iPadをパソコン代わりとして毎日のように使っていると、いつの間にかiPad本体が汚れてしまいます。特に外に持ち出したり、指で触ったりすることの多いiPadは画面が汚くなりがちですし、一見きれいに見えてもホコリや雑菌が溜まっているなんてことも…。そこで今回はちょっと仕事の手を休めて、毎日お世話になっているiPadの掃除&消毒にスポットライトを当ててみましょう。間違ったやり方をしてしまうと最悪故障してしまうことがありますので、正しいクリーニングの方法を知っておいて損はありません。

禁止事項を確認しよう

まず、iPadを掃除&消毒するにあたり、以下のことは絶対に守るようにしましょう。

  • 本体の電源を切り、外部電源やデバイス、ケーブル類をすべて取り外す
  • 開口部から水分や湿気が入らないよう注意する

iPadは電子機器ですから電源が入った状態で清掃したり、水分が内部に侵入したりすると電気的なトラブルが発生して、場合によってはiPadの故障につながります。

  • iPadの清掃をはじめる前は本体の電源をオフにして、ケーブルやアクセサリが接続されている場合はすべて取り外しましょう

また、iPadおよび純正のケースやキーボードなどのアクセサリ類を清掃するときに「使ってはいけないもの」もはじめに確認しておきましょう。

  • スプレー式の液体クリーナー
  • ガラスクリーナー
  • 家庭用洗剤
  • エアダスター
  • 溶剤、漂白剤、研磨剤
  • 過酸化水素を含む洗剤
  • タオル、ペーパータオル、研磨布

これらの誤ったクリーナーや溶剤を使ってしまうと本体に傷がついたり、シミができたり、コーティングが剥がれたりなどしてしまいます。また、iPadを清掃するときに利用するには「糸くずが出ない柔らかい布」を使うようにしましょう。糸くずが出るものは、本体内部に侵入してしまう可能性があるためです。タオルやペーパータオルに加え、身近にあるティッシュペーパーもNGです。

また、たとえ糸くずが出ないといっても、堅い布や研磨剤を含んだものの利用は本体を傷つけてしまう可能性があるので避けましょう。

柔らかい布って何?

人によっては「糸くずが出ない柔らかい布」がどんなものかピンと来ない場合もあるでしょう。「柔らかさ」の感じ方は人それぞれですから、解釈が曖昧になりがちです。

そこで具体的な例を挙げるとすれば、ディスプレイやカメラレンズの清掃用に市販されているマイクロファイバー素材のクロスがもっとも入手しやすく適切でしょう。「マイクロファイバークロス」または「レンズクロス」などで検索すればさまざまな商品を見つけることができます。中でも、水垢が残らないよう水分を多く含まないもの(とはいえ、少し湿らせられるもの)がおすすめです。

  • 使用するクロスはマイクロファイバー素材のものがおすすめです。キメの細かい繊維を素材を使ったものを選びましょう

Appleのポリッシングクロスを試す

おすすめの清掃用クロスには、2021年10月に発売開始されたApple純正の「ポリッシングクロス」もあります。これは、Appleのハイエンドディスプレイ「Pro XDR Display」に付属する清掃用クロスで、Appleによると「表面を傷つけない柔らかな素材で作られたポリッシングクロスは、Nano-textureガラスなど、あらゆるApple製品のディスプレイを安全かつ効率良くきれいにする」とのこと。

サイズは約16cm×16cmの正方形で、カラーはグレー。正面右下にAppleロゴがエンボス加工されており、実際に触ってみると一般的なレンズクロスより質感が高く、厚みがあるのが特徴です。

価格は1枚1,980円と高価ですが、汚れてしまったら食器用洗剤と水で手洗いして24時間乾燥すれば繰り返し使うことができます。また、Appleのホームページには「ディスプレイ」の清掃のためのもののように説明されていますが、製品に同梱される使用ガイドには「本体表面」の清掃にも利用できることが記載されています。

  • Appleのポリッシングクロスは、Apple製品らしく、クロスでも高級感あるパッケージに包まれています

  • 大きさは手のひらにちょうど収まるハンカチサイズ。右下にAppleロゴがあります

  • 一般的なレンズクロスと比べると非常に厚みがあり、繊維がとても細かく、しっとりと柔らかいのが特徴です。素材は裏と表同じです

画面とボディの汚れはどう落とす?

