進学・転職・結婚・セカンドキャリアなど、それぞれに人生のターニングポイントを迎えるヒロインたちの“青春”と、家族の物語を描いた、マイナビ創業50周年記念のオリジナルWEB映画『ミライヘキミト。』が配信されている。
4話にわたって語られていく渡利家の物語で、次女・由宇を演じた川島鈴遥、母・羽菜を演じた西田尚美、祖母・海を演じた浅田美代子の鼎談をお届け。「朝食は王様のように、夕食は貧民のように」をモットーとするおいしい食事を囲んだ渡利家の撮影を通じ、すっかり仲良くなった3人。本当の一家のように仲睦まじく、地方ロケ撮影での思い出を振り返りながら、おしゃべりを繰り広げた。
物語を超えて大泣きの川島に「いや、これお芝居だからね」って
――「一人ひとりがそれぞれ抱える悩みや想いと葛藤しながら、自分なりの答えを見出していく」作品です。出演されていかがでしたか?
川島:人って、大きくても小さくても常に決断をしていくものなんだな、より良い未来に向かって、悩みながらもがきながら生きているんだなと改めて感じました。そのなかで、家族や友人、恋人といった傍にいてくれる人から、ちょっと背中を押してもらったりして。そうやって支えられながら生きていくことで、大きな安心感に変わったりする。その瞬間が未来につながる一歩になるんじゃないかと感じました。
浅田:一人ひとりの悩みを「秘密」として、それを乗り越えていく物語でしたが、そのためにこの作品では“家族”の存在が大きかったなと感じましたね。鈴遥ちゃんの演じた若い由宇はもちろん、西田さんが演じた羽菜さんも、セカンドキャリアを見つけていくってすごくステキなことだし。私はみんなを見守っている立場なんだけどね。登場する「詩」(※本編に象徴的に登場する、サミュエル・ウルマンの詩「青春 Youth」)がとにかくステキでした。特に私は「八十歳であっても貴方は青春のなかにいる。」というところにガツンと来ました。問題は、気持ちだよねっていう。まあ、鈴遥ちゃんは実際に若いんだけど。
川島:でも逆に言うと、若くても老いる可能性があるってことですよね。
浅田:そうね。
西田:今回、本当の家族みたいに仲が良かったんです。物語にも登場するおいしい食事をみんなで一緒に食べれたということも大きかったです。それに浅田さんが、とにかく周囲に壁を作らない人なんです。すごくウェルカムって感じで、普通に話してくださるから、そこにみんなスッと入れるんです。
浅田:ええー、そう?
西田:渡利家も海さんがいるから成り立ってると思うんです。その構図のそのまんま、浅田さんがいたことで、ちゃんとうまくハマったんだと思います。
浅田:なんか誉められちゃった(笑)
西田:川島さんも本当にきれいな女の子だなと思っていたら、話すとすごく人間味があってチャーミングなんです。外見のイメージから、シュっとした感じなのかなと思いがちなんだけど、すごく人懐っこくて。犬みたい。家族のところにすぐに「ねえ、ねえ~」って来ちゃう感じの子で、パッと懐に入ってくるから、「よしよし」ってなっちゃう。
浅田:本当よね。カワイイの。感動屋さんで、すぐボロボロ涙を流して泣くし。お姉ちゃん(平祐奈演じる長女・咲季)の結婚式の場面でも、ひとりで大泣きして。「いや、これお芝居だからね」っていうくらい。
川島:これから私だけのお姉ちゃんじゃなくなってしまうんだ、お姉ちゃんが取られちゃったという気持ちと、幸せそうなお姉ちゃんの顔を見ていたら、気持ちが入っちゃって。
浅田:役から離れても泣いてたでしょ。撮影が全部終わって、「お疲れ様でした」って言ったら、大泣きして。
西田:そうそう!
