短編映画『Blind Mind』の初日舞台挨拶が6日にシネマート新宿にて行われ、佐藤寛太、平祐奈、モクタール、灯敦生(脚本・プロデュース)、矢野友里恵監督が登場した。

  • 左から灯敦生、平祐奈、 佐藤寛太、モクタール、矢野友里恵監督

    左から灯敦生、平祐奈、 佐藤寛太、モクタール、矢野友里恵監督

オリジナルの短編映画である同作。盲目の満井祐(佐藤)は周囲の人々と関わりながら日常生活を送り、恋に旺盛な同居人・ジェリー(モクタール)と対照的に「自分は恋とは無縁だ」と言い切り、ジェリーの言う「美しい」がピンとこない。一方で、SNSインフルエンサーの仲道フミカ(平祐奈)もまた、その言葉の檻に囚われていた。

主演の佐藤は「まだ正月休みの気分が抜けていない」と言いつつも、「劇場で観てもらってこそ映画だと思うので、皆さんに届けられて嬉しいです。良い1年になりそうな気がします」と新年らしい挨拶。平祐奈は「2年前に撮影してようやくの公開で、撮影の中断などもあったけど、みんなと一緒に舞台挨拶をできて嬉しい。佐藤さんがフレンドリーでいてくれたので、共演者もスタッフもとても雰囲気よく楽しく撮影ができたと思う」、監督からも「もう無理だ、と思う瞬間もあったが、寛太くんや平さんが忙しい中また集まってくれてた」と初日への思いを表す。佐藤は「映画館で観る特別さってあると思う。大きなスクリーンや音響設備もそうだけれど、友人と観に来ても家族と観に来ても大事な人と観に来ても、観ている時間は一人の時間なんですよね。1人でスクリーンを見つめる時間。そういう中で、こんなにたくさんの方々にこの作品が届いていることが嬉しい。自分も今年はたくさん映画館に足を運ぼうと思う」と劇場公開への思いを語った。

企画の経緯について、矢野監督は「仲間と何かやりたかった中で、祖母が盲目だったことなどから着想を得て、物語を膨らませていった」、灯は「大学時代の焦燥感の中で、7年前(2015年)に発起した。視覚障害の知人もいたためアドバイスをもらい、作り上げていった。また、佐藤寛太くんとは別作品での共演をきっかけに、当時から主人公の理想のキャストと考えて当て書きしていた」と明かす。平のキャスティングに関しては、佐藤が別作品での共演時に「(隣にいたときに)出演して欲しい作品がある、撮影は3日で済む」と声をかけたのがきっかけだったが、コロナ禍で中断もあり撮影が大幅に延期に。佐藤は「どんな役職も関係なく作品づくりに関わっていた。スタッフの多くが監督や灯さんの大学の仲間で、みんなで一つの作品を作り上げていることを実感できて楽しかった」「監督が当時友人とシェアハウスしていた部屋でもロケを行ったが、とてもおしゃれだった」と撮影を振り返った。

モクタールについては、矢野監督が「Instagramで見つけ、声をかけた。周囲からも役に合っているという声が挙がった」と説明し、モクタールは「早口で台詞も多く、苦労もあった」と演技について触れる。佐藤との共演については「現場に入る前から、役作りについて話したり、アドバイスをもらったりしていた」と振り返っていた。主人公の同居人・ジェリーという役どころについて「心の瞳で見つめてもらえるような、自分らしいキャラクターを演じられた。これからもそうありたい」と語っていた。

平は「スクリーンで観て欲しい作品。監督が夜なべして作ったパンフレットがおしゃれで充実している内容なので、絶対に買ってください」とアピール。矢野監督は「やっとここまで来れたが、お客さんに対してはここからが始まりだと思う。少しでも皆さんのお力を借りて、多くの方に見ていただけたら」、灯は「この作品自体が一つの繋がりの始まりであったら嬉しい」、そして佐藤は「仲間と集まって一つの作品をつくって、こんな素敵な劇場で公開できて、こんな贅沢はない。この映画を観て素直に感じたことを誰かに伝えることで、また誰かが観るきっかけになる。(現場は)すごい楽しかったし最高だったが、作品は観てもらう事で完成する」と客席へ感謝の気持ちを述べていた。