タクティカルFPSゲーム『VALORANT』の女性限定公式大会「VALORANT Champions Tour Game Changers」では、東アジア大会「Game Changers East Asia」が2022年10月12日よりオンラインにて開催されています。
本大会には、日本・中国・韓国から各2チーム、全6チームが出場。3日間にわたって行われたグループステージでは、振り分けられた2つのグループでシングルラウンドロビン(1回総当たり戦)を行い、両グループの上位2チームがノックアウトステージへの進出を決めました。
日本チームは、Aグループの「Reignite Lily」とBグループの「FENNEL HOTELAVA」が両チームともに1勝1敗。それぞれ2位通過でグループステージ突破を果たしました。
記事では、日本2チームの試合の模様と、グループステージ終了後の「FENNEL HOTELAVA」の合同インタビューの内容をお届けします。
【Reignite Lily】初戦、韓国「MBTI」にストレート勝利
グループステージDAY1は、中国チームと韓国チームの試合のみ。日本チームはグループステージDAY2からの出場でした。グループステージDAY2に行われた「Reignite Lily」の初戦は、韓国予選を2位で通過したチーム「MBTI」との試合です。
1マップ目のバインドでは、「Reignite Lily」が大きくリードする展開で、9-3での折り返しを迎えます。後半の攻めでは、チェンバーを使う「MBTI」Uyou選手のオペレーターに苦しめられ、追い上げられる展開となりましたが、ペースを取り戻し13-10での勝利を獲得しました。
続く2マップ目のアイスボックスでも、「Reignite Lily」がリードを渡すことなく、8-4で折り返します。「Reignite Lily」Mincho選手がセージで25キル、フラグトップとなるアグレッシブな戦いぶりでチームを導き、13-8での勝利へ。マップカウント2-0で、「Reignite Lily」が勝利しました。
■試合結果
Reignite Lily [2-0] MBTI
1マップ:13-10 バインド
2マップ:13-8 アイスボックス
【Reignite Lily】中国「Oxyg3niOus」に1-2で敗北、2位通過へ
グループステージDAY3、「Reignite Lily」2戦目の相手は、中国予選を1位で通過したチーム「Oxyg3niOus」。両チームともに「MBTI」に勝利したことから、グループステージ突破は確定しており、グループAの1位通過をかけた戦いでした。
1マップ目のアセントは、ジェットを使う「Oxyg3niOus」Yue選手のパフォーマンスに圧倒され、4-8で折り返しへ。「Reignite Lily」は後半、ラウンド取得につなげることができないまま、4-13での敗北を喫します。
しかし、続く2マップ目のアイスボックスで、終始ペースを握ったのは「Reignite Lily」。Zodiac選手の活躍を筆頭に、アイスボックスにおける戦いの完成度を見せつけ、13-4で勝利し3マップ目につなげます。
3マップ目のパールでは、揺さぶりをかける「Oxyg3niOus」の攻めを止められず、3-9で折り返し。後半も「Oxyg3niOus」がリードする流れで、6-13での敗北となりました。これにより、「Reignite Lily」はマップカウント1-2で敗れ、グループステージ2位での通過が決まりました。
■試合結果
Reignite Lily [1-2] Oxyg3niOus
1マップ:4-13 アセント
2マップ:13-4 アイスボックス
3マップ:6-13 パール
【FENNEL HOTELAVA】韓国「Spear Gaming Female」に敗れる
グループステージDAY2、「FENNEL HOTELAVA」の初戦は、韓国予選を1位で通過したチーム「Spear Gaming Female」との対戦でした。
1マップ目のアセントでは、徐々にラウンド差を広げられ、4-8での折り返しへ。「FENNEL HOTELAVA」も追い上げを見せますが、Healing選手やHaneul選手をはじめとする「Spear Gaming Female」のフィジカルの強さに押され、8-13で敗北となりました。
2マップ目のブリーズでも、4-8での折り返しと苦しい展開に。後半の攻めでは、Festival選手のネオンとsuzu選手のジェットによるスピーディな攻めで追い上げ、オーバータイムに持ち込みます。しかし、12-14と勝利には届かず、マップカウント0-2での敗北となりました。
■試合結果
