香港のブロックチェーン企業が、ステーブルコインと中央銀行デジタル通貨(CBDC)のギャップを埋めることを目的としたデジタル決済システム「ユニバーサル・デジタル・ペイメント・ネットワーク(UDPN)」を立ち上げた。

中国のブロックチェーンの取り組みをリードするブロックチェーン・インフラ企業であるレッド・デート・テクノロジー(Red Date Technology)が、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)2023会議間中に発表した。

UDPNの開発には、テックエンジニアリング企業のGFTテクノロジーズと、法律事務所DLA Piperのデジタル資産作成エンジン「TOKO」も貢献している。

ホワイトペーパーによると、UDPNは分散型台帳技術(DLT)プラットフォームであり、ステーブルコインとCBDCを除けば、SWIFTネットワークが銀行に対して行っていることと同様の目的を果たすだろうとしている。

“SWIFTネットワークが、異なる決済システムをまたぐ金融機関間のメッセージングのためのオリジナルの共通規格を作ったように、UDPNは、新興世代のCBDCとステーブルコインに対して同じ目的を果たすだろう。”

1月19日のプレスリリースによると、「多くの国際的なティア1銀行」がすでにクロスボーダー送金とスワップでネットワークをテストする概念実証(POC)に参加しているという。

POCに参加している銀行は公表されていないが、ドイツ銀行、HSBC、スタンダードチャータード銀行、東亜銀行、AkbankがダボスでのUDPN発表会にパネルとして参加した。

A high-level overview of the UDPN architecture depicting CBDC systems connecting to off-chain “transaction nodes” which in turn connect to the on-chain “validator nodes.” Source: UDPN white paper.

POCで使用されるステーブルコインについても未公表。しかし、ネットワークのホワイトペーパーには、「CBDCと規制された法定通貨裏付けのステーブルコインのみを支払い方法としてサポートする」と記載されており「ビットコインのような規制されていないパブリックチェーンの仮想通貨は受け付けない」という。

CBDCと銀行発行のステーブルコインの発行と流通、電子商取引の決済ゲートウェイとしてのUDPNの使用など、このネットワークでは他に8つの概念実証テストが予定されている。

このデジタル決済システムを立ち上げる前、同社は中国の国家的ブロックチェーンプロジェクトであるブロックチェーンベースサービスネットワーク(BSN)を手がけたことで知られている。

最新の白書では、中国のブロックチェーンプロジェクトの運営にレッド・デート・テクノロジーが関与していること、また、中国のデジタル人民元を使った同国独自のCBDCの取り組みについては一切触れられていない。

同プロジェクトの広報担当者はコインテレグラフに対し、BSNとUDPNは「分散型で管理・統治されている」ため、「何の関連性もない」と述べている。