ホラー映画『貞子』シリーズの最新作、『貞子DX』が公開された。貞子とは、“見た者が必ず一定期間ののち死に至る”という「呪いのビデオ」の恐怖を描いた鈴木光司氏のホラー小説を原作に実写化した映画『リング』で登場し、最近ではYouTubeチャンネルも開設するなど、愛される怪異となっている。
今作ではIQ200の大学院生・文華(小芝風花)が、自称占い師の前田王司(川村壱馬)とともに“呪いのビデオ”の謎を解明すべく奔走する姿が描かれ、デジタル社会に適応した貞子が登場する。個性的なキャラクターが発表される中でも注目を集めていたのが、黒羽麻璃央演じる「感電ロイド」。長髪・ガスマスク・白い服という異様なビジュアルも話題となっているが、一体どんな人物なのか、演じた黒羽に話を聞いた。
■『貞子』最新作で「感電ロイド」役
――今回、黒羽さんの演じる「感電ロイド」とはなんなのか話題になっていましたが…
不思議な名前ですよね。本名なのかも、謎にしておきたいです(笑)。謎の協力者ということで、2人(小芝&川村)にどう関わっていくのか、見どころの一つではないかなと思ってます。風貌だけだと、ぱっと見「貞子サイドなんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、もう最初の印象のまま観に来てくれたら嬉しいです。ホラー映画ではありますけど、クスッと笑える場所もありますので、ホラー初心者でも見られるし、ホラー大好きという方もゾクゾクしながら見られる作品になっています。
――もう、本当に感電ロイドがなんなのかわからない状態で見に来てほしいと。
そうですね(笑)
――ご自身ではいかがでしたか? 戸惑いなどはありましたか?
最初の衣装合わせの段階は「なんだこれ」でした。こんなインパクトのある役をやらせてもらうのかと驚きもしましたけど、作品全体を通したときに実は馴染んでる……馴染んでるかどうかちょっと怪しいところもあるんですけど、僕的には馴染んでるんじゃないかなと思ってます(笑)
――ポスターが発表された時には「黒羽さん、どこにいるんだろう」と思いました。
もう、「麻璃央を探せ」です。でも、やりがいがありました。画面に向かって1人でお芝居するシーンが多かったので、皆さんと一緒のシーンは特に楽しかったです。例えば建物の1階と2階でそれぞれ撮影していたり、同じ空間にいて横できっかけのセリフだけ言ってもらうようなシーンもありましたが、貞子も含めて、皆さんとお芝居できるのが嬉しかったです。
■『HiGH&LOW』出演疑惑も…
――小芝さん、川村さんの印象はいかがでしたか?
小芝さんは明るく陽な人という印象が強くて、皆から愛される方なんだろうなと伝わってきました。壱馬はやっぱりかっこいい。ふとした時に出ちゃうかっこよさがあったし、撮影が終わった後にTHE RAMPAGEのライブを見に行かせていただいたら、さらにかっこよかったです。僕は役者としての壱馬が入り口だったので、正直それまでTHE RAMPAGEの曲もあまり知らなかったんですけど、ライブに行ってファンになりました。俺の知ってる壱馬じゃなかった! 今回の演じていた王司と違うし、『HiGH&LOW』とも違うし。
――黒羽さんが見に行かれたTHE RAMPAGEのライブで『HiGH&LOW THE WORST X』の公開が発表されたので、『HiGH&LOW』参戦か? と話題にもなっていました。
偶然なんですよ! 僕も見ていたら(前田)公輝くんが出てきて、発表されて、驚きました。そしてそんな風に騒がれるとは思ってなかったので、普通にツイートしてしまいました。もし自分が出るとしたらそんなに堂々と「行ってきました」なんて言わないよ! と思いました(笑)
――ステージ上の川村さんの姿を見て、刺激を受けたりはしたのでしょうか?
僕はとてもあんなパフォーマンスはできませんが、やっぱり純粋に伝わってくるものがあって、圧巻の表現力でした。『貞子DX』の役を通して会っていた時とも全然違ったし、その幅の広さは、知らない人を見ているみたいでした。僕の知っているかわいい壱馬じゃなく、かっこいい壱馬でした!
――撮影を通してかわいいと思ったところがあったんですか?
夜の撮影にテンションが上がって、無邪気に走り回ってましたもん(笑)。小芝さんも壱馬も、とにかく元気だった。それを見て、「おお、若い」と思いました。基礎体力がすごかったです。
――黒羽さんもそれほど年齢は変わらないかと思いますが、事務所の取締役になったり、東京ドームで『ACTORS☆LEAGUE』をプロデュースされたり、責任を感じる立場になってきたのでしょうか?
そこは、まだまだです(笑)。お二人については、発せられるオーラみたいなものがキラキラしてるなあと思ったんです。下の子達がキラキラしてるのを見ると、若いエネルギーっていいなという気持ちになります。僕もキラキラしたいですけど、できているかなあ? 2.5次元ミュージカルなどに出ると、後輩の方も多くなりましたし、不思議な立場になりました。例えば前に出てスピーチしたりといった場面も、昔より緊張しなくなったかもしれないです。楽しくやっています。
――自分でまとめなきゃいけない現場、チャレンジしていく現場、気持ちの違いはありますか?
まとめなきゃいけない現場もあれば、ミュージカル『エリザベート』のように新人の立場の作品もあるので、臨機応変に対応していきたいな、と。どこにいても常にフラットにいようとは思っています。今回の『貞子DX』は楽しくやれたらいいなと思っていましたし、感電ロイドという役は見た目から楽しめる要素たっぷりだったので、ホラー映画ではありますけど明るい気持ちで挑むことができました。僕、もともと木村(ひさし)監督も好きだったんです。『99.9-刑事専門弁護士-』も見ていましたし、木村イズムが溢れているというか。監督の持つメガホンにステッカーが貼ってあったりもして、座組みの一員として楽しく参加させてもらえた作品になっています。
■黒羽麻璃央
1993年7月6日生まれ、宮城県出身。2010年「第23回JUNON SUPERBOY CONTEST」で準グランプリを受賞。2012年にミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで俳優デビューを果たす。舞台を中心に活躍を続け、2018年にはミュージカル『刀剣乱舞』の刀剣男士としてNHK『第69回紅白歌合戦』に出場。2022年はミュージカル『るろうに剣心 京都編』、ドラマ『名探偵ステイホームズ』『寂しい丘で狩りをする』『競争の番人』『恋と弾丸』に出演、映画『野球部に花束を』(22)が公開、現在上演中のミュージカル『エリザベート』に出演している。