ソニー・グローバルエデュケーションは、ロボット・プログラミング学習キット「KOOV」のユーザーを対象にした国際的なロボット・プログラミングコンテスト「KOOV Challenge」のエントリーを7月26日から開始しました。これにあわせて、ロボット・プログラミングの体験コンテンツを「KOOVアプリ」上で提供をスタート。オンライン説明会からレポートします。

  • KOOVはブロックを使ってプログラミングを学べる学習キット

KOOV(クーブ)は、ブロックを使って自由に「かたち」を作り、プログラミングによってさまざまな「動き」を与えて学べるロボット・プログラミング学習キットです。おもな特徴は以下の4つ。

1:ジェンダーニュートラル
カラフルなブロックは、男の子でも女の子でも自然とさわりたくなるようなデザイン。

2:ビジュアルプログラミング
プログラムコードを書くのではなく、多彩な命令パーツを直感的に組み上げる「ビジュアルプログラミング」なので、プログラミング初心者も始めやすいインタフェース。

3:シンプルなパーツ
7色7種類のブロックを組み合わせて、さまざまなロボットを作れます。シンプルなパーツを使うため、自由な発想を引き出せる点が魅力です。

4:アイデアを共有できるインタラクション機能
専用のKOOVアプリによってり、作った作品をユーザー同士で共有できます。ほかの子どもたちが作ったロボットやプログラムのアイデアを参考にして、さらに新しいものを作るなど楽しみが広がります。

  • ブロックや電子パーツがセットになったキットと、専用アプリを使います

  • シンプルなブロックを使い、自由に作品を作れます

以前に筆者はKOOVをレビューしていますが、クリアカラーのブロックがかわいらしく、飾っておきたくなるデザインがお気に入り。見た目にも手に取りやすい学習キットです。個人向けだけでなく、小学校、中学校、学習塾、通信教育など幅広い現場で導入されているのも納得。

ブロックを駆使して、動物や楽器などさまざまなロボットを作れるので発想が広がります。プログラミング言語は小学校のプログラミングでよく使われている「Scratch」と同じビジュアルタイプなので、KOOVでプログラミングに慣れていると、学校の授業にもスムーズに取り組めるのではないでしょうか。

プログラミング学習のハードルを下げる「VIRTUAL KOOV」

今回、ソニー・グローバルエデュケーション 未来教育事業部の原田悠我氏は、小学生を対象にしたワークショップを振り返りながら、「課題をきっかけに学びを深めていくには、それなりのスペースと機材と友だちの存在が大切。友だちと試行錯誤する中で『作る』気持ちがもっと刺激されます。より多くの子どもたちに、こうした探求と創造の機会を届けられないか考えていました」と話します。

  • VIRTUAL KOOVのは、アプリだけで完結するロボット・プログラミング学習。バーチャルなブロックとロボットがリアルに動きます

なるほどそういわれてみると、ブロックを使ってプログラミングを学習するため、実際に動かせる場所が必要ですし、使わないときにブロックなどを片付けておく場所も用意しなくてはなりません。

また、最小限のブロックと電子パーツをセットしたシンプルな一般向けキットの「KOOV スターターキット」は40,568円。購入前にじっくり検討したくなる価格ですよね。KOOVの導入を検討する人からは、「もっと手軽に試せるものはないですか?」という相談も寄せられたそうです。

こうした課題を解決するため登場したのが「VIRTUAL KOOV」です。

VIRTUAL KOOVは、実際のブロックを使わずに学べるプログラミングキット。アプリと学習コンテンツが一体となっているため、場所を問わず学びやすい点が魅力です。VIRTUAL KOOVの推奨環境は、Windows 10で第10世代Intel Core i3以上のCPU、macOS 10.14以降で2018以降に発売されたハードウェア(Apple M1チップは動作保証なし)となっており、若干ハードルが高いかもしれません。8月中旬ごろには、iPadも推奨動作環境に加わる予定です。

  • KOOVのアプリに「VIRTUAL KOOVをたいけんしよう」と表示されます

「物理演算シミュレーターを使って摩擦や重力の概念を含め、極めて現実世界に近い形で3D上に再現した」というように、かなり力が入っています。

画面上のブロックは、重力や慣性の影響を受けた動き(表示)をするほか、モーター制御でもセンサーで壁との距離を測って動かすなど、実際のロボットと同様の動きをアプリ上で観察できるというわけです。7月26日から、KOOVアプリの中で体験コンテンツを無料公開します。