FENNEL HOTELAVA [0-2] Spear Gaming Female
1マップ:8-13 アセント
2マップ:12-14 ブリーズ
【FENNEL HOTELAVA】中国「ShanXi Girls」を制し、2位通過決定
グループステージDAY3、「FENNEL HOTELAVA」の2戦目は、中国予選を2位で通過したチーム「ShanXi Girls」との戦い。「FENNEL HOTELAVA」としては、勝てばグループステージ突破、負ければ大会敗退となる重要な一戦です。
マップ1のヘイヴンは、シーソーゲームが続く激戦で、同点6-6での折り返しを迎えました。「FENNEL HOTELAVA」は、Len選手が使うアストラを活かしたアビリティの合わせ技など、見事なチーム連携を披露。後半でリードを広げ、13-9での勝利を獲得しました。
2マップ目のパールでは、8-4と差をつけての折り返し。緊張が感じられた初戦とは違い、カメラに映る選手たちの表情には笑顔も見え、好調な試合運びで13-7での勝利を手にしました。これにより、「FENNEL HOTELAVA」はマップカウント2-0で勝利し、グループステージを2位で突破しました。
■試合結果
FENNEL HOTELAVA [2-0] ShanXi Girls
1マップ:13-9 ヘイヴン
2マップ:13-7 パール
試合終了後の「FENNEL HOTELAVA」にインタビュー
グループステージDAY3の試合終了後、「FENNEL HOTELAVA」の5名の選手が参加する、合同インタビューが実施されました。インタビューでは、グループステージ2試合の振り返りや、国内大会後から今大会にかけてのチームの成長、そして次に戦う中国チーム「Oxyg3niOus」との試合に向けた意気込みなどが語られました。
緊張からパフォーマンスが発揮しきれなかった初戦
――初戦の「Spear Gaming Female」との試合では、緊張が大きかったようですが、昨日の試合後から今日に向けて、チームではどんな話をされましたか?
KOHAL:「緊張って伝わるよね」みたいな話ですね。個々の緊張を出さないほうが、チームとして緊張しないんじゃないか、という内容です。
――国内大会と今大会では、気持ちの入り方に違いがありましたか?
Curumi:どちらも緊張はしていたんですけど、今大会の初戦はもうガチガチに緊張していて、自分が何をしたらいいかもわからないくらいでした。
――グループステージで戦った2チームのなかで、特に印象的だったチームや選手と、その理由を教えてください。
suzu:「Spear Gaming Female」のYamzzi選手は、撃ち合いが強いなと感じました。
――撃ち合いが強い選手はたくさんいた印象ですが、なかでもYamzzi選手を挙げた理由はありますか?
suzu:自分たちがパフォーマンスを全力で出し切れていない試合だったこともありますが、Yamzzi選手の撃ち合いは自信を持って顔を出してくるイメージで、「心臓強いな」という印象でした。
アビリティを合わせてのチーム連携が光った2戦目
――今日の「ShanXi Girls」との試合では、1マップ目のヘイヴンで序盤やや苦戦していたように見えました。どのような話し合いで立て直していきましたか?
KOHAL:ヘイヴンは、うちのアナリストの研究から、相手チームがどういう構成でどう戦ってくるかという、多少の情報がありました。それに対して、自分たちに何ができるのか、相手の流れに逆らうように、自分たちの流れに持っていけるように意識していきました。
――今日の試合では特に、アビリティを合わせての連携がとても印象的でした。昨日と今日の試合で、チームの連携面の手応えに変化があれば教えてください。
Len:アビリティの合わせは、各自がコールして自然と合わせるものですが、昨日はそのコールが少なかったのかなと思います。
――アビリティを合わせるとき、KOHAL選手は自分の判断からアビリティを入れる場面と、味方から欲しいと言われて入れる場面、どちらが多いですか?
KOHAL:アビリティの合わせ技は、「そのアビリティを入れるなら、私もこれを入れよう」と考えていけるメンバーなので、応用が多いです。敵によって来るタイミングも違うので、もともとできたものを合わせているわけではなく、結果として合わせたときに強くなったという、個々の判断だと思っています。なので、どちらが多いかはまったくわかりません。
――KOHAL選手は、ブリーチなどサポート役となるエージェントを使いながら撃ち合いも強く、さらにはIGL(インゲームリーダー)を担当されています。どういった点に気をつけながら、いろいろな役割を両立させていますか?
