2021年も動画配信サービスからたくさんのヒット作が生まれました。年末年始、まだ見ていない人におすすめしたいのがApple TV+の『ファウンデーション』です。なぜ年末年始かというと、2周目が格段に面白いからです! 時間をかけてじっくり楽しんでいただきたい作品です。
ファウンデーション
SFの金字塔『ファウンデーション』シリーズ(アイザック・アシモフ著)を原作にしたドラマシリーズ。宇宙を統べる銀河帝国の崩壊を計算によって予測した、心理歴史学者ハリ・セルダン。帝国滅亡後の人類再興を支えるべく叡智を集積する組織”ファウンデーション”の設立を提言し、帝国から追放される形で辺境の惑星ターミナスを目指す。
原作とはキャラクター設定や展開を大きくアレンジしながら、通底するテーマを現代の視点で見つめ、壮大な宇宙史をゴージャスな映像で描く。シーズン2の配信が決定している。
<出演者>
リー・ペイス
ジャレッド・ハリス
ルー・ロベル
リア・ハーヴィ
<スタッフ>
デビッド・S・ゴイヤー
ロビン・アシモフ
ジョシュ・フリードマン
キャメロン・ウェルシュ
SF小説の古典を現代の視点で再構築
SF小説のマスターピース『ファウンデーション』の本格的な映像化、ということで注目された本作。クオリティに定評のあるApple TV+作品の中でも際立ったスケール感で、多くのSFファンを納得させる圧巻のファーストシーズンとなりました。
ストーリーや演技はもちろん、都市・建物・宇宙船などの造形から衣装の素材に至るまで、何ひとつ妥協なく”銀河帝国”が存在する世界が描き出されています。しかしもっとも驚かされたのは、現代的な視点で解釈し直した設定と物語です。
原作では男性(と思われる)数々の主要人物がドラマの中では女性であり、俳優の出自も多種多様です。それによって人物たちの間に様々な関係性が生まれ、ドラマの展開をより感情の通ったものにしています。
原作では章ごとに舞台や時代が移り変わり、現状の帝国世界の全体像がなかなか見えません(それが面白さでもありますが)。一方、ドラマでは一人ひとりの人物描写が深く掘り下げられ、中心的な複数の人物を巡って複数の惑星で同時に物語が展開していきます。
2回目が面白い! 設定・演出の深みがすごい
当初はパッチワーク的に描かれていく複数の人物、場所、時系列。シーズン中盤からそのピースが徐々に組み合わされて全体の絵が見え始め、物語の奥行きがグッと広がります。時間を贅沢に使える連続ドラマならではの醍醐味を存分に提供してくれます。
人物の過去や関係性が見えてくるにつれ、「あのシーンはそういう意味だったのか」と理解が進み始めます。この時点でもう一度エピソード1から見直してみると、初回は気づかなかった話のポイントがたくさん見つかるはずです。セリフの意味、行動の意図を理解して見直すと、人物造形がより深みを持って描き出され、人間ドラマとしての見応えが一段上がります。
壮大な銀河帝国史、一人ひとりの人間ドラマ、ハリ・セルダンのミステリアスな予測……幾多の要素を重ねながら、エンターテイメントとして多様性への配慮を明確にし、時に現代社会を投影した皮肉な展開を織り込む、全方位的優等生な作品です。
この作品を視聴するには
- 配信サービス:Apple TV+
- 視聴方法:iPhone、iPad、Macなどの「Apple TV」アプリ、スマートテレビ、Amazon Fire TV、Chromecast with Google TV、PlayStation、Xbox、PCブラウザ(https://tv.apple.com/jp)
- 料金:月額600円(ファミリー共有可)
Apple TV+とは?
Appleが提供する、完全オリジナル作品だけのサブスクリプション型映像配信サービス。ドラマ、長編作品、ドキュメンタリー、アニメなど、毎月新作が提供されている。アカデミー賞、ゴールデングローブ賞など映像作品に贈られる多くの賞にノミネートおよび受賞している。
(画像提供:Apple TV+)