2023年12月23日、東京交通会館にて『モンスターストライク(モンスト)』初のソロ大会「MONST Xmas TOURNAMENT 2023(モンクリ)」が開催されました。モンストグランプリやモンストプロツアーでは4人1組のチーム戦、東京eスポーツフェスタやモンスト春祭りなどでは2人1組のペア戦でしたが、1人ですべてを操作するソロ大会は今回が初です。
モンクリの会場では、大会以外にもさまざまなイベントやブースを用意していました。今回はソロ戦ですが、いつも通りの4対4のトーナメントである「モンストスタジアム 4人フライト式トーナメント」も実施。モンストグランプリの歴代トロフィーの展示やイベントではお馴染みのガチャガチャコーナー「ggMART カプセルスタンド by MIME」、公式物販コーナーなども展開されました。
ソロ大会のもっとも良い点は、参加しやすいことでしょう。仲間を3人集めなくてはならないグランプリに比べ、ソロ大会は自分の都合のみで参加を決められます。その証拠に、今回のモンクリの募集選手数は応募当初は350名でしたが、参加者多数となったため、急遽400名まで増員しました。モンスト春祭りのペア戦のときの募集チーム数は64チーム(128名)だったので、応募のしやすさが伺えます。
逆に厳しい点としては、すべて1人でまかなわなければならないことです。ステージ攻略の考察から始まり、リーダーからアンカーまで4人分すべての操作を行う必要があります。
大会では、一般枠とプロライセンス保持者枠の2つを用意。一般参加者はまずスイスドローRoundを勝ち抜かなければなりません。そこで好成績を残した上位選手がバトルRoundに進出できます。プロライセンス保持者はスイスドローRoundが免除されており、いきなりバトルRoundからのスタートとなります。
バトルRoundは、64名のシングルエリミネーションのトーナメント戦。プロライセンス保持者は21名が参加していたので、残りの43名がスイスドローRoundからの勝ち抜け枠となります。
勝ち上がった一般参加者とプロライセンス保持者の合計64名は「慄える愛」のステージでタイムアタックを行い、その結果によってトーナメントが振り分けられます。慄える愛は『モンスト』で登場したステージで、『モンストスタジアム』では初の登場となります。
決勝ラウンドに進出できるのは8名。プロ選手すら多くがこの予選トーナメントで敗退する過酷なトーナメントです。その中で一般参加者が勝ち抜くのはまさに至難の業と言えるでしょう。
そんな状態で決勝トーナメントに進出したのは、5名がプロ選手、1名がプロ選手ではないもののプロツアー経験者、ほたて選手、むくろ選手の2名が一般参加者。ほたて選手はタイムアタック2位と実力の高さを示しているので、どこまで上位に食い込めるかが楽しみです。
決勝トーナメントはBO3で行われ、2本先取で勝利。慄える愛、暗黒絢爛のCEO、水響の聖夜鐘の3ステージが採用されており、1回戦、準決勝、決勝で使用される順番が変わります。
ステージでカギとなるのが水響の聖夜鐘です。最初の一手の難易度が高く、それを失敗するとリカバリーが苦しくなるステージです。予選トーナメントでも多くのプレイヤーが初手を失敗し、リカバリーしきれず敗れているシーンがありました。ともすれば、どちらのプレイヤーも失敗し、そこからはノーガードで殴り合う展開、悪く言えば泥仕合となってしまうこともありました。
決勝戦に進出したのはタイムアタック1位のSpring選手とHHP選手。2人ともチーム「きまぐれクリティカル」のメンバーで同門対決となりました。HHP選手が認めるSpring選手の技術の高さは決勝戦でも遺憾なく発揮され、圧勝と言える内容で2本連取。Spring選手が優勝を決めました。これで、ランキングバトル オープンβテスト、決勝トーナメントタイムアタック、本大会優勝と、完全勝利を収めたことになります。
試合後、優勝したSpring選手に話を聞いてきました。
――優勝おめでとうございます。まずは、率直な感想をお聞かせください
Spring選手(以下、Spring):ありがとうございます。そうですねただただうれしいです。ソロは難しい部分もあって、多少運もあったと思います。それでも努力した成果もしっかり出せて、勝てました。
――グランプリなどのチーム戦と比べて、操作だけでもやることは4倍になりますし、チーム戦とは違ったプレッシャーもあったと思いますが、その点はどう感じましたか。
Spring:2023年のグランプリと去年のグランプリは僕のミスで負けてしまって結果3位になってしまいました。そこに対するプレッシャーみたいなものはありましたけど、任された番手を決めようという責任感やそれをやることの楽しさみたいなものはありました。なので、ソロでもチーム戦でもプレッシャーに関してはあまり変わらないですね。ただ、今回のソロの経験が次回のチーム戦には活かされそうです。ソロの大変だったことは、チーム戦の時はメンバーに任せているような事務的な作業、資料作りとかですね、そこを自分1人でやらなきゃならないところですね。
――決勝戦はチームメイトのHHP選手との対戦というエモい展開になりました。
Spring:HHPだけでなくすべてのメンバーと戦いたかったですね。HHPとは普段から話をしながら練習をしていました。そこで決勝戦は一緒に戦いたいねって話も出ていたので、それが実現できたのはうれしいです。結果的に勝てたこともうれしいんですけど、メンバー同士で戦う機会がないので、純粋にそれが楽しかったです。
――HHP選手以外に、対戦した選手で印象に残った人はいましたか。
Spring:リオン選手とかリニア選手とか「ミラノ風カルボナーラ」のメンバーで、プロツアー2022を一緒に優勝した選手とは、絶対にやりたくなかったですね。強いからというのもありますが、仲間意識がある選手とはやりにくいと思いました。予選で当たってしまったら、「こんなところで倒したくない」という気持ちもありましたし。リオン選手は観客の前でのプレイでもなかったので。
――では今後の目標をお願いします。
Spring:ソロ最強の称号を得られたので、今度は自分のチームでグランプリに優勝したいですね。過去2年とも3位という成績だったので、次こそは優勝したいと思っています。まあ、ずっと優勝したいって気持ちではあるんですけど。
――ありがとうございました。
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今大会は、ピックがなかったので、用意してきたものをすべて出し切れる大会でした。そのためミラーマッチもあり、考察よりも撃ちだしの正確さと速さを求められた大会とも言えます。その分、選手のスキルが問われるわけです。
そういったレギュレーションの大会で、Spring選手とHHP選手がワンツーフィニッシュを決めたのは、「きまぐれクリティカル」がいかにスキルの高いチームであるかが伺えます。
同時にそのスキルの高さをもってしてもグランプリで優勝するのは簡単ではなく、考察や対応力、チームの連携力など総合的な能力が必要だということが改めてわかったとも言えます。それを踏まえたうえで、「きまぐれクリティカル」が来年のグランプリにどう挑んでくるかが楽しみです。
ソロ大会は参加もしやすく、チーム戦とは違う盛り上がりも見せていました。今後も続けてほしいところです。あと、元々『モンスト』のプロライセンスは個人に渡されているものなので、ソロ大会でもベスト4に入った選手は個人でプロライセンスが取得できてもよさそうだと感じました。
著者 : 岡安学
おかやすまなぶ
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