パソコンの購入を検討しつつも、どのような用途に活用するのか明確に定まっていないとき、ぜひ選択肢に加えていただきたいのが“ゲーミングデスクトップPC”だ。ゲームはそこまでやらないから……という人も、ぜひ一度耳を傾けてほしい。
ゲーミングデスクトップPCにはグラフィックス処理を高速化する「グラフィックボード」が搭載されている。これにより3Dゲームなどのグラフィック品質を上げ、フレームレートを向上させられるが、メリットはこれだけに留まらない。
写真・動画編集アプリの多くは「GPU支援」という機能が用意されている。グラフィックボードが搭載されていれば、写真・動画編集時の高負荷な処理を、高速に実行可能。つまりゲーミングデスクトップPCは、ゲームにとどまらず、将来的にクリエイティブワークに挑戦したいときにも高いパフォーマンスを発揮してくれるのだ。
さらに拡張性が高いため、メモリやストレージの交換も容易。いざというときにはある程度のスキルを身につければ、自分でグラフィックボードや、CPU、マザーボードの交換も可能*。これらのアップグレードにより、ノートPCより長い期間活躍してくれるのである。またユニットコムであれば購入時にパーツのカスタマイズも可能だ。
*自身でのカスタマイズは保証の対象外となる可能性があるので事前に確認しよう。
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「iiyama PC LEVEL-M78H-265-RLX」22万4,800円~
今回は初めてのゲーミングデスクトップPCとしてもってこいの、「iiyama PC LEVEL-M78H-265-RLX」の実機レビューをお届けしよう。
NPU「Intel AI Boost」を内蔵する「Core Ultra 7 265」を採用
「iiyama PC LEVEL-M78H-265-RLX」はOSに「Windows 11 Home 64ビット」、CPUに「Intel Core Ultra 7 プロセッサー 265(20コア[8P+12E]、20スレッド、最大5.30GHz、65W)」、グラフィックボードに「GeForce RTX 4060 8GB GDDR6」を採用。メモリは16GB DDR5-5600(8GB×2、DIMM×2、最大64GB)、ストレージは1TB(M.2 PCIe Gen4 x4接続)を搭載している。
インタフェースは上面にUSB 3.0 Type-A×2、3.5mmコンボジャック×1、背面にUSB 3.2 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×3、USB 2.0×2、HDMI×1、DisplayPort×3、ライン入力×1、ライン出力×1、マイク入力×1を装備。Wi-Fi、Bluetoothはオプション。本体サイズは約206×432×411mm(幅×奥行き×高さ)、重量は非公表だ。
本製品は購入時にカスタマイズ可能。メモリ、ストレージを自由に変更できる。また光学ドライブも追加可能だ。デスクトップPCである本製品は、比較的手軽にメモリ、ストレージを増設、換装できるが、自信がない方は最初からカスタマイズすることを強くおすすめする。
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本体前面。上部にはスリムタイプの光学ドライブを内蔵できるスロットが用意
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本体背面にはシリアルナンバーが記載
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右側面にはWindows 11のライセンスシールが貼られている。コインなどで擦れば、ライセンス番号を確認できる
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こちらは左側面。上のふたつのネジをはずすだけで、側面パネルを開けられる
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本体上面には排気用の空冷ファンが内蔵
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本体下面。透けて見える空冷ファンは電源ユニットのものだ
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本体上部には電源ボタン、USB 3.0 Type-A×2、3.5mmコンボジャック×1を用意
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本体背面には、USB 3.2 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×3、USB 2.0×2、HDMI×1、DisplayPort×3、ライン入力×1、ライン出力×1、マイク入力×1を配置
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パッケージには説明書、電源ケーブル、SATAケーブル、各種ネジ類が同梱。キーボードやマウスはオプションだ
ツールレスのメンテナンス性、空冷PCならではの高い拡張性
本製品のメンテナンス性は良好。前面、上面、下面にはホコリ混入防止のメッシュパネルが取り付けられているが、すべてツールレスで取り外し可能。左右側面の金属パネルの固定ネジも指で回せるので、気になったときにドライバーなどを用意せず、手軽に分解できるわけだ。
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前面、上面、下面のホコリ混入防止のメッシュパネルはツールレスで取り外せる
メンテナンス性、拡張性における本製品の売りのひとつが、空冷PCならではの余裕がある内部スペース。比較的低発熱のCPU、グラフィックボードが搭載されているので、冷却システムはいい意味で簡素。負圧により前面から吸気し、上面と背面、そして電源ユニットの冷却ファンにより排気するというシンプルなエアフローを採用されている。背面配線が徹底されているので、エアフローをジャマすることはないわけだ。
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内部スペースに余裕があるのは空冷PCならではだ
主なパーツとしては、マザーボードは「UNIT.COM INC. B860M-H2」、メモリはMicron製「CT8G56C46U5.M4D1」(8GB×2)、ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「KINGSTON OM8PGP41024N-A0」、グラフィックボードはPalit製「NVIDIA GeForce RTX 4060」、電源ユニットはFSP製「FSP550-50AAA」(550W、80PLUS BRONZE認証)が搭載されていた。ただし製造時期によって、異なるパーツが使われる可能性がある点には留意してほしい。
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マザーボードは「UNIT.COM INC. B860M-H2」を搭載
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プロセッサー「Intel Core Ultra 7 265」は空冷ファンで冷却される
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メモリはMicron製「CT8G56C46U5.M4D1」(8GB)を2基搭載
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ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「KINGSTON OM8PGP41024N-A0」を搭載
