ファーウェイ・ジャパンが2022年11月18日に発売した「HUAWEI Watch GT 3 SE」は、実売価格25,000円ほどで入手できる高コスパなスマートウォッチだ。本稿では、同機を1か月半ほど使ってみたので、その概要を振り返りつつ、使用感をお伝えしたい。

  • HUAWEI Watch GT 3 SE。カラーはグラファイトブラック(左)とワイルドネスグリーン(右)の2色を用意する

まずはGT3シリーズについておさらい

ファーウェイは「HUAWEI WATCH」シリーズとして多様なスマートウォッチを展開しており、ラインナップはややわかりづらい。まず本製品「HUAWEI Watch GT 3 SE」の立ち位置を確認しておこう。

製品名に「GT」が付く「HUAWEI WATCH GT」は、バッテリー持ちが長く、スポーツシーンやカジュアルなアウトドアシーンまで対応できるシリーズだ。

同シリーズの最新ナンバリングである「HUAWEI WATCH GT3」が登場したのは、2021年12月のこと。なお、1月29日時点におけるHUAWEIストアでの「HUAWEI Watch GT 3」の価格は、42mmモデルが30,580円、46mmモデルが31,680円だ。

  • HUAWEI WATCH GT 3

22年7月には、そのGT 3シリーズにおけるフラグシップモデルとして「HUAWEI Watch GT 3 Pro」が発売された。こちらはアクティブモデル 、クラシックモデル 、クラシックモデル 、エレガントモデル のように、豊富なバリエーションが用意されている。価格はモデルによって異なるが、43,780円~76,780円(発売時)で、無印のGT 3に比べれば一回り以上高額だ。

  • HUAWEI WATCH GT 3 Pro

そして、22年11月に発売されたのが、一般的に廉価モデルを意味する「SE」の表記が付いた「HUAWEI Watch GT 3 SE」だ。実際に価格も27,280円(HUAWEIストア)で、少し手頃。販路によっては25,000円弱で入手できることもあるようだ。

HUAWEIストアでの価格を比べる限り、GT3 SEと無印のGT3との差額は3,300~4,400円ほど。価格面のインパクトはそこまで大きくはないものの、堅実に値段を抑えてきた約1年ぶりのモデルという立ち位置といえるだろう。

  • HUAWEI WATCH GT 3 SE

今回レビューしたのは、この廉価モデルに相当する「HUAWEI WATCH GT3 SE」だ。

GT 3 SE実機で概要と特徴をチェック

HUAWEI Watch GT 3 SEのケースサイズは、46mmのみ。カラーは「グラファイトブラック」「ワイルドネスグリーン」の2色を選べる。

ケースサイズは、縦46.4 mm × 横46.4 mm × 厚さ11 mm。ケース部の質量は約35.6gで、装着感も軽やかだ。材質は「ポリマーコンポジット」(=ポリマーを含む複合材料)とされている。

  • HUAWEI Watch GT 3 SE。ディスプレイには1.43 インチAMOLEDタッチスクリーンが採用されている。常時表示は「設定」→「文字盤とホーム」→「常時表示」をオンにすると有効になる

デザインとしては、ダイビングウォッチのようなベゼルが特徴的だ。ただし、GT 3 SEのベゼルは特に回転するわけではない。物理ボタンは、2時位置(リューズ型)と4時位置(四角型)の2つ。なお、2時位置のリューズは回転操作には対応しない。

ストラップには、TPUファイバーが採用されている。肌に触れる面は滑らかに整えられており、付け心地はさほど悪くない。

  • ストラップ表側には、ホールに沿って溝が掘られており、デザインとしてのアクセントとなっている。なお、ブランドロゴは「HUAWEI Watch GT」となっており、製品に詳しい者が見ない限り、外観から廉価モデルであることはわかりにくいだろう

バックルは、シンプルなピン式。余ったストラップを抑えておく「遊環(ゆうかん)」は、内側に突起があり、ストラップのホールにハマるようになっているのが特徴的だ。ただし、この構造は、遊環がズレなくていいのだが、着脱時には引っ掛かりがあるので、着脱を頻繁にする人だと、少し気になる部分でもあるかもしれない。

  • ストラップの遊環にはホールに引っかかるための突起が備わっている

上位モデルと何が違う? 価格差の理由を考察

さて、GT 3 SEは無印GT3よりも3,000~4,000円ほど価格が抑えられている一方、どんなスペックが抑えられているのかが気になる点だ。

GT 3 Pro/GT 3/GT 3 SEというラインナップがある中で、スペックの差分をチェックしておこう。ひとまず以下の表組に、まとめてみたので、主な違いを確認したい。

