パナソニック コネクトは6月6日、モバイルPC「Let’snote」(レッツノート)の2023年夏の新製品として、 QR/SR/FVの3シリーズを発表しました。中でも注目は新シリーズとなるモバイルワーカー向けの2in1 PC「レッツノート QR」(以下、QR)。同日開催された新製品発表会で、QRの特徴をチェックしてきました。

  • レッツノート QR。12.4型ディスプレイを搭載し、画面を回転させてタブレット形状にもなる2in1 PCだ

    レッツノート QR。12.4型ディスプレイを搭載し、タブレット形状にもなる2in1 PCだ。個人店頭モデルの想定価格は340,000円前後から

タブレットにもなる12.4型PC、+αで高性能

12.4型ディスプレイを搭載したQRは、画面が360度回転するタイプの2in1モバイルPC。通常のノートPCのようにも、画面を回転させてタブレットPCのようにも使えます。その主な特徴は下記の通り。

  • 画面が回転し対面相手に見せやすい
  • A4サイズ以下のフットプリント
  • 第13世代Intel Coreによる高性能
  • 約1.029kg~の重さ
  • 76cm落下/100kgf加圧に耐える頑丈性
  • テレワーク向け機能

レッツノートは基本的に仕事での利用を想定したノートPCで、今回のQRも、前モデルにあたるQVシリーズと同じく、「製薬会社の営業」「建設現場のスタッフ」といった客先訪問が多い職種での利用が想定されています。

例えば製薬会社の営業担当者、いわゆる“MR”の仕事では、忙しい医師をつかまえ立ったまま資料を見せてプレゼンすることもあるそう。こんな時、図やグラフが入った資料を見せるのにタブレットが役立ちますが、PCとタブレットを両方ち歩くと重くなるため、クラムシェル型にもタブレット型にもなる2in1 PCが役立つことになります。

  • 製薬会社の営業でQRを使っているイメージ。立った状態でプレゼンする際に、タブレット形に変わり画面を見せられる

  • ノートPCとタブレットの療法を持ち歩くよりは、QR1台のほうが軽く済む

  • 一部法人モデルでは800万画素のアウトカメラを搭載可能

  • キーボード上に配置されたアウトカメラは、タブレット形にした際にそのまま撮影できる

  • 建設現場では、撮影した写真をそのままPDFに組み込んで資料として送る、といった使い方も

A4サイズ以下の携帯性、パーツはSRと共通化

QRの本体サイズはW273.2×D208.9×H19.9mm。A4用紙(210mm×297mm)より小さく、天板が薄型のため持ち運びしやすくなっています。

実はこのサイズ、2022年10月に発売された12.4型モバイルPC「レッツノート SR」と同じ。12.0型画面の前モデル「QV」から筐体を刷新したQRは、このSRを2in1化したものといえ、画面や本体サイズだけでなく、内部の基板&CPUファン、天板、スピーカー、タッチパッドといったパーツがQRとSRで共通です。そもそもSRの開発時点から、QRとパーツを共通化することを見据えていたとのこと。

プロセッサは第13世代Intel Coreシリーズで、上位モデルで12コアのCore i7-1360P、ベースモデルで10コアのCore i5-1335U(店頭モデル時。直販ではvPro版も選択可能)を搭載。CPU性能を最大化する独自技術「Maxperformer」にも対応し、2in1の使い勝手に加え、性能面にもこだわりました。

