みました」と力強くコメント。
オックスフォード公は、息子のコンラッド(ハリス・ディキンソン)とともに“キングスマン”のスピリットを誓い合い、世界大戦を操る闇の狂団に立ち向かう役どころとなる。小澤は「監督からは『少し低めの声で、落ち着いた感じのトーンでやっていきましょう』と演出がありました。英国紳士としてのかっこよさとともに、その裏には熱い気持ちを隠しているという二面性を出せたらいいなと思いながら、演じさせていただきました」と演じる上ではシリーズの魅力でもある“二面性”が鍵となった様子。「やはり『キングスマン』ですから、格闘シーンも多いんです。ハードな戦いもあって、それを声で表現することはかなりの技術を要することだと思いました。監督と話して、いろいろなパターンを考えながら挑戦したのを覚えています」と振り返る。
■父の教えを大切に「楽しい空気を作れるような人でありたい」
オックスフォード公と、彼が愛してやまない息子・コンラッドとの関係性も大きな見どころとなる。彼らの関係性について、小澤は「英国紳士らしく、オックスフォード公は息子のことを一人の紳士として見ている。決してベタベタはしないけれど、そこにしっかりと愛情があるというのがとてもいいなと思いました。表面には見せないけれど、息子のことが心配で温かい眼差しで見つめている」とにっこり。
本作で描かれる父から息子への愛に触れて、自身の父を思い出したことはあるだろうか? すると小澤は「うちの親父は、オックスフォード公みたいにかっこよくない」と笑い、「むしろベタベタしてくる方だし、オックスフォード公とは真逆かもしれないですね。ただ、父と息子の固い絆という意味では、僕も共感できるものがあります」と告白する。
父からの教えで胸に刻んでいるのは、「常に女性を守ること」、そして「人に優しく」ということ。「うちの父は1年の半分くらいは海外に出かけていたので、その間は家に母と姉と僕だけになる。男が僕一人になるので、子ども時代には『男はお前一人になるんだから、ちゃんと守らないといけないよ』『女の子には暴力なんて絶対にしちゃダメだよ』ということをよく言われていましたね」と述懐。小澤の“憧れの紳士像”という意味でも、父からの教えが鍵を握っているといい、「やっぱり常に“人に優しく”という、父からの教えは大切にしたいです。誰と話す上でも相手と同じ目線になって、楽しい空気を作れるような人でありたいです」と語るように、この日もその場がパッと明るくなるような笑顔とトークでインタビューに応えていたのが印象的だ。