では、ここからはiPadの実際の清掃方法についてです。とはいえ、これまで説明した禁止事項を守れば、特に難しいことはありません。iPadのボディも画面に関しては表面に傷がつかないように異物などが混入していないかを確認したうえで、「糸くずが出ない柔らかい布でゆっくりとやさしく拭く」のが基本。それでも汚れが落ちにくい場合は、クロスに少量の水(できればミネラルや塩素など余分な成分が含まれていない精製水)を湿らせて拭いてみましょう。ただし、開口部に水分や湿気が入らないように十分に注意してください。

また、iPadのLightningやUSBコネクタ、電源ボタンやなどのスイッチやSIMトレイ、またはホームボタンやカメラ周りなどの清掃に関しても、基本的には上記と同じ方法で行います。ただし画面やボディよりも内部に湿気が入り込みやすいため、できる限り水分は使わないようにするほうが賢明でしょう。

コネクタの内部やスイッチの隙間などはレンズクロスが届きにくい場所は、静電気の起こらない柔らかいブラシやハケ、またはつまようじなどの細い棒を直接ではなくレンズクロスに包んで優しく汚れをかきだすようにしましょう。端子を傷つけないこと、糸くずや異物が入らないようにすること、水分や湿気が入らないようにするのが重要なポイントです。

  • レンズクロスで優しく拭いていきましょう。やりすぎて傷を付けないよう注意してください。汚れが落ちない場合は少量の水をレンズクロスに含ませましょう

  • レンズクロスが届きにくい場所はブラシやハケを使うか、つまようじにレンズクロスをかぶせるなど先端をとがらせて汚れを掻き出していきましょう

  • Apple PencilやSmart Keyboard、Magic Keyboard、Smart Coverなどの純正アクセサリ類の清掃もiPad本体同様の方法で行えば問題ありません

  • Appleのポリッシングクロスは一般的なクロスよりも、少ない回数で素早くきれいにできます(画面右側)。そのままだと汚れがうまく取れない場合もありますが、濡らして使うと効果てきめんです

消毒剤を使ってもいいの?

iPadを清掃するときに水ではなく、除菌を兼ねて消毒剤を使うことも可能です。一昔前まではアルコール成分を含むクリーナーの利用は推奨されていなかったのですが、2020年3月にAppleは公式サポートページにある「Apple製品のお手入れ方法」の内容を改訂し、「70%イソプロピルアルコール」「75%エチルアルコール」を含むワイプ(布)の利用を認めています。

ただし、利用できるのはボディやディスプレイやキーボードなどの「通気性のない堅い外表面」のみ。また、該当のアルコール成分を含む消毒剤でもスプレータイプのものは使用を避け、開口部から内部に湿気や水分が入らないように優しく拭き取るようにしましょう。

なお、現在薬局などではさまざまな「除菌」や「消毒」を謳ったワイプが発売されています。「70%イソプロピルアルコール」や「75%エチルアルコール」の条件を満たしているか、またそのほかの成分として危険なものは混ざっていないかなど、購入する場合はしっかりと成分を確認することが重要です。

  • iPadを除菌しながら清掃したい場合は、消毒剤として「70%イソプロピルアルコール含有ワイプ」または「75%エチルアルコール含有ワイプ」を使いましょう

  • iPadだけでなく、各Apple製品の正しい清掃方法の詳細は、Appleのホームページ「Apple製品のお手入れ方法」に掲載されていますので確認してみましょう