米NVIDIAは8月8日(現地時間)、同社の2023年度第2四半期(2022年5〜7月期)の暫定業績を公表、売上高が予想を大きく下回ることを明らかにした。同社は8月24日に5〜7月期の業績および8〜10月期の見通しについて説明する電話会見を行う。

5月の決算発表時に示した5〜7月期の売上高予測が81億ドルだったのに対して、暫定業績発表の売上高は約67億ドル。これは前年同期比3%増、前期比19%減になる。売上高予測はゲーム市場全体の減速を織り込んだ慎重なガイダンスになっていたが、ゲーミングPC向けGPUが予想以上に落ち込み、また暗号資産マイニング(採掘)市場の需要減も響いた。

「ゲーミング」事業の売上高(暫定)は20億4000万ドル、前年同期比33%減、前期比44%減になる。減速の原因を同社は「マクロ経済の逆風」としている。新型コロナ感染拡大の影響によるサプライチェーンの混乱、2020年末に始まった仮想通貨の価格上昇にともなうマイニング需要で、ビデオカードは一時深刻な品不足に陥っていたが、昨年後半から供給が改善。高騰していた価格も正常化に向かい始めた。ところが、巣ごもり需要からの反動でPCが減速し始め、そこに金融引き締めによる景気減速懸念が広がった。経済環境の急変で、5〜7月期にチャネルパートナーのビデオカード販売が鈍化。さらに仮想通貨の価格下落でマイニング需要が縮小し、使われなくなった中古ビデオカードが市場に流れ込んで、流通在庫がだぶつき始めた。この厳しい市場環境は8〜10月期も続くと見ており、NVIDIAはチャネルパートナーとともに流通価格と在庫を調整するプログラムを開始した。

他の事業の売上高(暫定)は、「データセンター」が38億1000万ドルで前年同期比61%増、「プロフェッショナル・ビジュアライゼーション」が5億ドルで同4%減、「オートモーティブ」が2億2000万ドルで同45%増、「OEMとそのほか」が1億3000万ドルで同66%減。

PCおよびゲーミング市場の低迷の影響は業界全体に及んでおり、AMDはゲーム機向けセミカスタム製品が好調だったものの、ゲーミング向けグラフィックスの売上が減少。PC需要の低迷で、7〜9月期に予測を下回る可能性に言及した。また、PC・ゲーム機用周辺機器のLogitechも4〜6月期にゲーミング事業の売上が前年同期比16%減と落ち込んだのが響き、売上高11億6000万ドルで同12%減だった。