米Microsoftは5月4日(現地時間)、OpenAIとの提携によるAIチャット機能を組み込んだ「新しいBing」を公開プレビューに移行させた。また、「Bing Image Creator」の対応言語の拡大、マルチモーダル対応、チャットの履歴、チャットのエクスポートと共有、チャットへのサードパーティのプラグイン導入など、今後提供を予定している新機能や機能強化を明らかにした。
新しいBingは2月から参加者を制限したプレビューとして一般に提供され始め、参加するにはウェイティングリストに登録して順番を待つ必要があった。4日にLimited PreviewからOpen Previewに移行し、順番待ちリストに登録することなく、MicrosoftアカウントでBingにサインインするだけで、新しいBingおよびEdgeに統合された新しいBingの機能をすぐに試せるようになった。
3月にプレビュー提供が始まったBing Image Creatorは、言葉による説明から画像を生成するAIツールであり、OpenAIの画像生成AI「DALL∙E」の最新のモデルを搭載している。Bingの画像検索からアクセスできるほか、新しいBingのチャット機能の「独創性」スタイルでも利用できる。同機能をBingがサポートする100言語以上(日本語を含む)で利用できるようになった。
Microsoftは、AIを活用した検索の今後のステップとして、テキストによる検索やチャットから、画像や動画、音声など様々な種類の入力情報をもとに処理を行うマルチモーダルの可能性を広げようとしており、最初の機能としてBingチャットにビジュアル検索を組み込む作業を進めている。例えば、色の微妙な違いを表現する言葉を知りたい時に、その色が写っている画像とともに「この色を表現する言葉を教えて」と頼むなど、ビジュアル検索との組み合わせによって言葉では表現しにくい質問をチャットで容易に指示できるようになる。
チャットの履歴、エクスポートと共有は近日中の提供を予定している。履歴には過去のチャットがリストされ、以前のチャットを再表示して読み返したり、会話を再開することもできるようになる。将来的に、以前のチャットのコンテキストを新しい会話に反映させて、チャットをよりパーソナライズできるようにすることも検討しているそうだ。また、エクスポートと共有を使って、簡単にソーシャルメディアやコラボレーションツールなどで会話を共有したり、会話を資料として記録しておける。
Edgeへの統合が強化され、新しいBingでのチャットで、会話中にあるWebサイトを開くとチャットが自動的にサイドバーに移動する(persistent chat)。新たなタブでWebサイトを開いてタブを行き来することなく、Webサイトを開いて同時にサイドバーでチャットを続けられる。また、PDFや長文のWebサイトなど長いドキュメントの要約機能が向上し(近日中に提供)、オンラインコンテンツの内容をユーザーが効率的に確認できるようにサポートする。ほかにも、サイドバーのライティング支援機能で、生成文章の言い回し(プロフェッショナル、カジュアル、インフォメーショナルなど)、長さ、フォーマット(パラグラフ、メール、ブログ投稿など)などを設定してより細かく調整できるようになった。
そして、数週間中にEdgeアクションの提供を開始する。例えば、映画「The Batman」を見たい時に、サイドバーのチャットで配信しているサービスを探し、会話から直接再生ページにアクセスできる。AIチャットを活用して、より少ないステップでタスクを完了できる。
また、モバイル版Edgeにも近日中にページコンテキストを追加し、表示中のモバイルページに関連する質問をBingチャットで行えるようにする。
3月にOpenAIがChatGPTの機能を拡張させるプラグイン「ChatGPT Plugins」を発表した。MicrosoftもBingのチャットで、サードパーティのプラグインをサポートする。プラグインはBingとサードパーティのアプリケーションを接続し、Bingチャットを使ってサードパーティのサービスを利用できるようにする。例えば、Bingチャットでレストランを探す際に、Webの情報で広く調べるのではなく、レストラン予約サービス「OpenTable」を使って店を検索し、予約も完了するというようなチャット利用が可能になる。
プラグインについては、開発者カンファレンス「Microsoft Build 2023」(5月23日〜25日)で詳細を説明する。公式ブログでYusuf Mehdi氏は「この種のスキルが検索の再発明におけるゲームチェンジャーであり、検索における開発者の機会を前進させるものであると考えています」と述べている。プラグインにより、ユーザーはチャットベースのインターフェースを通じて情報を得るだけでなく、より直接的で効率的な方法で様々なサービスを活用できるようになることが期待される。