体験コンテンツは、初めてプログラミングを始める人を対象に、ロボット・プログラミングの基礎を身につけられる全3回のカリキュラムで構成されています。

  • 体験コンテンツは3つのカリキュラム

  • プログラミングで動かすのはアニメーションのロボットです

  • テキストを見ながら会話形式で学習。指導者がいなくても自分で課題に取り組めます

カリキュラムは会話形式で進めていきます。操作に迷った時にはヒントで確認できるため、自分のペースに合わせて学べるでしょう。

さっそくカリキュラムを体験

まずは、LEDを点灯させる「ロボットを光らせよう」というカリキュラムです。

  • ブロックを操作するデモンストレーションが表示されます

【動画】作ったプログラミングはすぐに動作を確認。ミッションをクリアするとキャラクターがほめてくれます
(音声が流れます。ご注意ください)

  • 「ロボットを光らせよう」という1つのカリキュラムの中にも複数のミッションがあって、いろいろなプログラミングのパターンを覚えられます

  • カリキュラムをこなしていくと、キャラクターが声かけしてくれてヤル気が出ますね

ほかにも、車型のロボットを動かして、ゴールエリア(黄色い円)内に車を停車されるカリキュラムがあります。スタート位置は坂の上。動かし方を間違えると坂から落ちて転がってしまいます。しかも坂の下には穴があるため、穴に落ちないようにしながら車を動かすためにはどうすればよいかを考えなければいけません。この辺はゲーム感覚ですね。

坂から落下するとタイヤが回転したり、バウンドしたりするのですが、このリアルな表現は物理演算シミュレーターを使っているからこそ。

  • 黄色い円がゴール。ここに車体を完全に入れます。車の一部だけ入っていてもミッションクリアになりません

  • 回転させてみると、坂になっているのが分かります

【動画】穴に落ちてしまいました……
(音声が流れます。ご注意ください)

【動画】今度は坂から落ちて回転してしまい……
(音声が流れます。ご注意ください)

【動画】穴には落ちなかったものの、ギリギリのところでひっかかりました。車体が揺れているのがとってもリアル
(音声が流れます。ご注意ください)

【動画】無事に到着しました!
(音声が流れます。ご注意ください)

確認画面を回転できるので、いろいろな角度から観察してルートを考えられます。3回のカリキュラムを終えると、基本的な操作は身についているでしょう。何度も挑戦していろいろなプログラミングを試せます。

  • 特定の正解を表示するのではなく、「どんなブロックを使ってもいいよ」と声をかけ、探究心を刺激します

VIRTUAL KOOVでコンテストに参加できる

「もっとプログラミングをやってみたい」「ちょっと物足りない」という人は、KOOVのキットを購入してもよいですし、ロボット・プログラミングコンテスト「KOOV Challenge」参加するのもよいでしょう。

2017年にスタートした「KOOV Challenge」は、ロボット・プログラミング学習キット「KOOV」を使った国際コンテスト。2020年度は日中米から474名のユーザーが参加しました。コンテストでは地域を越えてユーザー同士が競い合うため、刺激になるそうです。

  • 「VIRTUAL KOOV部門」を新設したので、2021年度は参加者が増える見込みです

2021年度は「VIRTUAL KOOV部門」を新設。小学校低学年以下・小学校高学年・中学生以上という3つの学年区分で参加を募集しています。テーマは「雪かき」。コンテストのエントリー期間は、2021年9月9日15時ごろまで。詳細はKOOV Challenge公式サイトをチェックしてみてくださいね。

プログラミング教育の課題

小学生の息子に「VIRTUAL KOOV」の感想を聞いたところ「ブロックを片付けなくていいのでラク」「壁にぶつかると跳ね返ったり、穴の端に引っかかってギリギリ落ちなかったり実際のロボットみたいな動きをして楽しい」と、手軽で面白いと感じたようでした。

なお、VIRTUAL KOOVの体験コンテンツは、KOOV Challenge終了時にいったん配信を終える予定。手軽に触れられるVIRTUAL KOOVでプログラミングを学び、夏休みの自由研究にするのもよさそうです。