ブロックチェーン上に構築されたデジタルキャッシュ・システムは、発展途上国でより多くのユーザーを惹きつけるようになっており、物理的な貨幣の特質を維持しつつ、規制の制約を受けずにそれを実現できなければならないと、サークルCEOのジェレミー・アレール氏は主張している。サークルはステーブルコインのUSDコイン(USDC)の発行者である。
スイスのダボスで開催されている世界経済フォーラムのパネルディスカッションで、アレール氏は、物理的な現金が持つ交換媒体としての理想的な特徴について議論した。「現金が王様」と言われる理由として、現金の携帯性、プライバシー、個人の主権を確保する役割があるとアレール氏は主張している。
「現金は本当に素晴らしい商品だ。プライベートで、安全で、無記名で、取引相手との間で最終的な決済ができる」と述べ、次のように付け加えた。
「世界では、現金を強力なものにしている機能を取り去ろうとするエネルギーが溢れている。世界中の人々が、モバイルマネーよりも現金を好むのには理由がある。それは彼らに多くの自己主権を与え、より多くの経済的自由を与えるからだ」
この発言は、アシフ・サレハ氏が「モバイルウォレットによる送金は、送金先の国がデジタル技術を導入していないため、限界がある」と指摘したことに応えたものだ。サレハ氏は、貧困撲滅を目指す非営利団体BRACバングラデシュのエグゼクティブディレクターを務めている。
「お金を動かす力を制限する政策や規制の問題の多くは、人々の経済的自由を奪うことに関係している」とアレール氏は言う。「我々は、現金を魅力的なものにしている機能を有したデジタルキャッシュを実際に提供するモデルを構築することによって、これらの問題の解決を考えなければならない」。
SIMカードのようなシンプルなもので、世界中の人々がグローバルなインターネットに参加することができる。そのモバイルIDによって、人々がUSDコイン(USDC)などの仮想通貨を送受信できるデジタルウォレットを組み込むこともできるはずだと、アレール氏は述べている。
「これを実現できるモデルがある[…]政策立案者や規制当局は、すべての人を自分の規則に合わせようとするのではなく、適応する必要がある」とアレール氏は主張している