米商品先物取引委員会(CFTC)のクリスティ・ゴールドスミス・ロメロ委員は、仮想通貨市場内の伝播リスクが、2008年の世界金融危機時に伝統的金融(TradFi)システムが経験したものと似ている例として、テラのエコシステムの崩壊とそのフローオン効果を指摘している。
ロメロ氏は、10月26日に開催された国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)のクリプト・フォーラムでの講演で、仮想通貨市場とTradFiの連携が進むと、仮想通貨が金融全体の安定にもたらすリスクが高まると指摘し、次のように述べた。
「デジタル資産市場はまだ比較的小さく、規模が大きくなったり、伝統的な金融システムと相互接続したりすることで生じるレベルのシステミックリスクは抑制されている。しかし、特に伝統的金融による関心が高まっていることから、これは近い将来には当てはまらないかもしれな」
またロメロ氏は、退職金基金や年金基金が仮想通貨から距離を置くべきだと主張している。「仮想通貨は伝統的な投資をヘッジしたり分散化させるものではなく、株式市場と広く相関している」と指摘し、市場でのリスクを大きく増幅させ、金融の安定性にとって大きな懸念事項になると考えている。
ロメロ氏は、米国が規制を急がないよう注意する一方で、仮想通貨産業がもたらすリスクのレベルが高まるにつれ、「同一リスク、同一規制」のアプローチを支持し、「金融危機後の改革と同様に、議会はCFTCに追加的な権限を与えることで金融安定化リスクに対処できる」と語っている。