「第78回毎日映画コンクール」の授賞式が14日に都内で行われ、受賞者が揃って登壇した。

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■杉咲花、映画『市子』で女優主演賞

映画『市子』で女優主演賞を受賞した杉咲花。背中の大きく開いた黒のシックなロングワンピースに身を包んで登場した杉咲は、「素敵な賞をいただき光栄に思っております。何より劇場に足を運んでくださった皆様、本当にありがとうございます。物語に関わる中で、何かひとりで成し遂げることは出来ないと思っているので、この賞は映画に関わった皆さんと喜びを分かち合いたいと思います。自分にとってかけがえのない作品になった『市子』に関われたことを誇りに思います」と感謝と喜びをコメント。

その後、同会場に出席していた戸田彬弘監督が本人にサプライズで登壇し、杉咲に花束を贈呈した。改めて杉咲のオファーについて尋ねられると「この市子という役は、杉咲さんにぜひやっていただきたいという想いで手紙を書かせていただきました。杉咲さんのおかげで作品が大きくなり、杉咲さんであるからこうして評価され業界の方にも広く観ていただけたと思っています。本当に杉咲さんに出ていただけて嬉しく思っています」と振り返り、感謝の言葉を述べた。対し杉咲は「『自分にとって分岐点になる作品だと思っています』と書かれていて、それだけ勝負に出ようとしている作品で自分自身のことを求めていただいたことを嬉しく思いました」と語る。

司会の生島ヒロシが手紙について掘り下げると、戸田監督は「実は代筆でした。内緒にしてて、こないだバレちゃった」と明かし会場が笑いに包まれる場面も。また、戸田監督は「たくさんの作品に出演されていますが、表現の幅を持っている女優さんですし、何より目から引力を感じる方だと思っていて、この市子という役には強い引力が必要だと思いダメ元で手紙を出させてもらいました」と、杉咲へのオファーの決め手も明かした。

映画初単独主演で「女優主演賞」を受賞し、何か心情の変化があるかと聞かれると、杉咲は「とってもありがたく思っていますが、変化はあまり感じていません。評価というものは他者の中にあるものだと思っているので、この先も粛々と作品に向き合っていきたいと思います。ただ、このような機会をいただけたことでまだ公開が続いている『市子』について皆さんが興味を持ってもらえるのかなと思うとやっぱり嬉しいです」と笑顔を見せた。

■第78回毎日映画コンクール 受賞結果

日本映画大賞:『せかいのおきく』(阪本順治監督)
日本映画優秀賞:『ほかげ』(塚本晋也監督)

外国映画ベストワン賞:『TAR/ター』(トッド・フィールド監督)

男優主演賞:鈴木亮平『エゴイスト』
女優主演賞:杉咲花『市子』
男優助演賞:宮沢氷魚『エゴイスト』
女優助演賞:広瀬すず『キリエのうた』
スポニチグランプリ新人賞(男性):アフロ『さよなら ほやマン』
スポニチグランプリ新人賞(女性):サリngROCK『BAD LANDS バッド・ランズ』

監督賞:石井裕也『月』
脚本賞:阪本順治『せかいのおきく』

撮影賞:鎌苅洋一『月』
美術賞:上條安里『ゴジラ-1.0』
音楽賞:ジム・オルーク『658km、陽子の旅』
録音賞:志満順一『せかいのおきく』

アニメーション映画賞:『アリスとテレスのまぼろし工場』(岡田麿里監督)
大藤信郎賞:『君たちはどう生きるか』(宮崎駿監督)

ドキュメンタリー映画賞:『生きる』大川小学校 津波裁判を闘った人たち』(寺田和弘監督)

TSUTAYAプレミアム映画ファン賞・日本映画部門:『劇場版 美しい彼~eternal~』(萩原利久、八木勇征)
TSUTAYAプレミアム映画ファン賞・外国映画部門:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(ダニエル・クワン ダニエル・シャイナート監督)

田中絹代賞:薬師丸ひろ子

特別賞:鈴木敏夫(スタジオジブリ プロデューサー)