インテルが2021年10月19日より、東京・丸の内の自社オフィス内に「データ・セントリックCoE」と呼ばれる施設を開設した。最新のインテル・テクノロジを実装したリファレンスシステムを設置、テスト環境として利用できるもので、随時アップグレードも行う。官民を問わずひろくデジタル・トランスフォーメーションを推進するための「協創」の場と位置付ける。

  • インテル、DX推進へ丸の内に最新テック環境を揃えた「協創」施設

    東京・丸の内の自社オフィス内に「データ・セントリックCoE」を開設

  • 施設のバーチャルツアーも企画している。各デモの関連情報を呼び出したり、オンラインならではの整理された情報を閲覧できるというメリットも

現在、インテル データ・セントリックCoE(Center of Excellence)で利用可能なリファレンス・システム/デモ環境は以下の通り。パートナー、エンドユーザーは、この環境を使ってアプリケーションのテストやベンチマーク、デバッグ、PoC(Proof of Concept)開発、各種のトレーニングを行うことができる。

・AI/データセンターのテスト環境
インテル Xeon プロセッサー 50ノード
インテル Optane パーシステント・メモリー
インテル Optane DC SSD シリーズ
インテル イーサネット 800/700 ネットワーク・アダプター
インテル プログラマブル・アクセラレーション・カード(インテル PAC)
インテル vRAN専用アクセラレーター ACC100

・AIを用いたエッジ・IOTリファレンス・デモ
OpneVINOツールキットを用いたノイズ抑制と音声認識
インテル RealSense テクノロジーで実現する非接触タッチ操作

・ネットワーク
インテル Flex RANをベースとしたローカル5G検証環境

・教育向けリファレンス・システム
電子黒板(インタラクティブ・フラットパネル・ディスプレイ)
インテルNUCを使ったリモート教育システム
OpneVINOツールキットを用いた文字認識(OCR)
OpneVINOツールキットを用いた顔認識で実現する行動・参加状況データ分析プラットフォーム

もともと、つくばの同社拠点で同様の施設が存在していたが、中身を最新のものにアップデートして丸の内に移設した。そして、今回のシステムの軸となっているのが、インテルの鈴木国正社長が、「この4つの技術分野が破壊的な変革をもたらすと見て、インテルはこれを進めている。会社の組織もこの4つにあわせて再編している」と話す、「4つのスーパーパワーズ」だ。この4つとは、クラウド、コネクティビティー(5G)、AI、インテリジェント・エッジを指す。

  • 4つのスーパーパワーズの中心にあるのはもちろん半導体技術だ。プロセスノードの進化と、パッケージングの進化の両輪で進む

  • CPUコアのアーキテクチャのロードマップ。パフォーマンスコアにGolden Cove、省電力コアにGrace Montをハイブリッド搭載するとみられる次期Intel Core(Alder Lake)は、間もなくリリースの公算

近年は解消しない世界的な半導体不足、デジタル・トランスフォーメーションの加速、また日本国内では特に社会、教育のデジタル化や、そもそもデジタル人材そのものの不足も特有の課題となっており、インテルのような企業の貢献にも期待が寄せられるところである。今回の協創施設の立ち上げに際しても、鈴木社長は「日本の課題を認識しており、危機感を持って、貢献したいと考えている」と話している。すでに教育向けのPC導入の支援を強化しているほか、インテル社内のスキル育成で使っているフレームワークを教育分野に応用して提供したり、STEAM教育推進のための教育人材育成を支援したりする施策も進めているとしていた。

  • 2022年も解消しないという見方もでてきた半導体不足。もともと製造ラインの増設などリードタイムが長い半導体製造で、成長見込みを上回る需要が続いており、さらに地理的なリスクにもフォーカスがあたりはじめるなど、先が読みづらい状況。インテルとしては「投資の手は緩めない」姿勢で挑む

  • 日本国内の教育市場への取り組みは危機感を持って加速する方針

  • 「SFI」と呼ばれるインテル社内で実績のあるスキル育成フレームワークを教育分野にも応用する

  • STEAM教育推進のための「STEAM Lab」構築を支援する。実証研究校の募集も開始した