プロ野球の球団、北海道日本ハムファイターズの新しいフランチャイズ球場となる「エスコンフィールドHOKKAIDO」(以下、エスコンフィールド)が、2023年3月14日に北海道の北広島市にてプレオープン。単なる野球場ではなく、持続的に成長する街づくりの実現や北海道のシンボルとなる空間をコンセプトに建設されています。
そのために多彩な取り組みが行われており、新球場のエスコンフィールドだけでなく、さまざまな施設が複合したいわゆる「ボールパーク」となっています。名称は「北海道ボールパークFビレッジ」です。今回、メディア向けの内覧会に参加して、エスコンフィールドの野球観戦をより盛り上げるパナソニックによる最新の照明やサイネージを中心に球場内をレポートします。
日本初の開閉式屋根付き天然芝球場は、スタイリッシュな三角屋根
エスコンフィールドは札幌の中心地から電車で約20分の距離。北広島市の豊かな自然に恵まれた場所にあります。日本初の開閉式屋根付き天然芝球場は、スタジアムには珍しい三角屋根です。ちょうど取材した日は雪がまだ残っていましたが、遠くから見ると合掌造りを連想させるデザインで、雪景色に溶け込んでいました。
敷地面積は約5万平方メートル。シーズン開幕時には3万5,000人を収容できます。エスコンフィールドを含む北海道ボールパークFビレッジは、全体で32万平方メートルにもなります。よく聞く言い方をすると、東京ドームの約6.8個分という敷地です。北海道ボールパークFビレッジでは、グランピング施設やプライベートヴィラ、ボーネルンドプロデュースによる子どもの遊び場などを利用できます。
エスコンフィールドは三角屋根が特徴です。屋根は開閉式ですが、今回は屋根が閉まった状態で取材。3月上旬だったので外には雪も残っていましたが、球場内はあたたかくてコートいらず、薄着でも快適です。
最大で高さ70mもある、壁一面のガラス壁は圧巻。自然光を取り入れられるので、屋根が閉まった状態でも日光が入って開放感がありました。
照明・映像・音が連携し、ダイナミックな演出で試合を盛り上げる
グラウンドを照らすメインのLED投光器は、光束2kW相当(14万ルーメン)のものを226台、1kW相当(6万6,400ルーメン)のものを128台使用。太陽の光に近い昼白色に調整しており、太陽光の下とどれだけ同じように見えるかという、色の再現性を示す目安は「Ra90」(Ra:平均演色評価数)と高いことも特徴です。
また、DMXという最新の制御技術によって、1台1台の照明を細かくコントロール。光が流れたり、点滅したり、繊細な光の演出を行うことができます。グラウンド面に当たる光によって、サークルやウエーブといった華やかな演出も可能です。
1kW出力の競技用照明投光器は、内野側・外野側にそれぞれ直線状に配置しています。通常の球場では囲むような配置ですが、エスコンフィールドは開閉式の屋根からくる制約によるもの。逆にその形状を生かしています。内野と外野の天井で直線上に配置することで、キレイに光が流れるようになりました。
「メインの照明は左右にある大型ビジョンが見やすい位置に設置しました。器具光束が2kWより低い1kWに分けていますが、選手が外野フライなどを捕球するときにまぶしくないように配置しています。来場者の見やすさはもちろん、プレーヤーファーストで設計しています」(パナソニック エレクトリックワークス社 栗本雅之さん)
また、光の演出では照明と映像、音が連携しています。照明だけでなく、音響とサイネージは新スタジアムコンテンツマネジメントシステム(S-CMS)でそれぞれ制御しており、一体感と迫力のあるダイナミックな演出が可能となっています。
実際に、グラウンド、バックネット裏、スタンドからの演出を見学。グラウンド上では照明を見てもまぶしさを感じることはありません。4階スタンド席からは全体を見渡して、グラウンド面の点滅やウエーブを見ることができました。大画面の映像と音響との一体感も素晴らしく、試合中は盛り上がりそうです。動画でご覧ください。
