Intelは9月12日より、Intel Tech Tour.ilと題したテクノロジーツアーをイスラエルで開催している。その初日となる基調講演で、イスラエルのデザインセンターでの現状やまもなく投入予定となるRaptor Lakeの動向などが公開されたので、まずはご紹介したい。

Raptor LakeではSingle Threadで15%、Multi Threadで41%の性能向上

  • Intelがイスラエルでの開発動向を公開、Raptor Lakeの性能を明かす - Intel Tech Tour.ilレポート

    Photo01: よく見ると、NehalemとかWestmere、Broadwellなどは抜けているし、Gen 14に相当するMeteor Lakeもイスラエルチームではないとの事。またサーバー製品もイスラエルチームの担当ではない。

Photo01がこれまでイスラエルのデザインセンターが手掛けてきたCPUデザイン一覧である。Pentium MMXから(最終的に出荷されなかったからリストには入っていないが)Timnaを経てBanias/Dothan/Yona/Merom/Penrynと2000年代前半を支え、ついでSandy Bridge/Ivy Brideを手掛けたあと、Sky Lake以降の全てのクライアント向けCPUの開発を一貫して行っている。特に2015年からのSky Lake世代では、4年の間に最終的に2倍に性能を引き上げたというあたり、非常に印象に残る重要な仕事だった、との事。またこの最後にあるように、Raptor Lakeではすでに6GHzとか8GHzのOC動作を実現しており、DDR5-5600をサポートするとしている。また表には出ていないが、ST(Single Thread)で15%、MT(Multi Thread)で41%の性能向上(どちらもAlder Lake比)を果たしたと説明しており、今年中にDesktopとMobileの両方の製品が投入される予定、とされている。

  • Photo02: A0 Tape-inは実際には4~5四半期かかるそうで、概ねPower On(最初のシリコンがFabから出てきて、実際に電源を入れられる状態になる)が出荷15か月前との事。

Photo02は、Alder Lakeにおける開発サイクルをまとめたものである。出荷30カ月前から開発が始まり、12か月まえには検証ステージに入る。ところがRaptor Lakeではこれを6か月短縮し、トータル24か月ほどで開発が完了した、との事だった(Photo03)。

  • Photo03: 仮に年末出荷だとしてももう製品の製造を開始して作りだめをしないと間に合わない時期なので、つまり検証はほぼ終わっている段階と考えられる。

最後に興味深いスライドを1つ。これは「顧客に出荷を予告した時期」と「実際に出荷が始まった時期」の関係を示している。横軸が出荷時期、縦軸が予定と実際の差である。いくつかの製品、つまりSkyLake DesktopとかIceLake Mobile/Comet Lake Desktopなどは2~3カ月の遅れになっているが、ほとんどの製品は1カ月以内の出荷である。特に最近はかなり遅れが少ないようで、Raptor Lakeもオンスケジュールであるようだ。そのRaptor Lake、RPL MBがやや後ろにあるように、最初はDesktopで、次がMobileになる予定だそうだ。クライアント向け製品にイスラエルチームが随分貢献してきたことが良く判る。

  • Photo04: 数字付のものは構成だそうで、例えばADL DT 881はAlder Lake Desktop 8 P-core/8 E-Core/1 GPUの意味。CML MB 62はCore×6+Large GPUだそうだ。

Tech tourではこのあとLabやFabの見学なども予定されている。これらについても別途レポートをお届けしたい。