浅田:また会おうよ、一緒にご飯食べようって。
川島:絶対ですからね! って。本当に仲が良くて、みなさん大好きです。
浅田:西田さんとも初共演だったけど、全然初めての感じがなくて。前から知ってた感じだったね。
西田:ずっとしゃべってましたよね。
川島:浅田さんは、西田さんもさっきおっしゃったように、最初から本当に壁がなくて、みんなを緊張させないんです。その場を楽しい空間にしてくれる。お茶目だし、すごくかわいらしい方だなと思ってました。
浅田:ありがとうね。
川島:西田さんは本当にこのままなんですけど。
西田:ん? このままって。
川島:誉めてるんです(笑)。カメラが回っていても回ってなくても、そのままそこにすっと存在されている感じが、すごくステキでした。さっき、西田さんが私を犬みたいって言いましたけど、私、この現場はみなさん犬っぽさがあると思ったんです。ただ西田さんは猫っぽくて。1回、撮影の合間に浅田さんが車を出してくれて、キャストのみんなで神社に行ったんですけど。
浅田:そうそう! 今年1番のパワースポットの神社が近くにあるっていうから、そこに連れて行ってもらったんですけど、そのときちょうど西田さんがいないときで、みんなで帰ってきたときに現場にいらっしゃって。「行ってきたよ」と報告したら「あ、そうですか。私はもういいから」ってすねちゃって。
川島:そういうお茶目さが本当にお母さんみたいだったのと、猫っぽくてかわいかったです。
西田:だって「みんなで一緒に行こうね」って言ってたのに、先に行っちゃうから。私は次の日、川島さんと行きました。
浅田:「(私も)行ってきたから!」と、「どうだ!」って感じでお守り見せてたよね(笑)
西田:そういうのも、素直に前面に出せる現場でした。
ここ最近感じた「青春だな」というエピソードは?
――本当に仲がいいのが伝わってきます。さて本編に幾度も登場する詩「青春 Youth」は、青春には年齢は関係ないとうたっていました。最後に、みなさんが「青春だな」と感じた最近のエピソードを教えてください。
浅田:私はオリンピックを見て寝不足になっていたことですね。次の日のダイジェストじゃなくて、やっぱりオンタイムで見たくなっちゃうんです。「なんで見ちゃうんだろ」って言いながら、寝不足になって。それがちょっと青春だったかな。
川島:それをメールでみんなに教えてくれるんです。
西田:私は映画が好きなので、時間があるとひとりでもモーニングショーとかレイトショーにも行くんですが、そういうとき、映画館で知らないみんなと時間を共有している感じがして、映画という「秘密」を共有しているというか。そういう時間がすごく好きで、青春を感じます。
浅田:映画館に行くと、やっぱりポップコーンとコーラだよね。普段はアイスコーヒーなのに、映画館に行くとポップコーンとコーラが欲しくなる。あれも青春だよね。鈴遥ちゃんは、最近の青春話っていっても、今が青春だよね。
川島:私は、家にいる自分とはまた別の自分を感じるときに、青春だなと思います。今回の現場でも、血は繋がってないけれど、物語の中で家族になれた。こういう時間が青春だなと感じるので、これからもいろんなところで、そんな青春を経験していきたいです。
浅田&西田:(ふたたび、すごいわねー、といった顔で見守る)
川島:(気づいて)ちょっとやだ!
3人:(ギュッとくっついて)あははは!
■川島鈴遥
2002年3月17日生まれ、栃木県出身。2010年にドラマ『特上カバチ!!』で女優デビュー。2019年公開のオダギリジョー初長編監督作『ある船頭の話』でヒロインに抜てきされ、第34回高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞した。主な出演作にドラマ『オリバーな犬、 (Gosh!!) このヤロウ』(21・22年)、特集ドラマ『二十四の瞳』『仮想儀礼』(22年)、映画『死刑にいたる病』『ぜんぶ、ボクのせい』(22年)など。
■西田尚美
1970年2月16日生まれ、広島県出身。モデルとして注目後、矢口史靖監督作『ひみつの花園』(97年)で映画初主演を果たす。近年の主な映画出演作に『凪待ち』『新聞記者』(19年)、『青葉家のテーブル』(21年)、『土を喰らう十二ヵ月』(22年)、『ヴィレッジ』(23年)、『言えない秘密』(24年)など。現在、ドラマ『海のはじまり』『ひだまりが聴こえる』が放送中。待機作にドラマ『HEART ATTACK』、映画『傲慢と善良』(9月27日公開)、『アイミタガイ』(11月1日公開)、『十一人の賊軍』(11月1日公開)、『正体』(11月29日公開)がある。
■浅田美代子
東京都出身。1973年にドラマ『時間ですよ』でデビュー。劇中で歌った「赤い風船」で第15回日本レコード大賞新人賞を受賞した。その後『寺内貫太郎一家』シリーズなど数多くのドラマに出演、映画『釣りバカ日誌』シリーズでは、主人公ハマちゃんの妻みち子役の2代目として愛された。映画『朝が来る』(20年)にて日本批評家大賞助演女優賞を受賞。近年の主な映画出演作に『あん』(15年)、『エリカ38』(19年)、『とべない風船』『キリエのうた』(23年)など。2025年放送のNHK連続テレビ小説『あんぱん』に出演が決定している。