タクティカルFPSゲーム『VALORANT』の女性限定公式大会「VALORANT Champions Tour Game Changers」では、2022年10月12日より東アジア大会「Game Changers East Asia」が、オンラインにて開催されています。

本大会には、日本・中国・韓国から各2チーム、全6チームが出場。そのうちグループステージを突破した4チームが、10月15日に行われたノックアウトステージで、ファイナル進出をかけて戦いました。

日本チームは、「FENNEL HOTELAVA」と「Reignite Lily」の2チームがノックアウトステージに出場。第1試合では、「FENNEL HOTELAVA」が中国チーム「Oxyg3niOus」に2-1で勝利し、ファイナルへの進出が決定します。第2試合では、「Reignite Lily」が、韓国チーム「Spear Gaming Female」に0-2で敗れ、惜しくも敗退となりました。

記事では、ノックアウトステージでの日本2チームの試合結果と、試合終了直後に実施した各チームのインタビューをお届けします。

【FENNEL HOTELAVA】中国「Oxyg3niOus」との激戦に2-1で勝利

ノックアウトステージ第1試合は、グループBを2位で通過した「FENNEL HOTELAVA」と、グループAを1位で通過した中国チーム「Oxyg3niOus」との対戦でした。ノックアウトステージは、シングルエリミネーションで行われ、勝てばファイナル進出、負ければ大会敗退となります。

1マップ目のブリーズでは、「FENNEL HOTELAVA」が一気にラウンドを連取する好調な滑り出しで、9-3での折り返しへ。Festival選手のネオンでの活躍も目立ち、後半もリードを保って13-8で勝利しました。

2マップ目のバインドでも、再び「FENNEL HOTELAVA」が好調なスタートを切り、9-3で折り返します。しかし、「Oxyg3niOus」が後半の攻めで怒涛の追い上げを見せ、オーバータイムへ突入。流れを断ち切れず、12-14での逆転負けを喫しました。

プレッシャーのかかる、運命の3マップ目はパール。前半は接戦が続き、同点6-6での折り返しを迎えます。そして後半、少しずつ「FENNEL HOTELAVA」がリードを広げ、13-9での勝利を手にしました。これにより、「FENNEL HOTELAVA」がマップカウント2-1で勝利し、ファイナルへの進出を決めました。

  • Festival選手のネオンが活躍した1マップ目。オーバードライブで4キルし、スリフティ獲得の場面も

  • 2マップ目では、「Oxyg3niOus」Yusin選手のインセンディアリーによる解除阻止に苦しめられた

  • 3マップ目の最終ラウンドは、Len選手のコズミックディバイドを活かしての勝利

■試合結果

FENNEL HOTELAVA [2-1] Oxyg3niOus
1マップ:13-8 ブリーズ
2マップ:12-14 バインド
3マップ:13-9 パール

「FENNEL HOTELAVA」試合直後インタビュー

ノックアウトステージでの試合を終えた直後、「FENNEL HOTELAVA」の選手5名へのインタビューを実施しました。「Oxyg3niOus」との試合の振り返りや、続く第2試合を戦う「Reignite Lily」への思い、そしてファイナルへの意気込みを聞いています。

  • 「FENNEL HOTELAVA」Curumi選手、Festival選手、KOHAL選手、Len選手、suzu選手

強敵「Oxyg3niOus」を相手に、160%の力を出し切れた

――対戦相手の「Oxyg3niOus」について、昨日のインタビューでKOHALさんが「120%を出さないと勝てない相手」と言っていました。今日の試合は何%くらい力を出し切れた実感がありますか?

KOHAL:160%くらい出ましたね。

――緊張がとけたこともあると思いますが、感覚的にどんな違いがありましたか?

KOHAL:初戦で感じていた緊張がなくなってから、何かの糸が切れたような感じがして、気持ちの余裕が出てきました。その余裕が、相手よりも上回ったのかなと思います。楽しく試合することをモットーにしていて、試合を楽しめる余裕が出てきたように感じます。

――1マップ目、ブリーズでは好調な滑り出しからの勝利でした。勝因はどんなところにありましたか?

