2022年6月18日に『Virtua Fighter esports(VFes)』のJeSUプロライセンス認定大会である「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_1【1st】FINAL」が開催されました。U22部門で優勝したのは滅リュウJacky★選手、FREE部門で優勝したのは赤丹しわぽ選手、準優勝はバルゴ選手でした。
大会では、オンライン予選を勝ち抜いたFREE部門16名、U22部門2名のファイナリストがオフライン会場で雌雄を決します。U22部門はプロライセンス発行の権利の付与はありませんが、優勝者にはゲーム内称号の「スタープレイヤー」を授与。FREE部門では上位2名にプロライセンス発行の権利を、優勝者に「スタープレイヤー」の称号が与えられます。
前回行われた「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_0 FINAL」でプロライセンスが付与されたびた(前大会登録名ちびたろう)選手とカメレオン選手は今回の大会の参加権がないので、必ず2名のプロ選手が生まれます。
試合形式は、1ラウンド45秒、3ラウンド先取、3試合先取。U22は決勝戦のみが開催され、FREE部門はシングルエリミトーナメントで大会が進行します。
U22部門はジャッキー使いの滅リュウJacky★選手と影丸使いのラグナ選手の対戦。勝利したのは、滅リュウJacky★選手です。前回大会も決勝戦までコマを進めるも、やそかみ選手に敗北してしまったので、2度目の挑戦でU22の頂点に立ちました。
FREE部門に出場した16名は、前大会やプレ大会でもファイナリストに名を連ねた猛者ばかり。誰が優勝してもおかしくない状態です。その中でも下馬評が高かったのは、ジャッキー使いのとんちゃん選手。現役最強プレイヤーとの呼び声が高く、大本命とみられています。
ただ、前回大会も優勝候補に名を連ねながらもカメレオン選手に敗北し、その前の大会でもハート様に敗北し、優勝を逃しています。今大会では、初戦のレオラオ選手を倒すも、2回戦の首なしライダー選手に敗北。プロライセンス大会2度目の挑戦、『VFes』の公式大会3度目の挑戦も実りませんでした。
このとんちゃん選手の結果からチャンスを感じ取ったのがバルゴ選手。バルゴ選手は、とんちゃん選手を苦手としている選手です。今回もトーナメントの違う山だったらと嘆いており、バルゴ選手いわく「とんちゃん選手と対戦して勝つ確率は3%ですね」とのことでした。
ただ、とんちゃん選手を下した首なしライダー選手のレイフェイが簡単に倒せる相手かというと、そういう訳でもなく、気が抜けない相手ではあります。
しかし、準決勝でバルゴ選手が首なしライダー選手を3-1で破り、決勝進出とプロライセンスの取得を決めました。バルゴ選手は、前大会までバルゴのジャン選手として登録していましたが、今大会からバルゴと改名。eスポーツシーンになり、これまで「バルゴのジャン」と呼び捨てにされていたところ、「バルゴのジャン選手」と選手を付けて呼ばれるようになったことを受け、呼びやすく短くしたそうです。
ちなみに、バルゴ選手は「自分が勝ったときよりも人(とんちゃん選手)が負けたときのほうが喜んでしましった」と語っており、その喜びの様子はほかの対戦相手に撮影され、SNSでも拡散されていました。
もうひとつの山のトーナメントはポメタロウ選手のジェフリーが猛威を振るいます。何度、失敗してもトゥーキックスプラッシュマウンテンを狙い、大事な場面で決めきり、相手の体力を一気に溶かしていきます。
そんなポメタロウ選手を止めたのは、パイ使いの赤丹しわぽ選手。持ち前の固いガードでポメタロウ選手の猛攻を凌いでいきます。そして、1勝1敗からパイからブラッドに変更すると、そこから2連勝で決勝進出を決め、マルチキャラ使いの赤丹しわぽ選手の真骨頂を見せました。
決勝戦はバルゴ選手対赤丹しわぽ選手。1キャラを突き詰めるバルゴ選手に対して、パイを中心にさまざまなキャラを使う赤丹しわぽ選手と対照的な一戦です。赤丹しわぽ選手が2連勝してからバルゴ選手が1勝を取り返すと、赤丹しわぽ選手がエル・ブレイズにキャラチェンジ。しかし、リーチの差にエル・ブレイズは手も足も出ませんでした。
そこで再度、パイにキャラチェンジして最終戦を迎えます。最後の最後に赤丹しわぽ選手のコマンドミスによる背転脚が当たり、そこで決着。格闘ゲームあるあるのいわゆる「やってない」技で勝利をしたことに、赤丹しわぽ選手はバルゴ選手に謝罪をしていました。
試合後のインタビューで赤丹しわぽ選手は、エル・ブレイズを出したことについて「eスポーツになったので、いろんなキャラをみなさんに見せられればいいなと思って使いました」と答えていました。エル・ブレイズを出した決勝戦ではプロライセンスの取得が確定していたので、この時点でプロゲーマーとなったわけですが、すぐに大会、ゲーム、eスポーツを盛り上げるためにやるべきことを考えていたのは、圧巻でしょう。
赤丹しわぽ選手の『バーチャファイター』歴は10年以上あるものの、2~3年は本格的に活動していなかったブランクの時期もありました。今回の大会も世話になっている人に大会に出てほしいと言われて参加を決めたとのこと。応援してくれる人のために出場し、結果を残すことで、プロとしての気質の片鱗を見せつけていました。
『バーチャファイター』シリーズはロングランタイトルで、長期間プレイしている人ばかり。そのため、出場選手はいずれも個性的で、大会を盛り上げる術を知っています。首なしライダー選手のモテアピールやぷうた選手の決まりすぎた髪型、45歳にしてトップシーンを目指すSHU選手、強面坊主のポメタロウ選手、唯一無二の存在であるぶるは選手とタレントぞろいです。彼らの言動や行動を見ているだけでも十分楽しめますので、彼らがプロゲーマーとして多くのメディアに露出する日が楽しみです。
さて、「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP」の今後ですが、今大会も、とんちゃん選手のプロライセンスの取得が見送られたため、次回以降に持ち越しとなります。ほかの選手にとってみれば、いつかは取る人なので毎大会で、プロライセンス取得枠のひとつが埋まってしまうと思うのであれば、早々に取得してもらいたいのではないでしょうか。
そう考えるとほかのJeSUのプロライセンスタイトルのように、メーカー推薦枠である程度の実績のある人は最初にプロ指名しておいたほうがよかったかもしれません。プレ大会で優勝したしろ選手やSeason_0で優勝したハート様選手も現状プロライセンスを取れていないわけですから。
また、確実に1大会でプロ選手2名を輩出するために、プロ選手の出場が見送られる状況も大会を重ねるごとに強豪選手の参加が少なくなっていくのも、大会動画視聴勢としてみれば若干物足りなさが出てくる気もしています。
次回の「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_1【2nd】」は10月1日よりオンライン予選が開始。11月6日にはオフラインでFINALが行われる予定です。興味のある人は、ぜひ、参加してみてはいかがでしょうか。特にU22は参加者が少なめだったそうなので、スタープレイヤーの称号を獲得する大チャンスですよ。
著者 : 岡安学
おかやすまなぶ
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