映画『夜、鳥たちが啼く』(12月9日公開)の完成披露舞台挨拶が17日に都内で行われ、山田裕貴、松本まりか、城定秀夫監督が登場した。

  • 左から山田裕貴、松本まりか

    左から山田裕貴、松本まりか

同作は佐藤泰志による同名短編小説(所収『大きなハードルと小さなハードル』河出文庫刊)の実写化作。若くして小説家デビューするも、その後は鳴かず飛ばず、同棲中だった恋人にも去られ、鬱屈とした日々を送る慎一(山田裕貴)のもとに、友人の元妻、裕子(松本まりか)が、幼い息子アキラを連れて引っ越してくる。慎一は恋人と暮らしていた一軒家を、離婚して行き場を失った2人に提供し、自身は離れのプレハブで寝起きするという奇妙な共同生活を送るようになる。

松本は登場するなり「意味深病みツイートの病み本……ああ、間違えちゃった」とぼけ、山田は「違います、病み本まりかじゃないですよ。病みツイートで言うと僕もそうなんで……」と苦笑。Twitterでの発言が話題になりやすい2人だけに、「病み田さんですよね?」(松本)、「病み田です」(山田)と笑いを誘っていた。

ちょうど15日に山田の深夜ツイートが話題になっていたことから、松本は「タイムリだーだったので、いじった方がいいかなと思って。色々と誤解されていることが非常に多い中……」と説明し、山田は「そういう生きづらさを抱えた人たちのお話ですもんね」と同意。松本が「撮影が1年くらい前で、この1年の間、病み本と山田さんは、いろいろ闇ツイート的なものをまあやってきましたね」と振り返ると、山田は「口裏を合わせたわけじゃないですけど、たまたまそういうタイプの人間が揃った」と苦笑し、松本は「でもそれはすべて今日のために!」と主張。山田が「だから鳥のマークの場所で啼いてたわけですね。あ、 Twitterってことです」と納得すると、監督は「ちょっと何の話をしてるのか……炎上したの?」と困惑し、山田は「炎上ってわけではないんですけど」と弁解していた。

互いに「松本さんとたくさん作品を共演させてもらえていたからこそできた」(山田)、「この生命体から何が出てくるんだろうみたいな、その面白さにすごいワクワクしました」(松本)と、信頼を寄せ合っている2人。今回は半共同生活を送るという役柄だったが、そういった状況について、松本は「正直この作品やる前までは理解できないというか、自分はしたくない。こういう曖昧な関係に耐えられないと思っていた」と明かす。

松本は撮影を通し「でも強くなったからこそできる関係なんじゃないか、今の自分よりも強い2人だなと思って、かっこいいなとかも思っちゃったりして」と考えを改めたそうで、「枠に囚われていたり形がないと不安だと言ってるのは、自分が子供だからそこまで行けてないから許容できてなかったんだ、と。病みツイートの件もそうですけど、私は1mmも(病みツイートだと)思ってないんですけど、そう思われるんだろうなとはわかってて書いて、病みツイートって形づけたくなるんだなって」と再びTwitterの話になる。

山田は「結婚なら結婚、病みツイートなら病みツイートってカテゴライズしないと理解できないから、みんな呼びやすい呼び名で言ってるだけってことですよね」と補足し、「今日も鳥たちが啼いてます」とTwitterについて表す。松本は「私自身が形を求めていたし枠に囚われていた、でもこの作品で彼らとの時間を体感したことによって、そんな自分が愚かだったな、子供だったなということに気づいたんです。ひとつ成長させていただけたなと、自分でもびっくりなギフトでした」と真摯に語っていた。