米国に拠点を置く仮想通貨取引所コインベースは、顧客にテザー社が発行するステーブルコインのテザー(USDT)を、米ドルペッグのステーブルコインであるUSDコイン(USDC)に交換するよう求めている。USDCはサークル社のほか、コインベース自体も発行体となるコンソーシアムに参加している。
コインベースは、FTX破綻を受けてUSDCがより安全な代替手段であると述べており、プラットフォーム上でUSDTからUSDCに変換する際の手数料を免除するとしている。
「私たちは、USDコイン(USDC)が信頼と評判の高いステーブルコインであると考えているので、より摩擦なく切り替えられるようにしている:今日から、グローバルリテール顧客がUSDTをUSDCに交換する際の手数料を無料にする」
ステーブルコインは、仮想通貨取引所のオンボーディングツールとして始まったが、今日ではマーケットでの重要な流動性ソースとなっている。ステーブルコインの定義では、1ドルまたはその相当額で裏打ちされていなければならないが、ステーブルコインを支える準備金を巡っては、常に何らかの形で監視の目が向けられてきた。
FTX破綻後、FTXとその兄弟会社アラメダ・リサーチにエクスポージャーを持つ多くの企業が倒産したため、準備金を巡る議論が激しくなった。バイナンスのチャンポン・ジャオCEOが元FTXのCEOであるサム・バンクマン-フリード氏と激しい言葉を交わし、バンクマン-フリード氏がテザーのペッグを剥がそうとさせているとCZが非難したという報道も出ている。
post-strike FTX scoop: Just before the bankruptcy, @cz_binance accused @SBF_FTX of trying to drive down the price of Tether. They traded barbs in a group chat with other crypto execs. “The more damage you do now, the more jail time,” CZ said. https://t.co/OTlYgoEruJ
— David Yaffe-Bellany (@yaffebellany) December 9, 2022
テザーは、FTXが破産を申請する前日の11月10日に最新の四半期証明書を発表した。この報告書では、2022年9月30日現在、テザー社の準備金の82%が現金、現金同等物、その他の短期預金で保有されていることが記されている。
一方コインベースは、USDCが「米国の規制金融機関に保有される現金と短期米国債」に100%裏付けられており、常に米ドルと1対1で交換できることを強調した。
準備金の監査に関する議論とは別に、仮想通貨取引所の間でも「ステーブルコイン戦争」が拡大している。今回コインベースがUSDTからUSDCへの変換要求をしたわけだが、2か月前にはグローバルプレイヤーであるバイナンスがUSDCのサポートを打ち切ると表明している。
テザー社発行のUSDTは時価総額650億ドルで最大のステーブルコインとなっている。USDCは現在時価総額420億ドルだが、USDTのシェアに迫ろうとしている。バイナンスのステーブルコインであるBUSDの時価総額は現在220億ドルだ。