  • HUAWEI WATCH GT 3 Pro/GT 3/GT 3 SEのスペックを比較 ※画像1クリックで拡大、2クリックで最大化(横1,280ドット)

こうして比べてみると、(1)ケース素材がステンレススチールではなく、ポリマーコンポジットであること、(2)ストラップバンド素材がフルオロエラストマーではなく、TPUであること、(3)温度センサーが非搭載であること――という3点が差異のポイントであることがわかる。

言い換えるならば、(1)外観の高級感、(2)付け心地の良さ、(3)皮膚温の測定に非対応であること――が気にならない人ならば、GT 3 SEを選んでも問題ないというわけだ。

長時間着けてもOK、機能面も満足度高め

実際にHUAWEI WATCH GT 3 SEを使ってみた感想としては、まずTPU素材でありながらも、長時間付けていて不快感はさほどなかったことが印象的だった。

筆者はフルオロエラストマー製のストラップバンドにも慣れているが、入浴時を除き、GT 3 SEを常に装着し続ける生活を送れた(※5ATM対応ではあるが、温水のシャワーや温泉、サウナなどの際に使用することはできない)。

この要因としては、筐体が約35.6gと軽かったこと。そして、TPU製のストラップバンドは、フルオロエラストマーよりも硬めではあるものの、肌に触れる面に滑らかな凹凸が施されており、エッジ部も面取りされているような形状に整えられていたことなどが、効いているのだと思う。

一方、機能面での満足度も十分だった。例えば、ヘルスケア関連の心拍数や、血中酸素、運動量、睡眠などは一通り記録できる。ストレスのモニタリングや呼吸エクササイズなども測定できる。皮膚温測定こそできないものの、筆者がスマートウォッチに期待するレベルでの運用は十分可能だった。測定の精度についても、特に気になることはなかった。

  • 心拍数(左上)、血中酸素(右上)、運動量の目標達成度(左下)、睡眠時間(右下)を確認できるウォッチの画面。ホーム画面の左右スワイプで表示される

  • 敢えて気になったところを上げるならば、睡眠データの詳細などはウォッチ画面でなくスマートフォンのアプリからでないと確認できないのがやや億劫に感じたが、不満はその程度だ

さらに、ワークアウトの測定については、基本18種類+85種類のカスタムワークアウトなどをサポートしており、シティユースはもちろん、少しマニアックなスポーツ・トレーニングなども幅広く測定できる。ちなみに、2万円台で購入できる端末なのに、動作環境が-20℃~+40℃と広いのもなかなか心強いポイントだ。

  • ワークアウト測定中の画面例

  • ワークアウト測定の際に「ルートバック」機能を試してみた様子。ハイキングやカジュアルな登山の際に、役立ちそうだ

バッテリー持ちについては、ワークアウトの頻度など、使用方法によって大き増減するので言及しづらい。ただし、最近出不精気味の筆者が実際に使っていた範囲だと、確かに2週間ほどに1回充電するようなルーティンだった。この点は、GTシリーズお馴染みの使い勝手だ。今回も仕様表の数値(最大14日間)が信頼できる目安になるだろう。

  • 充電は、同梱されている専用のワイヤレス充電機を使用する。向きは固定されないので扱いやすい

ちなみに、GT 3 SEには決済機能が備わっていないことは理解しておこう。筆者は特に困らなかったが、購入検討段階で把握しておきたいポイントの1つではあると思う。

まとめ – 外観で検討できるコスパのよい1台

こうした特徴を踏まえて、HUAWEI WATCH GT 3 SEは、かなりコストパフォーマンスの高いモデルに仕上がっていると感じた。

  • OSはHarmonyOSを採用。Android、iOSに両対応する(※Android 6.0以降、 iOS 9.0以降)

先ほど、上位モデルとの主な差異として、(1)外観の高級感、(2)付け心地の良さ、(3)皮膚温の測定という3点を挙げた。しかし、(2)の付け心地というデメリットは実際にはさほど気にならなかったし、(3)の皮膚温測定は需要が限られる機能だ。つまり、外観さえ気に入れば、“買い”なモデルだとは思う。

たしかにデザインについては、ステンレススチールなどを採用した上位モデルと比べ、安っぽく思える部分もある。しかし、服装によっては問題なく馴染む。46mmというサイズ感が問題なく、ケースデザインに違和感がなければ、上位モデルよりも安価に入手できる一台だ。

ヘルスケア機能のみを重視するならば、昨今はスマートバンド型の選択肢も多い。そのうえで、ディスプレイ表示領域の広い円形のウォッチ型製品を希望し、デザインの高級さはこだわらないという場合――さらに、決済機能は不要で、充電持ちやコストパフォーマンスの高さを重視したいという場合、HUAWEI WATCH GT 3 SEはぴったりの製品だと思う。