いまだに新Surface Proを購入するか否か逡巡(しゅんじゅん)している。いくつか理由はあれど、大きいのは価格だ。
Qualcomm Snapdragon X Plusプロセッサー搭載モデルは20万7,680円から。Snapdragon X Eliteプロセッサー搭載モデルは29万5,680円から。メインPCとして捉えれば高額とはいえないものの、業務利用するPCでメモリー16GBは少々物足りない。
加えてメモリー32GBを用意するのは有機ELディスプレイのSnapdragon X Eliteモデルのみ。価格は税込み39万4,680円である(いずれもMicrosoft Store価格)。
現在はコロナ禍で外出しないことからSurface Pro 7の利用機会も減り、デスクトップPCの原稿作成に目の疲れを感じたら、眼鏡を外してSurface Laptop 4を使用している。どうにも新Surface Proを活用できる場面を見いだせない。
他方でCopilot+PCを前提とした諸機能は気になる。たとえばRecallだ。ユーザーの各種行動をSemantic Indexで記録し、セマンティック検索で必要な情報にアクセスできるという。結構なシステム負荷が発生すると思われるが、MicrosoftはSnapdragon X Plus/Eliteでのみ動作すると説明している。
さらに40TOPSのNPU、16GB以上のメモリー、256GB以上のストレージとシステム要件は少々厳しい。ただし、ネット上には64ビット版Windows 11をハックしてRecallを有効にしたと報告している方もいるので、このあたりは不明確だ。
同社がWindows 11で廃止したWindowsタイムラインを上回る機能になるのか、本当にUI体験が向上するのかは使って見なければ分からない。この点も購入を悩ませている要素の一つだ。
もう一つがWindows on ARMである。Snapdragon X Plus/Elite搭載環境でx86/x64アプリを起動する際は、Prism Emulationエンジンを起動するそうだ。パフォーマンスも以前のx86/x64 to ARMエミュレーションエンジンを上回り、違和感なくx68/x64アプリを使用できるという。
筆者も勉強不足でPrism Emulationの構造を把握していないが、バイナリーの実行にエミュレーターを必要とするのであれば、Intel/AMD製プロセッサーを搭載したPCを使う方が賢いと考えてしまう。どうにもx68/x64 to ARMエミュレーションにロマンを感じないのだ。この点も筆者に二の足を踏ませるポイントである。
それでもCopilot+PCで得られる体験は享受したい。新Surface Proは過去のSurface Pro Xと並ぶ野心的なモデルだが、Surface Proシリーズ好きの方が「新モデルだからリプレースする」と気軽に購入すると、多々の問題が発生しかねないだろう。
2025年にSnapdragon搭載モデルを発表するのであれば、Microsoftの本気度を判断できるが、現時点でそれを問うことはできない。ひとまず一番安価な新Surface Proを対象に、もうしばらく考えようと思う。
著者 : 阿久津良和
あくつよしかず
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