KOHAL:自分のフィジカル面は強いと思ってないので、チームのために頭を働かせて、多少フィジカル面が落ちてしまっても、あまり気にしないように心がけています。
オフライン環境で打ち解け、チームワークもより向上
――国内大会を終えてから今大会にかけて、チームとしてどんなところが成長したと感じますか?
Curumi:チームとしては、戦術面もそうですが、チームワークがすごく良くなった気がします。前よりコミュニケーション量が増えて、連携がより取れるようになりました。そこは一番成長を感じます。
ラウンド中に、土壇場で解決できることも多くなりました。例えば、行こうと考えていたサイトではなく、別のサイトに行こうとか、そういう急な変更をしても、スムーズに話し合えるようになりました。コーチのおかげでもあります。
――suzu選手は、aika選手に代わっての出場が決まってから1カ月ちょっと経ちますが、チームへのフィット感はご自身でどう評価されていますか?
suzu:めちゃくちゃやりやすいです。サポートがすごく上手いし、個人技も強い。やっていて楽しいし、すごくいいチームだと感じています。
――今大会では、韓国にいるFestival選手以外の4名がゲーミングベースからの参戦になりましたが、オフラインで集まることでの心境の変化はありましたか?
suzu:仲良くなるまでが早かった気がします。直接会うまでは他人行儀で、気を遣い合っていたのですが、オフラインで会ったら一気に打ち解けました。
Curumi:会うまでは言いにくいこともあったけど、ゲーミングベースでみんなで練習するようになってからは、すごく打ち解けてお互いに何でも言えるようになりました。それがゲームの中でも、いい形で現れているんじゃないかと思います。
KOHAL:オンライン上での会話と比べて表情が見えるので、怒りで伝えているのか、それとも真剣に伝えているのか、そういうところもオフラインだと感じやすいのがいいですね。
立ちはだかる強敵、中国チーム「Oxyg3niOus」と対戦へ
――明日ノックアウトステージで戦う「Oxyg3niOus」について、Aグループでの試合を観た印象や、対戦に向けた自信のほどを教えてください。
KOHAL:「Oxyg3niOus」は、強いと思います。何回かスクリムしているんですけど、やっぱり強いなと感じますね。実際はわからないですが、大会本番で100%の力が出ていそうだなと。だから、うちらも120%くらいで戦わないと勝てないと感じています。
――「Oxyg3niOus」のどんなところが特に強いと感じますか?
KOHAL:フィジカル面もそうなんですけど、本当に人数差があまり関係ないんですよね。相手の人数が少なければ、普通はワンチャンスあると考えるところですが、相手が1人になって、例え4対1だったとしても安心できないくらいのチームです。
――最後に、明日の試合に向けての意気込みをお願いします。
Curumi:明日の試合で対戦する「Oxyg3niOus」は、KOHALが言ったように、本当にフィジカル面も戦術面も、すべてが優れている相手だと思います。明日が本当に本番という気持ちで、挑もうと思っています。今日のミスも全部修正して、勝ちをもぎ取りにいきます。
Festival:今日お見せしたように、明日もがんばります。絶対勝てるよ!
KOHAL:明日の対戦相手はすごく強いチームだと思いますが、がんばってきた練習を全部ぶつけたいと思います。
日本2チームがノックアウトステージに挑む
本大会では、グループステージで各グループ上位2チームとなった4チームが、ノックアウトステージへ進出します。Aグループの1位通過は中国の「Oxyg3niOus」、2位通過は「Reignite Lily」、Bグループの1位通過は韓国の「Spear Gaming Female」、2位通過は「FENNEL HOTELAVA」となりました。
ノックアウトステージは、シングルエリミネーションで実施され、負ければ大会敗退、勝てばファイナルへ進出します。そして、優勝した1チームが、11月にドイツ・ベルリンで開催される世界大会「Game Changers Championship」への出場権を獲得します。
ノックアウトステージは、10月15日(土)18時よりスタート。1試合目に、「FENNEL HOTELAVA」対「Oxyg3niOus」、2試合目に「Reignite Lily」対「Spear Gaming Female」の対戦が行われます。