球場内のコンコースなどに設置してある9,000台の照明、外構に設置してある約450台の外構照明、コンコースや球場のいろいろな場所にある600台のデジタルサイネージも、パナソニック エレクトリックワークス社製です。同社の映像制作ソリューション「KAIROS」を活用して、映像、照明、音響システムを一括管理。一体感と没入感が高い演出が特徴です。
「場内のデジタルサイネージにはケーブルテレビの技術を応用し、0.5秒以下というほぼ遅延がない状態で表示されます。そのため、コンコースでも場内の熱気をそのまま体験できます。一度に全体を制御できるようになったため、運用面ではスタッフが1台1台を回ってリモコンで電源オンオフをする必要がなくなりました」(パナソニック エレクトリックワークス社 加藤暁之氏)
パナソニック製品を試しながら野球観戦できる「Panasonic CLUB LOUNGE」
パナソニックがネーミング権を取得した「Panasonic CLUB LOUNGE」は、3塁側ダグアウトのすぐとなりに。選手との距離が近く、迫力ある観戦体験ができます。パナソニッククラブシートの89席は基本的に年間シートとして販売されますが、「単価」は試合日や席の場所によって変わり、13,000円から27,000円となっています
ラウンジの中には、利用者に飲食付きで豪華な食事がふるまわれるエリアも。北海道産の食材を使ったブッフェ形式で提供されるとのこと。
また、パナソニックの製品が置いてあり実際に体験できます。取材時は、エアーマッサージャー「レッグリフレ」、肌ケアができる「ナノケア」、高級マッサージチェア「REALPRO」がありました。ラウンジの空気ケアには次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」、トイレは全自動おそうじトイレ「アラウーノ」です。ほかにもスポットライト型ナノイー発生機やカバー付き露出コンセントなど、パナソニックの製品がたくさんありました。
これらの家電はさりげなく置いてあり、気軽に試せます。リラックス系の家電を試しながら野球を観戦という、これまでにない体験ができそうですね。
スタジアムツアーや飲食店など、試合以外も楽しめる
北海道ボールパークFビレッジには、温泉やサウナ、ホテルなどの施設もあります。ホテル「tower eleven hotel」は、アジア初というフィールドが一望できる球場一体型ホテル。サウナ「tower eleven onsen & sauna」はフィールドを見下ろす24席の「ととのえテラスシート」があり、なんとサウナ室から試合を見られます。
飲食テナントも充実しており、選手とコラボした特別メニューもたくさん。そしてエスコンフィールド内は完全キャッシュレス。売り子もステラモバイルという端末で非現金決済を行います。
「Fビレッジ公式アプリ」を使うと、エリアマップから現在位置と目的地が一目でわかります。独自のFマイルがたまったり、クーポンを使えたりと、頻繁に訪れるファンには便利そうです。
試合がない日やナイターの日は、午前中を中心にファイターズガールが案内する「スタジアムツアー」も! 価格はプレミアムツアーが平日3,500円、休日4,500円。ベーシックツアーが平日1,800円、休日2,300円です。
プレミアムツアーでは、ふだん見ることができない選手のホームチームロッカー、監督室、ダグアウト、ウエイトルーム、ブルペンなどを見学することができます。ファンならぜひ見ておきたい盛りだくさんの内容でした。
最新鋭の球場で野球のイメージが変わる
筆者は昭和のころにプロ野球をよく観戦していたのですが、最新の球場(エスコンフィールド)は何もかもが昔とは違っていて、隔世の感がありました。新しい球場の照明と映像、音響が一体化した演出は、応援にも熱が入りそうです。完全キャッシュレスでスピーディーに決済できる点にも驚きました。
野球を見ながらサウナに入ったり、飲食テナントをぶらぶらして食べ歩きをしたり、さまざまな楽しみ方ができるエスコンフィールドHOKKAIDO。野球がないときにも開催されるスタジアムツアーなどもあるので、友人同士や家族で訪れてみてはいかがでしょうか。
石井和美
いしいかずみ
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