バルミューダは8月6日、2021年12月期第2四半期 決算説明会をオンラインで開催。決算報告は国内外とも堅調に推移したとし、同日発表した新ブランド「BALMUDA Technologie」の狙いやスマートフォンの開発などについて、バルミューダ 代表取締役社長の寺尾玄氏が説明しました。
売上高・営業利益はプラス、営業利益率は若干のマイナス
バルミューダの2021年12月期第2四半期決算(連結・サマリー)は、2021年1~6月の売上高が77.9億円(対前年比+56.2%)、営業利益が7.2億円(同+30.5%)、営業利益率が9.3%(同-1.8p)となりました。通期見通しは据え置きとしています。
地域別の売上高は、国内が54.6億円(対前年比+37.1%)で構成比の70.1%を占めます。海外は23.2億円(対前年比+132.0%)で構成比は29.9%。特に韓国で日本製品の不買運動が下火になってきたことが好影響につながりました。
海外比率が大きく伸びたことは、営業利益率がマイナスになった要因のひとつ。国内向け販売のほうが、きちんと価値提案ができていて利益率が高いためです。また、おもな販管費の中では広告宣伝費が3.2億円(対前年比+94.4%)、試験研究費が3.7億円(同+174.7%)と大きく伸びており、これも営業利益率のマイナス要因です。なお、人件費は5.6億円(同+20.7%)です。
バルミューダでは、生活家電カテゴリーの一層の成長にはブランド認知の向上が課題と考えています。TV CMを含むPR戦略で今期のブランド認知度は55.5%を実現しましたが、今後さらに70%~80%に引き上げるべく引き続き努力していきたいとのこと。
BALMUDA Technologiesは世界のユーザーを見ながら作るブランド
今回の決算説明会に先立ち、バルミューダは新ブランドとして「BALMUDA Technologies」発表しました。
BALMUDA Technologiesで展開していく予定のIT機器やAV機器など、技術集積度の高い製品ラインナップ。および、それらに関わるアプリケーションやサービスに使うブランドと位置付けています。すでに携帯電話事業への参入を発表していますが、試験研究費の増加はこの新規参入に向けた準備のためと説明しています。
2021年11月以降となりますが、BALMUDA Technologiesの第1弾となる5Gスマートフォンの発表に合わせて、東京・青山にバルミューダ初となる旗艦店をオープンします。
寺尾社長は「自分も店舗のデザインに参加し、ブランドの描く世界観を表現しました。当社のすべての製品を体験できるスペースになります」と述べました。このほか、秋口の暑さが残るうちに、生活家電カテゴリーで新しいジャンルの製品を発表することも予告。
寺尾社長はバルミューダ製スマートフォンを開発するに至った経緯について触れ、以下のようにと熱意を込めて語りました。
「私がこの仕事で一番最初に作ったのが、ノートパソコンの冷却台でした。当時、本当はこの台の上に載せるもののほうを作りたいと思っていたことを覚えています。スマートフォンの中身はコンピュータ。ついに自分達のブランドで、自分達のデザインで、自分たちの思うようにコンピュータを作るタイミングがやってきたと、感慨深く思っています。いつも本気で取り組んでいますが、いつも以上にすべての力を使って世の中に送り出す製品にします」(寺尾社長)
スマートフォンの気になる内容については、今回も明らかにされませんでしたが、変わらず自信を見せます。
「ネットなどでパンが焼けるスマホになるんじゃないかと言われていますが、パンは焼けません(笑)。通信機能も省きません。私には、いま世の中にあるスマートフォンはどれも同じように見えています。とても多くのバリエーションから選べるはずなのに、あまりにも選択肢がないと感じています。それが開発のきっかけ。自分たちが個性的な端末を作っているという認識を持っています。久しぶりに自分で線を引きました。明らかにほかと違う、エレガントなものになりました」(寺尾社長)
通信機器を持つことで、生活家電にネットワーク機能を搭載してIoT化していく考えはあるかという質問には、ホームIoTに興味はないとし、「製品個々の完成度にこだわり、できるだけ最高の体験品質で作れるよう考えています」(寺尾社長)と回答しました。
また、新ブランドに「BALMUDA Technologies」と名付けた背景として、生活家電のバルミューダより先鋭的で先進的というイメージを持たせたかったこと、ITやAVは市場規模が大きくて同じブランドではできないと感じたことなどを挙げ、「家電のBALMUDAは日本のユーザーを見て作ってきましたが、BALMUDA Technologiesは世界のユーザーを見ながら作っていきます」と話しました。