2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されます。実際にコードを書いてプログラムを作成することが主眼ではなく、「プログラミング的思考を養う」ことを目的としています。この2020年に向けてIT企業各社が取り組みを加速しています。
プログラミング教育のスタートを前に、インテルがこの夏休み期間に実施したのが「親子プログラミング体験イベント」です。ショッピングモールのイベント広場などに最新PCを並べて、プログラミング教育用の「BBC micro:bit」を使ったプログラミングの基礎を体験できるというイベントです。
長年、教育機関向けプログラムを実施してきたインテルが、プログラミング必修化を受けて、子どもたちや保護者にもプログラミング教育の実際を体験してもらおうという取り組みで、埼玉や名古屋、京都の各イオンモールで実施してきたものです。
今回は夏休み期間最後のイベントとなった、イオンモールKYOTOでのイベントの模様を取材しました。
体験イベントは、最新PCとmicro:bit、そしてインテルがこの日のために作ったライトセーバー(風のLEDを装着した棒)を使って、子どもたちがプログラミング教育をいち早く体験しました。
micro:bitは、小型のボードコンピュータです。USBケーブルでPCと接続し、PC上でプログラミングすると、それに従ってボード上のLEDを光らせるなどの動作が可能です。加速度センサーや磁石センサーなども備えており、動きに合わせた動作も設定できます。
このボードに、透明のバーに24個のLEDを装着したアイテムを接続したのが、今回のイベントで使われていたものです。micro:bitはそのままだと基板上のLEDを光らせるだけなので少々地味ですが、このライトセーバーのような棒を取り付けることで、バーのLEDを光らせるだけでなく、縦に持つと色が変わる、といった動作も設定可能になりました。
開発環境としては、「Microsoft Block Editor」を利用。ブロックを組み合わせることで動作を設計でき、「バーを横に置いたら色を変える」といった動作をブロックを移動させるだけで簡単にプログラムを作り出せます。
この、「AをしたらBが起きる」といったような手順を踏んで物事を解決する論理的な思考を学ぶのがプログラミング教育です。そのため、目的はプログラミング言語を学んでプログラムを作ることではありません。それでも、子供たちはおそらく始めて触るであろうmicro:bitによるプログラミングの動作に興味津々のようでした。
最初はおっかなびっくり触っていたような子供も、説明を受けていると次第に身を乗り出してキーボードに触りだし、タッチパッドを使ってブロックを動かしていくようになります。特に家庭でもタブレットを触っているのか、画面タッチには躊躇のない子供が多かったようです。
中には20分以上も熱心に触っている9歳の男の子もいて、お父さんに話を聞いてみると、自宅にPCはあってもYouTubeを見るぐらいで、本格的にPCは触ったことがなかったそうです。しかし、本人も「(自分の設計したとおりに)光るのが面白かった」というように、いろいろなプログラミングを試して楽しんでいたようでした。
この少年は、プログラミング必修化のことは知らなかったようですが、「同じようなことを学校でやるとしたら?」と聞いたところ、「楽しみ!」と笑顔で答えていたことが印象的でした。
このイベントは、「夏休みにイオンモールに遊びに来る家族連れ」をターゲットにしたものですが、過去2回のイベントでは、それぞれ400~500人、2カ所で900人以上が集まったそうです。特別なPCのアピールなどはありませんでしたが、それでもイベント後の近隣の家電量販店では、数十人規模でPCを見に来た家族がいたそうです。
インテルのマーケティング本部長である山本専氏は、プログラミング思考は「コミニュケーションの思考と似ている」と言います。特に留学経験もある山本氏は、今後世界の人ともコミニュケーションを取ることが増えるであろう現在の子供たちに、プログラミング教育がコミニュケーションの能力向上に繋がるとみています。
これまでもインテルは15年以上にわたって教育者向けプログラムを実施してきており、今回のプログラミング必修化でも、学校の先生のサポートに繋げていく考えです。今後は、マイクロソフトなどとも協力して、さらに広範な取り組みを行っていきたい考えを示しています。