  • 右から順に、23年夏モデルのFV4、QR4、SR4。QR4とSR4は見た目も似ている

  • QRのカラーは落ち着いた銀色の「カームグレイ」と「ブラック」の2色

  • QRの内部構造。SRと同じ基板とCPUファンを使っている。小さな筐体ながらHDMIやD-Sub、SDカードスロットなど豊富な端子を搭載

  • QV1から音量・音質を向上させたボックス型スピーカー。FVやSRと同じものを搭載し、オンライン会議でのクリアな通話に一役買っている

  • 液晶裏にはクッション材を貼り付け、衝撃吸収に貢献

  • 薄型のスリムタフボンネット構造は、天板内側に補強リブを立て、100kgf加圧に耐える頑丈さを獲得している。写真は天板の裏側

  • 外から見た天板。ほとんど凹凸がなくスリムに仕上がっている

「よそ見のときに画面オフ」で省電力に貢献

画面はアスペクト比3:2で解像度はフルHD。移動の合間にオンライン会議へ参加するようなケースも踏まえ、FVやSRでも搭載している「COMFORTALK(コンフォトーク)」や、離席や背後の人を検知したときに速やかにPCをロックしたりアラートを出したりするセキュリティ機能を搭載しています。

なお、コンフォトークは音圧の高いボックス型スピーカーやAIノイズ除去などの機能を備え、自分や相手の音声をクリアに届けるもの。発表会場で行われたデモンストレーションでは、QRを使ったビデオ通話中に、相手の背後でサイレンの音が鳴り響いている状況を、AIノイズ除去でサイレンの音を除去して音声をクリアに伝えたり、QRの使用時によそ見をしているとき、画面がオフになったりする新機能が実機で紹介されました。

  • 前モデルのQVと、新モデルのQRを並べ、同じ音量でオンライン会議の音声を流してみたところ。QRのほうが音声が大きくクリアに聞こえた

  • QRのスピーカー位置は、従来のQVから改善。底面左右に2基、それぞれ斜めに設置され、音が机で反射してユーザーに届く設計になっている

  • こちらはQVのスピーカー位置(キーボードの上部)。なお、スピーカーの形状もQVとQRでは変わっている

  • 画面に向かっているときは普通にQRが使えているが……

  • 画面から顔を逸らし、よそ見している状態では電源がオフになる新機能も追加された(顔認証カメラで顔の向きを検知し、AIで状況を判定)。バッテリー駆動時間の伸びに貢献するとのこと

  • AIセンサーを使った機能を管理するAIデバイスコントローラー。AIセンサーは顔認証カメラとAI用チップを組み合わせたものを指し、離席時のPCロック、着席時のPCウェイク、のぞき見アラート、よそ見時の省電力といった各機能は、顔認証カメラで撮影した人の顔の状態をAIが判定する仕組みだ

小型ながらインタフェースは豊富に備え、HDMI×1、D-Sub×1、USB 3.0 Type-A×3、USB 3.1 Type-C×2(Thunderbolt4、USB PD対応)、有線LAN、SDカードスロットなどを装備。キーボードはテンキーレス86キーで、ストロークは2mmを確保。FVやSRとは違い、各キー間が離れているアイソレーションタイプのキーを採用しました。

バッテリー駆動時間は、同梱の標準バッテリー装着時で約16時間。バッテリーはユーザー側で交換でき、ダウンタイムを省略し充電の手間を少なくできます。

パナソニック コネクトパナソニック コネクト執行役員 ヴァイス・プレジデント モバイルソリューション事業部 マネージングダイレクターを務める山本清高氏は、「モバイルワーカーの働き方が変わってきている」とし、これまでより在宅ワーク/オンライン会議が増えた一方、アフターコロナで訪問の機会も増え、PCの課題が“深刻化”したと解説。

具体的には持ち歩きによる故障リスク、オンライン会議によるバッテリー消費の増加などで、QRをこれら課題の解決に役立たせ、モバイルワーカーの仕事を支えたいとアピールしました。

  • 働き方がコロナ禍からも変化。オンラインとリアルが融合し、Web会議が一般的になる一方で、リアルでの対面営業も増えてくると想定している。そのとき、バッテリー消費の問題や、持ち歩きによる故障リスクの増大などが課題となる

  • パナソニック コネクト モバイルソリューションズ事業部 レッツノートプロジェクトリーダーの田中慎太郎氏(左)と、パナソニック コネクトパナソニック コネクト執行役員 ヴァイス・プレジデント モバイルソリューション事業部 マネージングダイレクターの山本清高氏(右)