ドラマや映画、舞台にも出演し、演技力が高く評価されているお笑いトリオ・ジャングルポケットの斉藤慎二。ディズニー実写映画最新作『ジャングル・クルーズ』の日本版では、吹き替え初挑戦にしてメインキャストに抜てきされ、その大役を見事に務め上げた。
もともと俳優志望だった斉藤は、短大で演劇を専攻し、さらに文学座附属演劇研究所を卒業。だが、俳優の道を開くことができず、地元の千葉で営業マンをしていたところ、会社の上司にお笑いの道を勧められ、吉本の養成所・NSCへ。そこで同期の太田博久、おたけとジャングルポケットを結成した。結果的にお笑いと俳優の2つの夢を叶え、「人生ってわからない」と笑う斉藤に、お笑いと演技への思い、今後の目標など話を聞いた。
映画『ジャングル・クルーズ』は、ディズニーランドの人気アトラクションから誕生したスペクタクル・アドベンチャー。アマゾンに伝わる“不老不死の花”を求め、クルーズ船の船長フランクと、ワケありの女性博士リリー、そしてちょっと天然で頼りないリリーの弟マクレガーが冒険を繰り広げる。
斉藤は、メインキャラクターであるマクレガーの日本版声優を担当。マクレガーは、ハラハラドキドキの冒険の中でホッとさせてくれる存在であり、コミカルさと繊細さの両方を演じることができる斉藤が適任との理由で抜てきされた。「セリフがすごい量でびっくりしました。とんでもない役をいただいたなと思いました」と驚いたという斉藤だが、「何とか撮り終えることができてホッとしています」と安堵の表情を見せた。
暑苦しさが持ち味の斉藤だが、マクレガーはさわやか。斉藤は「似てない部分が多い」と言い、「僕は勢いだけで15年間やってきた。ステーキの脂身をずっと食べているみたいな脂っこさがあると思いますが、マクレガー役では少し抑えめに。赤身肉を意識しました」と肉に例えて説明。普段のコントでのキャラクターとは違ったため「難しかった」と苦労するも、「抑えた自然な演技のほうが見ている人に伝わることもあるのだと実感しました。ずっとフルパワーを出し続けるより、抑えるところは抑えて、出すところは出す。それは芸人としても大事にしていきたい」と収穫があったようだ。
また、「誰かのために頑張りたいという部分は似ているのかな」と分析。「この仕事において、見てくださっている方に笑顔になってもらいたい、そのために自分は何ができるのか、いろいろ考えているので。マクレガーは姉のためなら何でもできる。家族のためだったら、という部分も似ていると思います」と語った。
近年は多くの芸人たちが演技力を高く評価され、ドラマや映画で活躍している。斉藤は「芸人が演技の仕事に挑戦することに対して、嫌悪感を抱いたりしないですか?」と俳優に尋ねた際、「全くない。ドラマや映画に出演している芸人さんは、間の取り方や空気の読み方がすごくうまいから、また一つレベルアップした作品になる」と歓迎してくれたと言い、「その言葉がすごくありがたかった」と振り返る。
斉藤自身も、「芸人をやっているからこその間の取り方や、セリフの言い回しがあるのかなと。コントをやっている人は特に、お客さんの前で演じることが多く、生の反応を見て毎回刺激を受けて、この間は違うとか変えたりしている。それがすごく役立っていると思います」と、コントで培った演技力は強みだと感じている。