マウスコンピューターは20日、同社のパソコン事業が30周年を迎えた節目に、新型パソコンのラインナップを発表した。あわせて、製品型番をよりスペックがわかりやすいように変更、製品保証の強化なども実施。都内で開かれた記者説明会では、開発中の未発表製品の参考展示も行われた。
ラインナップを整理、製品型番をわかりやすく
30周年を記念した企画として同社では、4月11日から「3年無償保証」と「送料無料」を打ち出している。一部特別なモデルをのぞく、今後発売する全パソコン製品が対象。特に従来1年だった無料保証を3年に延ばした施策については、単なるサービスではなく、国内生産とともに同社が進めた「これまでの品質管理の取り組みの成果でもある」(同社)といい、製品品質への高い自負もアピールしていた。
また、新製品から順次、パソコン製品の製品名(製品型番)を新ルールにもとづいて刷新していく。基本的には、ユーザーが製品名からスペックを推定しやすくするよう改める。例えば新型番で、「MH-I7G50」というモデルであれば、先頭から「M」はミニタワー、「H」はハイスペック、「I」はインテルCPU、「7」はi7(Core i7)、「G」はGeForce、「50」はRTX x050をあらわすといった具合だ。複雑になっていたラインナップのシリーズ名なども整理されるようだ。
DAIVにワークステーションも、各ブランドに新型パソコン
今回の30周年ではあわせて、新規デザインの製品を含む、特徴的な新型パソコンを複数モデル、市場投入することも発表された。
まずはクリエイター向け「DAIV」ブランドのデスクトップパソコンに、従来は別ラインで提供していたワークステーションを統合した「DAIV FW」シリーズを発表。プロニーズにより応えやすい体制を整えた。Sapphire Rapidsの開発コードネームで知られるIntelの第4世代Xeon Wをベースに、NVIDIA RTX A6000や大容量メモリ(最大512GB、部材調達の関係で、発売当初は容量に制限あり)を搭載する。きょう体はDAIVデスクトップのハイエンドモデル用に開発された「DAIV DD」シリーズと共通で、「DDケースは、設計段階からExtended ATX規格で、Xeon CPUやAda Lovelace GPUのワークステーション構成を想定していた」ことが、このワークステーションの製品化に寄与したそうだ。
またDAIVワークステーションとしては、ノートタイプにも新モデル「DAIV N6」を発表した。AR、VR、MRの開発やデモ機の用途も想定したパワフルな製品になっている。以前まで、本来はデスクトップ向けCPUであるCore i9-11900KをノートPCに搭載した「DAIV 7N」などがあったが、今回の新モデルはこれの後継機に位置付けられる。16型WQXGA液晶、Core i9-13900HX、GeForce RTX 4090 Laptop、64GBメモリというハイスペックが目を引くが、最大の特徴として「水冷」に対応した。オプションで追加できる外付け「水冷BOX」のかたちで提供し、持ち出し時に着脱できるなど使い勝手はよさそう。
DAIVではスタンダードクラスのノートPCも新モデルに移行する。発表されたのは14型の「DAIV S4」で、第13世代Intel CoreとGeForce RTX 4060 Laptopを搭載し、冷却効率の向上などのためにボディ設計も刷新した。「DAIV 4N」など、従来、GPUにGeForce GTX 1650を搭載していたクラスのモデルの後継機という位置づけだ。DAIVのラインナップ中では比較的手ごろなモデルだが、DAIVなのでキャリブレーション済の液晶を搭載していたり、本格的な画像編集にも耐えうる仕様となっている。
Ada Lovelace世代の新GPUへのアップデートを中心に、今回、ゲーミングの「G-Tune」新製品の発表も豊富だった。
16型ゲーミングノートPC「G-Tune H6」は、Core i9-13900HXとGeForce RTX 4080 Laptopを搭載し、着脱可能な「水冷BOX」による水冷システムにも対応した本格派(本気派?)ゲーミングマシンだ。「G-Tune H5」の後継機にあたるのだが、H5が15.6型だったところ、16型へ画面サイズをアップ、また、水冷機としてはRTX 4070モデルが昨年夏にラインナップしていたが、ユーザーからの「水冷ならもっと強力に」という声を受け、RTX 4080へとクラスを上げた。
H6はかなりの高級機になるが、最新スペックの大型ノートでスタンダードクラスにあたる新モデルが16型ゲーミングノートPC「G-Tune P6」。Core i7-13700HとGeForce RTX 4060、冷却効率が高い新設計ボディを備えるが、価格をできる限り抑えたというモデルだ。液晶は165Hzで、かなり高速な部類になる。限られた予算でも様々な用途に、として開発したそう。さらに価格を抑えたRyzenモデルも用意がある。
今回のG-Tuneでは、久々にいわゆる「モバイルゲーミング」向けのゲーミングノートPCにも新モデルが投入される。14型ゲーミングノートPC「G-Tune E4」で、発売は少し先の5月17日となるが、これで14型で2kg以下、でもGTX 1650という状況から卒業できるだろう。「黒」ではなく「青」系統の新デザインのボディに、Core i7-12650HとGeForce RTX 4060 Laptop、144Hz液晶を搭載し、重量は1.80kg。CPUが第12世代Coreなのだが、今回はゲームプレイにフォーカスし、予算をさきづらい若いゲーマーにも届くよう、GPUを最優先に価格を抑えるというバランスをとった。直販価格は209,800円だ。
開発中の未発表パソコンをチョイ見せ
自作パソコンの界隈では、少し前から「ホワイト」すなわち「白」いパーツが人気なのだが、BTOパソコンのマウスコンピューターでもこのニーズに応える新製品を企画中だ。今回、これまでほぼすべて「黒」かったG-Tuneのデスクトップに、真っ白なパソコンを製品化する可能性があることがわかった。淡いブールLEDの冷却ファンも備えた、とても爽やかなサンプル機が公開されており、現時点では夏前、7月くらいに発売できればと開発を進めているそうだ。