Curumi:ブリーズは、すでに相手に作戦を知られていたと思うので、自分たちのなかで事前に今できることを話し合っていました。それを丁寧に丁寧に、油断せずにやっていって、それが相手に刺さって勝利につながったと思います。

――ブリーズではFestival選手のネオンがとても活躍していましたが、戦っていていかがでしたか?

Festival:初戦のブリーズでのネオンはすごく弱かったと思うけど、たくさん練習もしたし、今回は「ピカチュウいくよ!」っていう勢いがありました。

――エコラウンドで、ネオンのオーバードライブ(アルティメット)で4キルし、スリフティを取得する場面もありました。

Festival:そのラウンドは、私のアルティメットがまだ上がっていなくて、Aサイトのオーブを取ってからBリテイクしました。私がネオンをするとき、アルティメットを敵の頭にエイムできるから、すごく自信のあるプレイでした。

――2マップ目のバインドでは後半、相手の追い上げからオーバータイムへと突入しました。「Oxyg3niOus」のどんなところが強かったですか?

KOHAL:一番印象的だったのは、ブリムストーンのアビリティを使った遅延ですね。それに上手く対応できなくて、2~3ラウンドくらい落としてしまったので、その対応をちゃんと取れていれば、もう少し早くラウンドが取れたかなと思います。

――2マップ続いて、2デュエリストで挑まれていました。競技シーンでは最近、2デュエリスト構成は多くない印象もありますが、構成にどういった狙いがありましたか?

suzu:バインドの2デュエリストは、そんなに流行っていないわけではないと思うんです。個人的には2デュエリストの方が少し評価が高くて、ヴァイパーを入れた2コントローラーも流行っていますが、ヴァイパーは対策できるし、センチネルのチェンバーもいらないだろうと。であれば、「火力で行こう」という感じですね。

――デュエリストのなかでも、フェニックスをピックされた理由を教えてください。

suzu:個人的に、シーズン1くらいからフェニックスを使っていたというのもあるし、キャラクター性能がバインドで強いと思っています。アルティメットも6ポイントで上がるし、オーブのエリアコントロールから始まることが多いので、フェニックスをピックしました。

――3マップ目のパールは、かなり拮抗した展開が続いていました。後半で一歩抜け出して勝利につながった理由はどんなところにありましたか?

Len:最後までちゃんと冷静にコールしていたことが、勝利につながったと思います。

――Len選手のアストラのスモークを活かした立ちまわりが印象的でしたが、どういったことを意識されていましたか?

Len:アストラは今アビリティのスターが4つなので、できるだけスモークが無駄打ちにならないように意識していました。

同じ日本チームとして戦う「Reignite Lily」への思い

――このあと「Reignite Lily」の試合が行われます。同じ日本チームである「Reignite Lily」に対して、どのような印象を持っていますか?

Curumi:私たちと、まったく実力が同じチームだと思っています。国内大会の決勝も、最後のマップで私たちの方が少し練習量が多かったというだけで、本当に結果がどうなるかわからない試合でした。それくらい強いチームだと認識しています。

――グループステージの順位によっては、ノックアウトステージで「Reignite Lily」と対戦する可能性もありましたが、意識することはありましたか?

Curumi:日本チーム同士でつぶし合いになるのが一番つらいから、ある意味グループステージの初戦で負けて、次の試合で勝って、という展開で良かったなと思いますね。

――明日のファイナルでは、「Spear Gaming Female」もしくは「Reignite Lily」と戦うことになります。このあとの結果次第となりますが、いかがでしょうか?

KOHAL:どちらのチームとも戦いたいですね。「Spear Gaming Female」だったら、グループステージのリベンジができるし、国内決勝で戦った「Reignite Lily」と、また決勝で戦いたい気持ちもあるし、どちらに転んだとしても自分たちとしては楽しみです。

――明日のファイナルに向けて、意気込みとファンの方へのメッセージをお願いします。

Festival:絶対ベルリンに行くので、たくさんの応援をお願いします。明日も、今日の試合で見せた強いFestivalをもう一度お見せします!

