映画『渇水』(6月2日公開)の舞台挨拶が24日に都内で行われ、主演の生田斗真をはじめ、門脇麦、高橋正弥監督、企画プロデュースの白石和彌氏が登壇した。
河林満氏による同名小説を、刊行から30年の時を経て初の映画化。日照り続きの夏、給水制限が発令されていた市の水道局に勤める岩切俊作(生田)の業務は、水道料金滞納家庭や店舗を回っての料金徴収と、水道を停止すること。貧しい家庭を訪問しては忌み嫌われる日々で、妻・子供とも別居中の俊作はある日、停水執行中に育児放棄を受けている幼い姉妹(山崎七海、柚穂)と出会う。自分の子供と重ね合わせてしまう俊作は、自分の心の渇きを潤すように、その姉妹に救いの手を差し伸べる。
先日行われた完成披露試写会でも雨男疑惑をかけられていた生田。「僕はずっとこの映画のキャンペーンは雨男キャラで行こうと心に決めていたんですが、きょうものすごく晴れてしまいまして……キャラが崩壊しました(笑)」と笑いを誘う。
集まった観客からの質問に答えるティーチインイベントとなった今回。事前に募集した質問で多く寄せられた「同作への参加の決め手は?」に、生田は「ただならぬオーラを放っている脚本だったことを思い返します」と作品への印象を語るとともに、「僕はこの作品に参加しないと、きっと後悔するだろうなと即座に参加を決めました」と即決だったことを明かした。
「高橋監督の演出で印象的だったこと」を聞かれた白石氏は、「割り切りの良さ」と回答。「岩切が庭に出て、たばこを吸うシーンがあるんですが、『クレーンで1カットのように見せたい』と監督がおっしゃっていて、結構苦労して撮影したんですが、編集でバッサリ切っていて! そういう割り切りの良さが、映画監督として両目を持っているというか……勉強させてもらいました」と分析した。これを聞いた生田は「思い出しました! あのシーン、何本もたばこを吸って肺がぶっ壊れそうになりました(笑)!」と監督のこだわりの裏に隠れた苦労を語った。
さらに、生田は大変だったシーンは「磯村勇斗くんと子役のお二人(山崎七海、柚穂)とアイスを食べるシーン」だといい、「長回しで撮影したんですけど、なかなか一発じゃうまくいかないので、僕たちはアイスをガリガリと何本も食べて、頭痛くなりましたね。暑い時期だったけど、震える磯村勇斗を見れました(笑)」と撮影を振り返った。
その後、集まった観客からの質問に直接答えた登壇者一同。マイクが質問者になかなか渡らない様子を見た生田は「パスします? パスしていきます? 参加型で!」と呼びかけながら会場を盛り上げる。さらにフォトセッションでも、カメラマンとの距離を調整するため自らパネルを移動するなど、報道陣にまで気を配っていた。