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グラフィックボードはPalit製「NVIDIA GeForce RTX 4060」を搭載
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拡張スロットはPCI Express4.0 [x16]×1、PCI Express4.0 [x1]×2を用意
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電源ユニットはFSP製「FSP550-50AAA」(550W、80PLUS BRONZE認証)
前述のとおり、本製品は内部スペースに余裕があるので、メモリ、ストレージは換装しやすい。また右側面のパネルを開けると、2.5インチストレージ、3.5インチストレージをそれぞれ2基装着するためのスペースが用意されている。ゲームやクリエイティブ系アプリで大容量ストレージが必要になった場合には、比較的ローコストでSSD、ハードディスクを増設できるわけだ。
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背面配線が徹底されているので、メモリ、ストレージを交換しやすい
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上にあるのはスリムドライブ用のスロット。水冷CPUクーラーを取り付けるスペースも確保されている
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右側面内部
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左が3.5インチ、右が2.5インチストレージ用の増設スペース。固定用のネジも同梱されている
AAAタイトルも快適にプレイでき、4K動画編集にも活用できるスペックを実現
本製品には、CPUに「Intel Core Ultra 7 プロセッサー 265(20コア[8P+12E]、20スレッド、最大5.30GHz、65W)」、グラフィックボードに「GeForce RTX 4060 8GB GDDR6」が採用されている。
パフォーマンスを検証するため定番ベンチマークを実施したところ、CPUベンチマーク「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は27776pts、CPU(Single Core)は2231pts、総合ベンチマーク「PCMark 10」の総合スコアは8351、Essentialsは11007、Productivityは9658、Digital Content Creationは14867、3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark」のPort Royalは6043、Time Spyは11205、Fire Strikeは27358、Wild Lifeは67412、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8」の1M Q8T1 シーケンシャルリードは4066.469 MB/s、1M Q8T1 シーケンシャルライトは3222.319 MB/sとなった。
目安としては、ゲームならフルHD、WQHD解像度であればAAAタイトルも快適にプレイでき、クリエイティブ系アプリなら4K動画の編集にも活用できるスペックだ。Core Ultra 7 265とGeForce RTX 4060の組み合わせは、コストパフォーマンスに優れる選択といえる。
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「HWiNFO 64 Pro」で取得したシステムの概要
CINEBENCH R23 | |
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CPU(Multi Core) | 27776pts |
CPU(Single Core) | 2231pts |
PCMark 10 | |
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総合 | 8351 |
Essentials | 11007 |
Productivity | 9658 |
Digital Content Creation | 14867 |
3DMark | |
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Port Royal | 6043 |
Time Spy | 11205 |
Fire Strike | 27358 |
Wild Life | 67412 |
CrystalDiskMark 8(単位:MB/s) | |
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1M Q8T1 シーケンシャルリード | 4066.469 MB/s |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 3222.319 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 2581.331 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 3121.111 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 704.200 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 473.988 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 64.568 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 329.900 MB/s |
ゲームやクリエイティブワークを見据えてPC購入を検討している方にもってこい
LEVEL-M78H-265-RLXは、Intel Core Ultra 7 265とGeForce RTX 4060を組み合わせて、ゲームやクリエイティブ系アプリの多くを快適に動作させられるパフォーマンスを実現しつつ、23万円切りという手の届きやすい価格を実現している。
メモリはできれば32GBに増設したいところだが、ストレージは当面は1TBで運用できるだろう。重いデータを扱うことが多い人や長期使用を考えている人は、購入時にデータドライブとしてハードディスクをアップグレードしておくと万全だろう。
ゲーミングデスクトップPCというと水冷CPUクーラーを搭載している機種が多いが、空冷CPUクーラーのほうがメンテナンスしやすく、耐久性も高い。特に今回のCore Ultra 7 265とGeForce RTX 4060という組み合わせであれば、空冷CPUクーラーで冷却性能は十分だ。
もちろん将来的にはいかようにもアップグレードが可能。ゲームやクリエイティブワークを見据えてパソコンの購入を検討している方に、もってこいの1台といえる。
今回記事レビューを行った実機「LEVEL-M78H-265-RLX」は完売となり、後継が発売されています。後継機「LEVEL-M88H-265F-RLX」は、CPU「Intel Core Ultra 7 プロセッサー 265F」、光るケースFANを搭載し、注文時に黒色ケースと白色ケースを選択可能になっています。
後継製品を今すぐチェック
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■iiyama PC LEVEL-M88H-265F-RLX(224,800円~/税込)
【主なスペック】CPU:Intel Core Ultra 7 プロセッサー 265F、メモリ:16GB(8GB×2) DDR5、グラフィック機能:GeForce RTX 4060 8GB GDDR6、ストレージ:1TB NVMe対応 M.2 SSD [PCIe 4.0×4]