11日に公開されたJホラーの巨匠・清水崇監督最新作『ミンナのウタ』。GENERATIONSが本人役で主演を務める同作は、カセットテープから流れる“とあるメロディー”を聴いた人々が、次第に自らも口ずさむようになり、不可解な事件に巻き込まれていくサスペンスホラー映画だ。

今作で怪奇現象に巻き込まれるGENERATIONSのマネージャー・角田凛を演じたのは、女優・早見あかり。ホラー作品が苦手だという彼女は、なぜ出演を決断したのか。身近な存在でもあるマネージャーという職業を演じること、そして改めて女優に向いていると感じた「主役体質」とは。

  • 早見あかり 撮影:宮田浩史 スタイリスト:坂井七帆 ヘアメイク:takane(アルール)

    早見あかり 撮影:宮田浩史 スタイリスト:坂井七帆 ヘアメイク:takane(アルール)

■苦手なホラー作品に出演「試写が嫌で嫌で……(笑)」

――まずは作品を観た率直な感想をお聞かせください。

ホラーが苦手で、最初から最後までホラー作品を観たのが人生で初めてでした。もちろん台本を読んで撮影をしているので、何が起こるの知っているのに映画館の音響も相まってしっかりと驚きました。ずっと肩に力が入っていたので疲れました(笑)。

――ホラーが得意ではない早見さんが清水崇監督作品への出演を決めたきっかけを教えてください。

「清水さん=Jホラーの巨匠」という印象なので、素直に、ご一緒できることが楽しみでした。また、内容としてもGENERATIONSの皆さんがご本人の役で出演されて、その中に架空のマネージャーとして私がいるというのが、フェイクとリアルが重なるおもしろい題材だと感じました。ホラーが苦手だからやらないという考えはなかったのですが、オファーをいただいて、撮影が始まる前から試写が嫌で嫌で……(笑)。

――演じるのと観るのは別ということですね(笑)。台本を読んだときにも怖さは感じましたか?

怖いですが、それよりも“どうやって画で表現するのだろう”と思っていたところがあったので、ワクワク感の方が大きくて、自分がいないシーンも試写で答え合わせができて良かったです。台本の文字よりも映像で見た方が、清水さんの頭にあるものが、より具体的に表現されていたので、改めて怖いなと感じました。

■Jホラーの巨匠・清水崇監督は「変わった方」

――これまでもいろんな監督とお仕事をされてきたと思いますが、清水監督の撮影現場で印象的だったことはありますか?

清水監督は、基本的に物腰の柔らかい優しい印象ですが、時々ブラックジョークが飛び出ることもあり……。私がクランクインした日が車での撮影だったのですが、窓ガラスをガンガンと叩きながら「早く開けろ!」と叫ばれて、“この方、怖い監督なんだ!”と思いました。コミュニケーションだと思いましたが、わからなかったので「なんで窓開けてないだけで私は怒られているのだろう」と。でも、それが冗談だったことが撮影を通じて少しずつわかるようになりましたが、変わった方だなと……(笑)。

――それが清水監督の距離の縮め方なんですね。演出の面ではいかがですか?

GENERATIONSの皆さんのマネージャーという立ち位置だったので、実際マネージャーさんに対しての呼び方など、関係値の軸となる部分は私を含めたキャストに任せてくれました。

なので、本読みと顔合わせの段階からすごく丁寧に時間をかけて作り上げた部分ですね。年齢も近いので仲が良い関係性でもいいのかなと考えました。逆にホラー描写については監督の中に画があるので、ディレクションをしていただきました。

■撮影で怪奇現象を体験「結局、原因は分からずじまい」

――怖がる演技など普段とは違った引き出しを求められたかと思います。

最初に“呪いのメロディー”の音源を聴いたときはとても怖くて。でも、撮影を通して何度も聴いていると、少しずつ慣れてしまい、怖がる演技が少し薄くなってしまうので、特に意識をしました。

試写を観たときにも感じたことは、撮影をしていると、シーンに触れ合う時間が長いので“慣れ”が出てくると思います。もちろん作品は怖かったですが、自分が知っている部分は、撮影の裏側を思い出したりするので、本当のまっさらな気持ちで見られていないです。でも、皆さんが観るときは全く知らない状態で怖いだろうなと思うので、何も知らない方がどのような感想を持つのか興味があります。

――こういった作品の撮影では、怪奇現象が起きやすいという話を聞いたことがあります。撮影中に不思議な出来事はありましたか?

電話の発信ができなくなったことがありました。私が電話をかけるシーンで、普通に電話ができていたのに「ツー、ツー」という不通音しか聞こえなくなってしまって。受電する側の電話を持っていた方は何も触っていないし、電話自体も正常に動いていたのですが、私からはかからなくなってしまいました。結局、原因は分からずじまいでした。

――そんなことがあると、より苦手意識が出てしまいますね……。

怖かったです。撮影期間中は、塩をずっと身に着けていました。