仮想通貨ヘッジファンドのニッケルデジタル・アセットマネジメントは、5月の市場暴落の後にキャッシュポジションに戻している。

ブルームバーグによると、JPモルガンとゴールドマンサックスの出身者が率いる2億ドルの仮想通貨ヘッジファンドは、仮想通貨の次の上昇に備えて資本を再配置している。

ニッケルデジタルは、キャッシュポジションを積み上げる前に、スポットとデリバティブ市場間の仮想通貨の価格差によるアービトラージ取引に焦点を当てていた。

仮想通貨のアービトラージ取引は、瞬間的な価格ギャップによって十分な資本をもつ機関投資家に利益をもたらしたという。これらの取引は、値動きではなく価格の不一致に焦点を合わせており、マーケットニュートラルである。

ニッケルデジタルのアナトリー・クラチロフCEOは、ブルームバーグに次のようにコメントしている。

「当社のマーケットニュートラルでボラティリティの低い戦略は、市場の方向性に関係なく、プラスのリターンを提供するよう設計されている。これは、リスク許容度が低い投資家にとって、仮想通貨市場への移行を容易にすることを目的としている」

ニッケルデジタルは3%のボラティリティで29%の利益を上げたとされているが、仮想通貨市場の78%をはるかに下回っている。しかし、4月にビットコイン(BTC)がピークを付け、5月に急落することになると、ニッケルデジタルのようなアービトラージ取引をやるヘッジファンドの立場を逆転させた。

クラチロフ氏は「6月は現金が豊富で、成行を見守る月だった」と振り返っている。クラチロフ氏はまた、現在の市場低迷は、仮想通貨ビジネスに長く携わっている投資家にとっては異常なことではないとも語っている。

さらに仮想通貨ヘッジファンドのトップは、機関投資家が仮想通貨投資からの忌避感がなくなってきているとう。

「私の印象では、暗号資産への関心や投資は、かつて機関投資家の間であったようなレピュテーションリスクとは見なされなくなった」と語っている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン