今年(2022年)の新Surfaceは良くも悪くも順当な更新だった。2013年に初登場したSurface Proシリーズは、その時々の優れたハードウェアを選定し、ときには本体設計を見直しながら、狭額縁化や薄型に努めてきた。
たとえばSurface Pro 9は前モデルのSurface Pro 8と比較して12g(891g → 879g)も軽量化している。USB周りもThunderbolt 4をベースにしたUSB Type-Cが2ポートあり、メインPCとしてもサブPCとしても十分に使えるはずだ。
また、Surface Pro Xを廃止(?)したのも今回の特徴といえる。Surface Pro 9(SQ3プロセッサ、5G対応)モデルを用意し、nanoSIMスロットを備えるのはSQ3モデルのみ。個人的には、Surface ProシリーズがnanoSIMスロットを備えるか、eSIMに対応するのがベストだと思う。だが、最近は外出機会も減り、契約しているMVNOも一番ミニマルなコースに切り替えているため、以前ほどのこだわりはない。
Surface Laptop 5も順当に強化しているものの、気になるのはCPUのラインナップ。前モデルのSurface Laptop 4で選択できたAMD Ryzenが選択肢にない。手元で使っているSurface Laptop 4がAMD Ryzenモデルなので関心を持って発表を見ていたが、Microsoftはプレゼンテーションでも、公式ブログでも言及していない。部品調達時の歩合が取れなかったのか、AMD Ryzenモデルが不評だったのか、想像は尽きない。
Surface Studio 2+はMicrosoft Storeで約68万円からと、予想どおり手の届く価格帯ではなかった。こちらもCPUやGPUを現行世代に置き換えているが、メモリー(32GB)やストレージ(1TB)を1種類に絞ったのはすがすがしい。
コロナ禍以前の発表会でSurface Studioに触れる機会があったが、ディスプレイの角度を自由に変更できるのは、机上で作業しながらタッチスクリーンの恩恵を受けるのに最適だ。一つ気になるのは「3」ではなく「2+」の部分。MicrosoftはSurface Pro 7から「+」表記を用いており、Surface Studio 2+はマイナーアップデートと考えたほうがよいのだろう。
今回はアクセサリーのラインナップも充実した。中でも注目に値するのが、Microsoft Audio Dockだ。HDMI、USB Type-C×2、USB Type-Aの計4ポートと、パススルーPC充電機能を備えたドック兼スピーカーである。リモートワーク時に作業空間を確保できないとき、一時的にディスプレイやPCを設置し、Microsoft Audio Dockとつなげれば、オンライン会議も難なくできそうだ。
これからも続くであろうハイブリッドワークを考慮すれば、PC本体もさることながら本製品のようなアクセサリーに注目してほしい。ちなみに、機械学習モデルのDALL-E 2を組み込んだMicrosoft Designerも気になる新アプリだが、ソフトウェア周りは別の機会に紹介したいと思う。
さて、問題はSurface Pro 9を購入するか否かだが、いまだにためらっている。ローカルストレージは、OneDriveやNASがあるためそれほど大容量でなくてもかまわないのだが、メモリー32GBモデルは高額だ。16GBメモリー/256GBストレージモデルでも約24万円。現在はDevチャネルのWindows 11 Insider PreviewをインストールしているSurface Pro 7は各所に「重さ」を感じるようになり、そろそろ第一線で使うのは厳しくなってきた。
そこでSurface Pro 9をWindows 11 Insider Preview化し、Surface Pro 7はベータチャネルのWindows 11 Insider Previewをインストールするか思案中だ。「必須ではないが何となく欲しい。ただ、検証用で使用頻度は低い」ので、尻込みしてしまう。昔からPCは「欲しいときが買い時」という。販売開始日の2022年11月29日までには答えを出すつもりだ。
著者 : 阿久津良和
あくつよしかず
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