米Microsoftは11月19日(現地時間)、同社のクラウドPCサービス「Windows 365」の専用デバイス「Windows 365 Link」を発表した。現在、米国、カナダ、英国、ドイツ、日本、オーストラリア、ニュージーランドなどでプレビュー中であり、2025年4月に一部の市場で349ドルで販売される予定である。

Windows 365 Linkは、120×120×30mmというコンパクトなファンレスデバイスである。USB-A 3.2ポートx3、USB-C 3.2ポートx1、HDMIポートx1、DisplayPortx1、Ethernetポート、3.5mmヘッドフォンジャック、Kensingtonロック・スロットを装備し、デュアル4Kモニター構成が可能。ワイヤレスは、W-Fi 6EとBluetooth 5.3をサポートする。The Vergeによると、プロセッサはIntel製で、8GBのRAMと64GBのストレージを搭載している。

数秒で起動し、スリープからは瞬時に復帰するため、ユーザーはすぐに作業を開始または再開できる。Microsoftは、共有ワークスペース環境(オフィス内の共有PC、コワーキングスペース、教育機関、小売店や接客業の端末など)において特に有用であるとしている。こうした環境では、サインインプロセスの煩雑さやデータ保護の問題、周辺機器の非互換性、遅延といった課題が発生しやすい。Windows 365 Linkは、これらの課題を解決し、スムーズな作業環境を提供するよう設計されている。

クラウドPCのメリットに加えて、ローカルデバイスの処理能力により、共同作業やプレゼンテーション、ビデオ再生、オンライン会議といった用途で、なめらかで応答性の高い体験を提供する。Microsoft Teamsの高品質なオンライン会議をサポートするとともに、Cisco Webexなどのパートナーソリューションによる会議のサポートも進めている。

一方で、ローカルデバイスにデータやアプリを格納したり、ユーザーに管理者権限を許可することは、エンドポイントの脆弱性を招く可能性がある。この点に配慮し、Windows 365 LinkのOSはデバイスにデータやアプリを一切保存せず、ローカル管理者権限も持たないロックダウン型の設計となっている。また、Microsoft Entra IDを活用したパスワードレス認証を提供し、ユーザーはMicrosoft AuthenticatorアプリやQRコードを用いたデバイス間パスキー、FIDO USBセキュリティキーを使用した多要素認証によるサインインが可能である。