Curumi:明日のファイナルは国内決勝ぶりのBo5で、「Spear Gaming Female」と「Reignite Lily」、どちらが勝ち上がったとしても、長い試合になると思います。長丁場になるとは思いますが、本当に皆さんの応援が私たちの糧になっているので、応援よろしくお願いします。勝って帰ってきます!

【Reignite Lily】韓国「Spear Gaming Female」に0-2で敗れる

ノックアウトステージ第2試合は、グループBを2位で通過した「Reignite Lily」と、グループAを1位で通過した韓国チーム「Spear Gaming Female」との対戦でした。

1マップ目のフラクチャーでは、「Reignite Lily」が6ラウンド目まで相手に1本も渡すことなく、圧倒的なリードをつくりました。しかしながら、後半で11-11の同点に並び、オーバータイムにもつれ込みます。お互いに譲らない展開が続きましたが、15-17での敗北となりました。

2マップ目のヘイヴンでは、拮抗したラウンド差から「Spear Gaming Female」が少しずつリードを広げ、4-8での折り返しへ。後半では、「Spear Gaming Female」の完成度の高い守りに阻まれ、7-13で敗北しました。これにより、「Reignite Lily」はマップカウント0-2で敗れ、惜しくも大会敗退となりました。

  • お互いにラウンドを取り合い、オーバータイムで15-17まで続く大接戦になった1マップ目

  • 2マップ目では、チェンバーを使う「Spear Gaming Female」Yamzzi選手が脅威となった

■試合結果

Reignite Lily [2-0] Spear Gaming Female
1マップ:15-17 フラクチャー
2マップ:7-13 ヘイヴン

「Reignite Lily」試合直後インタビュー

ノックアウトステージでの試合を終えた直後、Mincho選手をのぞく「Reignite Lily」の4名の選手へのインタビューを実施しました。「Reignite Lily」のチーム結成や活動の背景、「Spear Gaming Female」との試合の振り返りや、ファイナルで戦う「FENNEL HOTELAVA」に託す思いなどを聞きました。

  • 「Reignite Lily」Kiera選手、Mincho選手、R4M選手、Saya選手、Zodiac選手

2年前、「大会に出てみたい」という夢から始まったチーム

――「Reignite Lily」は、前身の「Lily Merry」から含めて2年ほど活動されているチームだとお聞きしました。どんな経緯で結成されたチームか教えていただけますか?

R4M:2年前に『VALORANT』を始めて、個人的に「大会に出てみたい」という夢があったんです。大会に出るためにチームをつくろうと思ったとき、男性メンバーがいてもいいけど、「女性チームで勝ちたい」と思ったんですね。それで、Twitterで募集したら、Sayaがチームに入りたいと言ってくれて、Sayaがさらにメンバーを集めてくれました。

そのころ女性大会は全然なかったので、男女混合の大会でも勝てるように、女性チームでも強いんだということを見せられるように、スクリムしたり大会に出たりしていました。

――「VALORANT Champions Tour」(以下、VCT)へのチャレンジも考えていましたか?

R4M:最初はそこまで考えていなかったのですが、VCTに出たい気持ちもありました。ただ、仕事をしながらなので、練習時間が十分に取れず、その面で少し難しいかなと思っていたんです。なので、「UTAGE VALORANT」での優勝を目指してがんばっていました。

――チーム結成当初からの初期メンバーについて教えてください。

R4M:初期メンバーは私とSaya、Kiera、Zodiacの4人なんですけど、Minchoも1年半前に入っているので、時期が少し違うだけでほぼ初期メンバーみたいなものです。Minchoの加入も、Sayaが声をかけてくれたのがきっかけです。

――今日対戦した「Spear Gaming Female」について、これまでの試合を観た印象や、実際に戦った印象を教えてください。

Kiera:セットプレイが上手くて、リテイクが早い。自分たちの戦い方と似た部分のあるチームというイメージでした。実際に戦った印象も同じで、思っていたとおりにリテイクが早く、細かい連携が上手かったなと思います。

――1マップ目のフラクチャーでは、前半のリードからオーバータイムにもつれ込む、プレッシャーのかかる試合展開だったかと思います。試合中の心境や、チームの雰囲気はどうでしたか?

Zodiac:チームの雰囲気は、とにかく楽しくやっていたと思います。今大会は、みんな楽しくやろうという目標があって、プレッシャーはあまりありませんでした。

――2マップ目のヘイヴンでは、後半の攻めで苦戦する場面もありました。相手のどういったところが強かったと感じますか?

Saya:うちらの不注意で、敵がたくさんいるところに行ってしまって……。冷静に判断できなかった。相手の強さというより、自分たちのミスだと思います。

R4M:普段のスクリムだったら冷静に判断して、相手の人数が多いと思ったら、逆サイトに行くという連携が取れたと思うんですけど、「行かなきゃ」という気持ちで行ってしまって。それで早めにリテイクされて、崩されてしまう場面が多かったです。

ファイナルで戦う「FENNEL HOTELAVA」に託す思い

――今日は1試合目に「FENNEL HOTELAVA」の試合があって、2試合目の開始を待つ緊張もあったのではないかと思いますが、どんな気持ちで観ていましたか?

R4M:試合がとにかく長かったので、集中力が切れていて、観ているときに緊張感はありませんでした。でも、「FENNEL HOTELAVA」の試合が終わって、いざ自分たちの番だと思ったら、すごく緊張してしまって。私が一番緊張するタイプなので、もっと気をつければよかったなと思います。

――明日のファイナルで戦う「FENNEL HOTELAVA」への思いを教えてください。

R4M:私たちはフラクチャーもヘイヴンも、絶対に勝てる試合だったと思うんです。でも、焦ったり相手のペースに飲まれたりして、連携やコミュニケーションの面で負けてしまって、それがすごく悔しいんですよね。

みんな思い切りやろうと決めていたけど、でもやっぱり悔しいミスもあった。だから、この悔しさを、思いを届けるので、「FENNEL HOTELAVA」には絶対勝ってほしい。そして、世界大会に行って、日本の強さを示してほしいです。

今大会の経験を活かし、来シーズンのさらなる活躍へ

――国内大会から東アジア大会にかけて、今シーズンの「Game Changers」での経験を振り返っていかがでしたか?

Zodiac:もうすべてのことが初体験で、こんなに大きな公式大会に出たこともなかったので、こうした大会にみんなで出られたことが、すごくいい経験でした。みんなのおかげでここまで来られたので、来年はもっとがんばりたいと思います。

――それでは最後に、応援してくださったファンにメッセージをお願いします。

R4M:結果はここで敗退となってしまいましたが、ファンの皆さんの応援のおかげでがんばることができました。本当に応援ありがとうございます。

2年前から応援してくださっている方もいますし、つらいときもファンの皆さんが応援してくれるから、まだまだがんばれる気持ちになります。その応援が本当にうれしいです。これからも応援よろしくお願いいたします。

いよいよ世界大会への出場権をかけたファイナルへ

ファイナルでは、ノックアウトステージで勝利した「FENNEL HOTELAVA」と「Spear Gaming Female」が、Bo5(3本先取)で対戦。優勝チームが、11月にドイツ・ベルリンで開催される世界大会「Game Changers Championship」への出場権を獲得します。

「FENNEL HOTELAVA」は、グループステージDAY2で「Spear Gaming Female」に0-2で敗北しており、リベンジマッチになります。ファイナルの試合は、10月16日(日)18時よりスタート。大会配信はYouTubeとTwitchにて行われます。

  • ノックアウトステージ終了時点での対戦スケジュール